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首都圏で東京電力EPが参入、火ぶたを切ったガス自由化第2ラウンド【エネルギー自由化コラム】

電力自由化ニュース

2017年4月のガス自由化から3カ月、首都圏ではついに東京電力が参入し、東京ガスとの全面対決が始まりました。関西では関西電力が8月に電気料金を値下げ、大阪ガスもそれに対抗し、競争が激化しています。首都圏と関西で第2ラウンドに突入したガス自由化の模様をお伝えします。

4月にスタートした都市ガス小売りの全面自由化から3カ月。首都圏では東京電力エナジーパートナー(EP)が7月1日から参入し、格安プランを掲げて東京ガスと全面対決に入りました。関西では関西電力が電気料金引き下げを打ち出したのに対し、大阪ガスなどが値下げで対抗、価格競争の様相を示しています。電気とガスのセット販売にも少なからぬ影響を与えそうです。ガス自由化はいよいよ、首都圏と関西で第2ラウンドに突入しました。

東京電力EPは8%安い格安プランを提示

スタンダードS/Lプラン+とくとくガスプラン、電気400キロワット時、ガス40立方メートル使用時の月額料金出典:東京電力EP「ご家庭向け都市ガス料金プランの概要
東京電力EPが打ち出した格安プランは、東京電力EPの自由化後に発表された新しい電気料金プランを利用し、東京ガス(東京地区等)の都市ガスエリアで契約をしている方を対象としています。
4月のガス自由化以後、東京ガスから他の都市ガス事業者へ切り替えた家庭も対象となります。

東京電力EPで、電気とのセット契約を新たに結べば、ガス料金を東京ガスの一般料金より3%、期間限定の割引を含めると最大8%程度安くします。さらに、電気料金もセット特典で年間1,200円安くなります。

当面は東京都と神奈川県で営業を進め、順次エリアを拡大する予定です。初年度の顧客獲得目標は4万件。6月末までの事前申し込みは1万件を超え、7月13日現在だと1万5,000件を突破しました。東京電力EPは「滑り出しは順調。この調子で目標を達成したい」と意気込んでいます。

2019年度で100万件の顧客獲得が目標

東京電力グループは都市ガスの原料となる液化天然ガス(LNG)調達量で東京ガスをしのいで国内最大。料金徴収のネットワークが関東一円に広がっているほか、LPガス(液化石油ガス)大手のニチガスグループと提携し、保安、営業面の協力を受けています。いわば万全の態勢で都市ガス市場に参入したわけです。

しかも、4月からはニチガスグループに都市ガスを卸供給しています。ニチガスグループが持つ顧客は3月末時点で約30万件。3月まで東京ガスがニチガスグループへ都市ガスを供給していただけに、事実上約30万件の顧客を獲得した格好です。

しかし、LNGを都市ガスに加工する熱量調整設備を持っておらず、ライバルの東京ガスに委託しています。契約は年35万トンでしたが、委託量を50万トンに増やすことで合意しました。

さらに、2018年秋には自前の熱量調整設備が完成する予定です。販売量拡大へ大きく道が広がるわけで、ニチガスグループを含めた東京電力陣営全体で2019年度、東京ガスの約1割に当たる100万件の顧客獲得を目指しています。

東京ガスはサービスと営業力で東京電力EPに対抗

ニチガスグループの卸供給元切り替えで30万件分の都市ガス販売先を失った東京ガスは、東京電力EPの参入に「値引き競争で対抗するつもりはない」との姿勢を崩していません。これまで通りきめ細かなサービスと首都圏に張り巡らせた営業力で対抗する構えです。

東京ガスは首都圏で1,100万件の顧客を抱えています。2016年の電力自由化後に獲得した電気の契約数も今期中に100万件の目標達成が現実味を帯びてきました。しかし、ガス自由化後にニチガスに4万件、東京電力EPに1万5,000件の顧客が流れています。

東京電力グループのLNG調達力を考えると、低価格の都市ガスが安定して首都圏に供給されることは間違いありません。関東の都市ガス購入先切り替え件数が関西の4分の1程度にとどまっているのは、東京ガスが牙城を死守しているといえますが、東京電力陣営の潜在能力に危機感を感じているのも事実です。

埼玉、千葉の他社エリアに本格参入

7月からは埼玉県と千葉県にある東彩ガス、東日本ガスのエリアに本格参入しました。東京ガスが他社のエリアに乗り込むのはこれが初めてです。

東彩ガス、東日本ガスはともにニチガスグループの一員で、両エリア内には27万件の顧客がいます。東京ガスは参入地域にサービス拠点を置いていませんが、周辺の系列販売店が訪問営業で攻勢をかけています。

料金は電気とガスのセットでニチガスグループより最大で5%以上安くしました。東京ガスは「準備を整えるのに時間がかかり、この時期になっただけで、東京電力EP参入への対抗措置ではない」としていますが、東京ガスが反撃を開始したと受け止める見方も少なくありません。

関西電力と大阪ガスがガスで値下げ合戦

ガス自由化はずっと「西高東低」といわれてきました。こんな気圧配置のような状況が続いてきたのは、大阪ガスに関西電力が正面から挑んだためです。ガス自由化直前に関西電力が格安プランを発表すると、大阪ガスが対抗値下げに踏み切り、関西電力が再度プランを値下げする一幕もありました。

経済産業省が定期的に公表しているガスの購入先切り替え申し込み件数も、7月14日現在で全国31万件の57.8%に当たる18万件近くを関西が占めています。

都市ガス購入先の切り替え申し込み件数(7月14日現在)

地域件数
関東53,911
中部・北陸45,377
近畿178,323
九州・沖縄 31,118

出典:経済産業省

原発再稼働で関西電力が3%以上の電気料金値下げ

値下げ競争の第2弾は電気料金で、関西電力が福井県の高浜原子力発電所の再稼働に伴い、8月から家庭向けで平均3.15%値下げすることを明らかにしました。企業向けは4.9%の値下げで、全体では4.29%の料金引き下げになります。

値下げの原資は、高浜原発3、4号機の再稼働による火力発電用燃料費の削減額が年間410億円、燃料調達価格の低減や事務用品の厳選など経営効率化で浮かせた額が461億円。福井県の大飯原発3、4号機が再稼働すれば、再度値下げに踏み切ることも視野に入れています。

これまで関西電力は都市ガスで大阪ガスより安い価格を打ち出してきましたが、電気は見劣りしています。関西電力は「利用者に選んでもらえる価格を設定できた。今後も経営努力を続け、価格に反映させたい」と力を込めました。

大阪ガスも2.6%の料金引き下げで対抗

これに対し、大阪ガス8月から電気料金を家庭向けで2.6%引き下げることを決めました。関西電力の値下げに対する対抗措置で、新電力のケイ・オプティコムや大阪いずみ市民生活協同組合も値下げに踏み切る見通しです。

大阪ガスは電力自由化後、約700万件の顧客に対し、電気購入先切り替えの対面営業をするなどして7月12日現在で39万件を獲得しました。電気料金で優位に立っていることも顧客獲得に少なからぬ追い風となっています。

関西電力と大阪ガスの新電気料金を標準的な家庭の使用量に当たる260キロワット時で比較すると、関西電力の6,721円に対し、大阪ガスは6,565円。大阪ガスが2.3%ほど安くなります。

関西電力、大阪ガスの新月額電気料金(一般家庭が8月に260キロワット使用時)

 関西電力大阪ガス
旧料金6,901円6,717円
新料金6,721円6,565円

出典:関西電力、大阪ガスプレスリリースから筆者作成

大阪ガスは「今後も選んでいただける価格だ」と胸を張っています。電気とガスのセット販売ではきめ細かなサービスで関西電力に対抗しており、一歩も引かない構えで、ますます競争が激化しそうです。

高田泰(政治ジャーナリスト)

高田泰(政治ジャーナリスト)

関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆している。
高田泰(政治ジャーナリスト)

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