東急電鉄が鉄道グループ初の家庭向け電力小売事業参入を発表
東京急行電鉄は2016年4月からの電力小売り全面自由化にあわせて一般家庭向けの電力販売に乗り出すことを発表しました。10月1日に、電力の小売り事業を行う「東急パワーサプライ」を設立し、これと同時に資源エネルギー庁に小売電気事業者の登録を申請しています。東急電鉄の100%子会社として本社は東京・世田谷区内に置き、プレスリリースではサービス対象エリアを離島を除く東京、神奈川、茨城、群馬、埼玉、群馬、栃木、山梨の一都七県と静岡県の一部と発表しています。
鉄道グループ会社の新たなインフラ事業に
これまで交通・都市開発や生活サービス事業などを中心に展開してきた東急グループは、電力サービスを新たな生活インフラ事業と位置づけ、東急線沿線の住民を中心に電力サービスを提供するものとしています。
東急グループは、傘下にケーブルテレビ会社や不動産会社、警備会社などを保有していますが、東急パワーサプライはこれらグループ企業と連携し、ケーブルテレビやインターネットのサービスや、住宅関連サービスとのセット販売などで主に一般家庭向けに顧客開拓を進める方針です。サービス開始後10年間で約50万世帯の利用を目指すと発表しています。
またこれまでにもケーブルテレビサービスのITSCOMの会員向けに、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)のモニター提供を行うなど、電力事業への参入準備を進めてきました。
電力会社と鉄道会社 歴史的なつながり
歴史的に見ると、戦前の電力会社と鉄道会社(電鉄)は強い結びつきがあり、電力会社自身が鉄道を運営していたり、逆に鉄道会社が電力を販売していた例もありました。
- 東京電燈
- 現在の江ノ電
- 王子電気軌道
- 現在の都電荒川線
- 田園都市株式会社
- 現在の東急
すべての家庭や産業が電気を使うわけではなかった時代、まず電気をたくさん使う鉄道を需要家とすることで電気事業への投資を進めたのです。
鉄道・通信・ケーブルテレビなどインフラ事業者の参入が進む
鉄道事業者では、つくばエクスプレスが新電力事業者として東京電力への売電を行っているものの、家庭向けの小売電気事業への参入を表明したのは初めてで、今後全国で追随する動きが出るものと見られます。
一方、ケーブルテレビ事業者では関西電力系列のケイ・オプティコムなどが、既に小売電気事業への参入を発表しています。こうしたインフラ事業者は、消費者からの信頼感が強いため、電気のような生活に密着したサービスへの参入でも存在感を示すことが期待されています。
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