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木質バイオマスで電力の地産地消、真庭市が目指す未来の街づくりとは【エネルギー自由化コラム】

木質バイオマスで電力の地産地消、真庭市が目指す未来の街づくりとは【エネルギー自由化コラム】

温室効果ガス排出の実質ゼロを目指すカーボンニュートラルに向け、官民の動きが加速する中、岡山県真庭市が木質バイオマス発電を中心にした街づくりを打ち出し、全国の注目を集めています。地元の木材資源を最大限に活用し、事業を展開しているのが特徴で、目指す先は地域循環型経済の確立とゼロカーボンシティです。

産業団地に官民共同でバイオマス発電

2015年の運転開始からエネルギーの地産地消を支える岡山県真庭市の真庭バイオマス発電所(筆者撮影)

米子自動車道・久世インターチェンジの北側、緩やかな傾斜の山道を上っていきます。その先に見えるのは岡山県が整備した真庭産業団地です。真庭市目木、中原、上河内の3地区にまたがり、広さは約90ヘクタール。その中で高さ25メートルの巨大なボイラーが目を引きます。

ボイラーがあるのは、2015年に運転を始めた真庭バイオマス発電所です。真庭市と地元の企業、林業従事者らでつくった電力会社の真庭バイオマス発電が運営しており、出力は1万キロワットに上ります。

燃料は市内の山林で発生する間伐材や製材所で出る端材などで作った木質チップです。市内にある木を余すことなく使うのがモットーで、年間に約11万トンの木質チップが必要になりますが、地元の木質チップで賄っています。年間の発電量は約7万4,000メガワット時。この電力量は一般家庭約2万2000世帯の1年分に相当します。

市内のエネルギー自給率が32%に上昇

作った電力は国の固定価格買い取り制度(FIT)で販売するほか、一部を地元の新電力・真庭バイオエネルギーに売電し、真庭市役所本庁舎をはじめとする市内の公共施設に供給しています。

発電所の稼働で真庭市のエネルギー自給率は2014年度の11.6%から32.4%に上昇しました。国全体の11.8%と比べ、3倍近い高さです。市役所本庁舎の使用電力が再生可能エネルギー100%になっただけでなく、二酸化炭素の排出量も年間5~6万トンを削減しています。

さらに、発電所で15人、林業や製材業関連で35人の地元雇用を生みました。長年の林業不振で働く場所が少なく、人口減少を続けている真庭市にとって、新たな雇用の場が誕生したのです。

ごみが生み出した地産の電力

真庭市は岡山県の北部、中国山地に抱かれた位置にあります。2005年に勝山町、久世町、北房町、川上村など真庭郡、上房郡の9町村が合併して発足しました。人口は約4万4000人。東京23区の1.3倍に当たる約830平方キロの広さを持ち、面積の約8割を山林が占めます。

かつてはヒノキの名産地として全国に名を知られていましたが、林業不振が続き、地域の経済が冷え込んでいました。地域を再建するためにどうすればいいのか、地元の若手経営者らが1990年代から議論を続けた結果、地域の財産である山林を活用しようということになりました。そこで目をつけたのが、木質バイオマス発電だったのです。

間伐材や端材は以前、山中に捨てられたり、産業廃棄物として処分されたりするごみでした。しかし、バイオマス発電の燃料になれば、ごみが地産の電力を生むことになります。それとともに、林業従事者にわずかでも確実な収入が入れば、山林を再生して林業を再建するきっかけになるのではないかと考えたわけです。

発電所からほど近い場所に総面積約2万5000平方メートルの木材集積基地が設けられました。大型トラックが毎日のように出入りし、木材を降ろしています。これらがチップに加工され、バイオマス発電所に送られています。

バイオマス活用推進による主な効果

林業・木材産業の振興間伐・育林の促進、発電事業者への燃料販売
エネルギー自給率の向上化石燃料代替量の増加
雇用の拡大発電プラント、関連事業者での雇用拡大
二酸化炭素排出の抑制バイオマス利用による二酸化炭素排出抑制
新たなバイオマス産業創出バイオマス発電会社の設立
森林機能の回復水源かん養の促進、土砂災害防止
出典:真庭市「バイオマス活用推進の取り組み」から筆者作成

目標に据える地域循環型経済

真庭市が発足した直後の2006年にバイオマスタウン、2014年にはバイオマス産業都市に農林水産省から認定されました。官民一体となって木質バイオマス活用を計画する姿勢がバイオマス先進地として高く評価されたのです。

これを受け、真庭市は真庭バイオマス産業杜市(とし)構想を2014年に策定、地域循環型経済を確立する方向を打ち出しました。その重点プロジェクトとして、発電、木質バイオマスの燃料・化学製品化、有機廃棄物の資源化、産業観光の拡大を掲げています。

さらに、2018年には内閣府からSDGs未来都市に選ばれ、自治体SDGsモデル事業にも採択されました。2050年を目標とするゼロカーボンシティも2020年3月、国に先駆けて打ち出しました。

地元の集成材大手が新たなバイオマス発電を稼働

真庭市では2016年、市内の一般家庭や役所、学校、事業所で約28万メガワット時の電力が消費されました。真庭市はこれを100%に高めようと計画しています。その一歩として進めているのが、経済産業省の補助金を活用した地域マイクログリッド(小規模発電網)構築事業です。

木質バイオマスに加えて太陽光、小水力、有機廃棄物などの小規模発電を組み合わせて地産地消のエネルギーシステムを築くのが狙いです。

民間にも動きが出ています。地元の集成材大手・銘建工業が8月、真庭市勝山の本社工場にバイオマス発電2号機を稼働させました。出力は4990キロワット。1998年から稼働している1号機の1950キロワットの約2.5倍で、これにより工場で消費する電力をすべてバイオマス発電で賄え、年間3億円程度の売電収入を得られる見通しです。

真庭市福谷、神代、荒田地区のゴルフ場を含む約185ヘクタールには、出力約70メガワットのメガソーラー(大規模太陽光発電所)建設計画が持ち上がっています。東京都港区の合同会社NRE-46インベストメントが計画するもので、2026年3月末ごろに営業運転を始める予定です。

広葉樹の燃料利用へ新技術開発に着手

計算上は1万キロワットの木質バイオマス発電をもう1基整備すれば、市内の電力をすべて再エネで賄える見込み。それに備えて新たな燃料として広葉樹の活用を計画しています。現在の燃料は針葉樹のチップが大半ですが、市内の山林の約4割は広葉樹の雑木林。これを活用することで燃料資源の確保を図ろうというわけです。

ただ、問題は作業効率です。針葉樹はまっすぐなので、伐採や製材に高性能の作業用機械を使えますが、曲がりくねった広葉樹では使用できません。そこで、広葉樹の伐採や製材に使う作業用機械を開発しています。

コスト高も抑えなければなりません。広葉樹から燃料用チップを生産する場合、1ヘクタール当たりで取れるチップは350~400トンと試算されています。これを基に発電原価を試算すると、1キロ当たり18~19円。石炭火力の10円前後に比べ、2倍近くかかります。

さらに1基のバイオマス発電も計画

真庭市は伐採コストの削減や新しい作業用機械の導入など広葉樹活用の課題を片付けたうえで、新たなバイオマス発電の整備にかかりたい意向です。バイオマス発電がもう1基生まれれば、雇用の拡大、山林の再生など夢が膨らみます。

真庭市林業・バイオマス産業課は「銘建工業の2号機が稼働したことでエネルギー自給率は大きく上昇したはず。将来はもう1基のバイオマス発電を設置し、エネルギーの地産地消を実現したい」と意気込んでいます。

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この記事を書いた人

高田泰

政治ジャーナリスト

高田泰

関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆している。