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米国産シェールガス初輸入、調達先の拡大でエネルギー業界はどう変わる【ガス自由化コラム】

米国産シェールガス初輸入、調達先の拡大でエネルギー業界はどう変わる【ガス自由化コラム】

新潟県上越市の中部電力上越火力発電所に1月、米国産シェールガス由来の液化天然ガス(LNG)が到着しました。東京電力ホールディングス子会社中部電力が共同出資するJERAが購入したもので、米国産シェールガスの日本上陸は初めてです。中東や豪州産のLNGは原油価格と連動していますが、米国産シェールガスは連動しておらず、価格が比較的安定しています。リスク分散への期待もあり、2017年4月のガス自由化を控えたガス、電力大手の間で今後、調達が活発化しそうです。

JERAが米国産LNGを7万トン調達

JERA シェールガス
米国産シェールガス由来のLNGを搭載し、中部電力上越火力発電所に到着したLNG船(1月6日、JERA提供)
JERAによると、今回到着した米国産LNGは7万トン。上越火力発電所では2週間分の燃料になります。米国ルイジアナ州にあるシェニエール社の基地から約1カ月かけて運ばれてきました。

JERAは2017年、米国産LNGを約150万トン調達する計画。18年下半期には年間調達量の1割に当たる計400万トンまで拡大することにしています。中東産、豪州産LNGなどの値上がりに備えた措置で、調達先拡大によるリスク分散も狙いの1つです。JERAは「現在は原油価格の低下で中東産などの方が安いが、価格が高騰すれば米国産が有利になる。調達先の多様化は日本のエネルギー安全保障にも貢献できる」と利点を強調しています。

調達力向上がガス自由化でメリットに

JERAからLNGの供給を受ける東京電力や中部電力にとっても、メリットは少なくありません。東京電力、中部電力ともガス自由化後、一般家庭向けの都市ガス販売に本格参入する予定です。
都市ガスは商品そのもので差別化が難しいことから、価格で勝負せざるを得ない一面を持ちます。関西では大阪ガスと関西電力が早くも、自由化後の割引メニューを競い合っています。同じことが首都圏や東海で起きるのは確実でしょう。

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価格競争になるとものをいうのは、LNGの調達力です。安いLNGを安定確保できれば、コストを抑えられてガス料金のさらなる値引きが可能になります。大手ガス会社との競争を勝ち抜くための一手が、シェールガスなのです。

大手ガス会社も相次いでシェールガス購入へ

これに対し、大手ガス会社も手をこまねいているわけではありません。東京ガスは2017年度後半に年140万トンのLNGを米国から輸入する計画を持っています。調達量全体のほぼ1割に当たり、その後も徐々に増やしていく計画です。
さらに、英エネルギー大手のセントリカとLNGの交換を始める考えを示しています。東京ガスが米国東海岸のメリーランド州で採掘したLNGの一部をセントリカに提供し、代わりにアジア産のLNGを同社から調達します。

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大阪ガスも2018年以後、米国産LNGを年220万トン購入する準備を進めています。収益の多角化を念頭に置き、一部を海外企業へ販売することも検討しているもようです。大阪ガス広報部は「仕入れ先を天秤にかけることで、中東産などの取引交渉で有利になる。米国産LNGは米国内のガス価格と連動している点もリスク分散になる」とシェールガスに期待しています。

シェールガス生産は北米に一極集中

シェールガスは泥や土が堆積してできた頁岩(けつがん)と呼ばれる層に含まれる天然ガス。従来のガス田と異なる場所に存在するため、非在来型天然ガスに分類されます。埋蔵量が豊富なのは北米と中国。全埋蔵量を回収できれば、世界のガス需要の200~250年分以上をまかなうことができるといわれています。

世界のシェールガス埋蔵量
出典:米国エネルギー省エネルギー情報局2013年6月発表資料

多くが深さ1,500メートル以上の場所にあるうえ、頁岩の粒子が非常に細かく、すき間がほとんどありません。このため、シェールガスを回収するには高度な採掘技術が必要です。

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高度な技術を持つのは米国で、2012年の段階では北米が世界生産量の99.9%を占めています。米国ではテキサス州のイーグルフォード、ペンシルベニア州のマーセラスなどに有力なガス田があり、2012年から一気に生産量が増えました。いわゆる「シェールガス革命」です。

米エネルギー省によると、生産能力は2010年の21兆5,800億立方フィートが2035年に27兆9,300億立方フィートへ拡大するとみられています。米国は2016年からシェールガスの本格輸出に踏み切りました。これまでLNGの輸入大国だった米国が輸出国に一変したわけです。

米国シェールガス生産量
出典:米国エネルギー省エネルギー情報局「Natural Gas Data」を基に経済産業省が作成

パナマ運河の拡張が輸入の追い風に

日本の大手商社などはシェールガス革命後、相次いで米国で権益確保に動きました。日本企業が関与するLNG工場は東海岸に集中しています。輸入への追い風になったのは、中米パナマ運河の拡張工事が2016年に完了したことです。通過できる船の幅は従来、32メートルが上限でしたが、一気に49メートルまで広がりました。

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それまでLNGの輸送船はパナマ運河を通れず、米国の東海岸やメキシコ湾岸から日本へLNGを運ぶのに、アフリカの喜望峰を回るか、南米沖を通過するしかありませんでした。それが最短コースで日本へLNGを運べるようになったのです。米エネルギー省は年間550隻のLNG輸送船がパナマ運河を通り、日本などアジアへ米国産シェールガスを運ぶと試算しています。

これに合わせ、東京ガスは2016年、テキサス州のシェールガス権益取得に踏み切りました。東京ガス広報部は「輸送期間の短縮がコスト削減につながり、収益力の強化になる。調達先の多様化にも期待している」と語っています。

ジャパンプレミアム脱却への第1歩

日本で今、LNGは石炭を抜き、石油に次ぐ第2位のエネルギー源です。2015年度は4兆5,000億円ものLNGを輸入していますが、これまで国際的な相場よりはるかに高い価格で購入してきました。エネルギー業界では「ジャパンプレミアム」などとやゆされています。
最近の購入価格は100万BTU(英式熱量単位)当たり約9ドル。欧州は約5ドル、米国は約4ドルですから、ざっと2倍の購入価格を支払っている形になります。東日本大震災の直後は一時、18ドルの高値で取引していたこともありました。

日本が購入しているLNGは中東や東南アジア、豪州産ですが、原油価格に連動した長期契約がほとんどです。オイルショックの経験から原油に依存しないエネルギー源の確保に迫られ、安定供給を第一に長期契約を進めました。その結果、価格が高止まりしているのです。輸出国から足元を見られている側面も見受けられます。

米国産シェールガスはガス卸売市場の成長にも好影響

新たに米国という大口の調達先が生まれたことは、ガス自由化にも大きな影響を与えそうです。ガス自由化後の課題の1つが卸売市場の育成です。電力市場と比べ、ガスの卸売市場が未整備なことが異業種からの新規参入を難しくしている点は否めません。
LNGを大量に調達する能力を持つのは、電力やガス、石油大手に限定されています。卸売市場では少量で価格が変動する取引より継続して安定した価格で一定量の取引を確保できることが望ましいのですが、今のところ大手が安い価格で卸売市場へLNGを大量に投入する動機がありません。
しかし、多様な国から安価なLNGを安定して調達できるようになれば、卸売市場に十分なLNGが回せるようになる可能性が広がります。米国産シェールガスがそのきっかけになるかもしれないのです。

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この記事を書いた人

高田泰

政治ジャーナリスト

高田泰

関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆している。