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ZEHマンションが全国で続々と、マンション市場が激変の時代へ【エネルギー自由化コラム】

ZEHマンションが全国で続々と、マンション市場が激変の時代へ【エネルギー自由化コラム】

大幅な省エネルギーと再生可能エネルギーの導入で年間の1次エネルギー消費量をゼロ以下に抑えるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準のマンションが、全国で増えています。温室効果ガスの排出削減がさらに進むとともに、脱炭素時代を前にして住宅選びのキーポイントの1つに環境性能が挙げられるようになりつつあるようです。

和歌山市にZEH基準のマンションが登場

積水ハウスが和歌山県和歌山市太田に建てた賃貸マンションの「BEREO-ZEH太田」(筆者撮影)

和歌山県和歌山市のJR和歌山駅から歩いて10分ほどの和歌山市太田地区。商業施設が並ぶ駅前の喧騒を離れれば、大通り沿い以外はマンションや民家が続きます。その一角に住宅大手の積水ハウスが建てた賃貸マンション「BEREO-ZEH(ベレオ‐ゼッチ)太田」が9月中旬、完成しました。

ベレオ‐ゼッチ太田は重量鉄骨3階建ての総戸数9戸。広さ50~70平方メートルで、2LDKの間取りになりました。全戸のLDKが角部屋仕様の二面採光を取り入れ、複層ガラス採用の高い断熱性能と空調効率を高める高機密性能、省エネ設備で光熱費を削減します。しかも、全戸に入居者売電が可能な太陽光発電を備えました。

下見に来ていた和歌山市内の20代のカップルは「地球環境の難しいことはよく分からないが、光熱費が安くなるのはうれしい。集合住宅で太陽光発電がついてくるのも新しくていい」と笑顔を見せていました。

積水ハウスは「シャーメゾンZEH」を全国展開

積水ハウスはいち早くZEHマンションの建設を進めてきたトップランナーの1つです。同社の賃貸マンションブランド「シャーメゾン」のうち、ZEH機能を持たせたものを「シャーメゾンZEH」と命名し、全国展開しています。

2020年度は販売支援策の導入や国の補助金活用などが効果を発揮し、2976戸を受注しました。累計受注件数は7月末現在で7,292戸です。この中には国内で初めて全住戸のZEHを実現した賃貸マンションも含まれています。

集合住宅のZEHには、建物全体でゼロエネルギーを目指すZEH-M(ゼッチ・マンション)と住戸単位で進めるZEHがありますが、積水ハウスは入居者第一の視点に立ち、住戸単位のZEHに力を入れてきたとしています。

高断熱性と高気密性を実現する設計で住戸内の快適さを高めると同時に、エネルギー消費量を削減できる賃貸マンションを量産し、新しいZEH市場を創設しようとしているわけです。こうした点が高く評価され、2020年度の気候変動アクション環境大臣表彰で最高位の気候変動アクション大賞を受けました。

分譲マンションでもZEH化に挑戦

ZEH化を進めているのは賃貸マンションだけでありません。分譲マンションでは日本で初めてになる全住戸ZEHの「グランドメゾン覚王山菊坂町」を2019年、名古屋市千種区菊坂町に建設しました。

2020年度には2棟、20戸のZEH分譲マンションが竣工しました。これにより、手がけたZEH分譲マンションは1月末の累計で3棟、32戸になりました。これに続き、大阪市中央区上町で「グランドメゾン上町一丁目タワー」を建設中です。地上36階建て、高さ128メートル、総戸数188戸のタワーマンションで、2022年に完成する予定です。

ただ、マンションは規模が大きくなればなるほど太陽光発電を設置する屋上面積の比率が小さくなり、ZEH化が難しくなります。このため、上町一丁目タワーは再エネの有無と関係なく、省エネ性能を高めたZEH Oriented(ゼロ・エネルギー・ハウス指向型住宅)という規格で建設しています。

このほか、非住宅では、オフィスビルを中心に宿泊施設、保育施設、クリニックなど11棟のゼロエネルギー建築物を2020年度に手がけました。積水ハウスは「これからもマンションの付加価値に配慮したZEHを推進していきたい」と意欲的です。

ZEHは省エネ、再エネでエネルギーを100%削減

経済産業省によると、ZEHは省エネなどで20%以上の1次エネルギー消費量を削減したうえ、再エネの導入を含めて100%以上を削減した住宅を指します。これとよく似たものにNearly ZEH(ニアリー・ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、ZEH Oriented、ZEH-Mが存在し、すべてをひっくるめてZEHと呼ぶこともあります。

Nearly ZEHは20%以上の1次エネルギー消費量を削減したうえ、再エネの導入を含めて75~100%を削減した住宅です。ZEHとNearly ZEHの再エネ導入量は問われませんが、敷地内にある施設に限られます。ZEH Orientedは20%以上の1次エネルギー消費量を削減した住宅になります。ZEH-Mは建物全体でZEH基準を満たすマンションです。

ここでいう1次エネルギー消費量は冷暖房や換気、給湯、照明を指し、テレビや冷蔵庫、洗濯機などの家電製品は対象外になります。

ZEH基準

ZEH省エネなどで20%以上の1次エネルギー消費量を削減したうえ、
再エネの導入を含めて100%以上を削減した住宅
Nearly ZEH省エネなどで20%以上の1次エネルギー消費量を削減したうえ、
再エネの導入を含めて75~100%を削減した住宅
ZEH Oriented省エネなどで20%以上の1次エネルギー消費量を削減した住宅
ZEH-M建物全体でZEH基準を満たすマンション
出典:経済産業省「ZEHの定義」(改訂版)から筆者作成

タワーマンションでZEH化に挑む事例も

経産省や国土交通省、環境省は「2020年までにハウスメーカーなどが新築する注文戸建住宅の半数以上、2030年までに新築住宅の平均環境性能がZEH基準に達する」とした政府目標の実現に向け、普及に向けた取り組みを進めてきました。

マンションのZEH化にかかる費用の一部を補助する事業などを展開し、積水ハウスのほか、穴吹工務店、三井不動産レジデンシャル、大京、野村不動産、東京建物、パナソニック・ホームズ、大和ハウス工業など大手住宅メーカー、開発業者が次々に参入するようになりました。

上町一丁目タワーのようなタワーマンションでも、ZEH化を目指す動きが各地で見られます。東京建物は東京都多摩市関戸で33階建て、大和ハウス工業は大阪市西区靱本町で36階建てに挑戦しています。

2050年に既存建築物の平均値をZEH基準に

経産、国交、環境の3省は8月、有識者会議で4月から議論してきた結果をまとめた「脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方」を公表しました。2050年と2030年に目指すべき住宅の姿をまとめた内容で、2050年には既存建築物の平均値がZEH基準の環境性能を満たし、建物への太陽光発電導入を一般的にするとしています。

その前段階の2030年は、新築される住宅がZEH基準の環境性能を満たし、新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備を導入するとしました。さらに、遅くとも2030年までに住宅の省エネ基準をZEH基準まで引き上げ、適合の義務化を目指します。

この10年ほどの間に住宅やマンション市場を取り巻く環境を激変させ、環境にやさしい住宅、マンションで日本を満たそうと考えているわけです。3省は今後、この取りまとめに従って取り組みを進めます。

二酸化炭素の15%を家庭部門が排出

国立環境研究所によると、国内で2019年度に排出された二酸化炭素のうち、15%が家庭部門から出ています。その中には戸建住宅やマンションなどから出る二酸化炭素も含まれます。温室効果ガス排出の実質ゼロを目指すカーボンニュートラルの実現に、住宅部門の排出削減を避けて通ることはできません。

消費者からすると、分譲マンションや戸建住宅がZEH化していると、その分の付加価値が加わることになります。あとで売却する際により高く販売できるかもしれません。国を挙げて進む脱炭素の流れの中で、住宅やマンション市場が大きな変化の時代に入りました。

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この記事を書いた人

高田泰

政治ジャーナリスト

高田泰

関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆している。