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電力需給ひっ迫、グリーン成長戦略など、2021年1月の知っておきたい電力業界の動向を解説し、まとめました

電力需給ひっ迫、グリーン成長戦略など、2021年1月の知っておきたい電力業界の動向を解説し、まとめました

2020年12月26日頃から2021年1月中旬までに起こった電力需給ひっ迫やグリーン成長戦略(カーボンニュートラル)などについて、2021年1月の電力業界の動向を経産省、監視等委員会、広域機関他からの発表や各種会議体等での議論を中心に、振り返っていきましょう。

気になる電力業界のニュースのポイントや見ておきたい注目の資料について、エネチェンジを運営するENECHANGE株式会社の顧問である関西電力出身、元大阪府副知事の木村愼作氏に解説してもらいました。

関西電力出身、元大阪府副知事の木村愼作氏

電力需給ひっ迫について

2020年12月26日から2021年1月中旬にかけ、日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場の価格が高騰しました。

寒波などによって予想以上の冷え込みが全国的に続いて暖房器具使用などの家庭用電力使用量が急増したこと、火力発電の燃料であるLNG(液化天然ガス)の需要の上振れによるペースの早い燃料消費と出力の低下が相次いだことなどにより、今回の価格高騰が起きたとみられています。


出典:JEPXプライスチェッカーより

2020年12月前半の時点でのシステムプライスは約7円~8円という価格でしたが、12月後半から徐々に高騰し、2021年1月14日の15日受け渡し分の取引は251円00銭を記録しています。平均価格が200円を超えたのは、日本卸電力取引市場にて取引価格の水準ができてから初めてのことであり、前例のない異常な数値であることがわかります。


出典:ENECHANGE INSIGHT MARKETSより

2021年2月9日時点では、スポット価格は9円99銭と以前と比較して落ち着いていますが、今回の電力需給ひっ迫にあたって、「もう一度、同様のひっ迫が起きた場合はどうするべきか」「旧一般電気事業者であっても具体的な打開策が見当たらない」という2つの問題点があげられます。

また、現在はなんとか持ちこたえている電力小売業者であっても、今後は経営がどのようになるのか、予想ができません。特に今後2~3カ月は厳しいものになるでしょう。現在は、救済策としてインバランス料金の分割支払いを可能とする特別措置が設けられています。

電力需給状況について

1月13日の総合エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第23回) 基本政策分科会 再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会(第11回)合同会議では、電力需給の状況について説明されました。


出典:電力需給の状況について|資源エネルギー庁以下、この章の出典はすべて同じ
まずは、足元の電力需給の状況についての説明がありました。1月13日に発表された電力各社の予備率見込みを見ると、四国エリアを除く9エリアで3%を超えています。

また、全国の過去実績と比較すると、1月の電力需要は例年と比較して約1割ほど増加する結果となりました。


電力需要実績においても、北海道・東京を除く8エリアで厳寒想定を上回っています。想定値に対しての影響が大きく、全国的に厳しい状態であるとわかります。


また、会議では安定供給確保のための電力会社・電力広域機関の取り組み状況の説明や、1月以降も200円/kWhを超える価格を付ける時間帯があるなどのスポット価格の高騰とその要因の整理が行われました。

あらゆる発電所のフル稼働、電力広域機関の一般送配電事業者に対する融通指示ほか、電力会社・電力広域機関・電気事業連合会から日常生活に支障のない範囲での電気の効率的な利用への協力を求める「節電へのご協力にお願いについて」というプレスリリースが公開され、一般消費者への節電への協力を求めました。

電力需給及び市場価格の動向について

1月19日に行われた第29回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会(METI/経済産業省)では、電力需給およびスポット市場価格の動向について説明・議論されました。

13日の委員会に引き続き、電力需給の状況について、更に細かいデータが報告されています。

出典:電力需給及び市場価格の動向について|資源エネルギー庁以下、出典は同じ
2020年10月30日に行われたの第28回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会では、冬季の需給見直し・対策についての振り返り・検証が行われ、厳気象を想定した最大需要(厳気象1H需要)に対し、安定供給に最大限必要とされる予備率3%は確保できる見通しでした。

しかしながら、1月13日の朝に発表された予備率見込みを実際に見ると、3%を切っていたところも多く、全国的に電力需給が厳しい状態であったことが見て取れます。


今回の電力需給ひっ迫は、LNGの在庫不足も原因のひとつであったと考えられています。上の図の電力会社所有のLNG在庫推移を見てみると、12月上旬までは全国的に増加傾向にありますが、12月中旬を境に急激に減少しています。


1月からのLNGの在庫量は12月上旬の水準には戻ってはいないにしても、回復しつつあります。しかしながら、再度在庫減少・不足が起こる可能性は十分に考えられます。今後玉切れが発生した場合どうなるのか?つじつまのあう在庫を確保するにはどうするべきなのか?などをを議論していく必要がありそうです。

スポット市場価格の状況について

同日、スポット市場価格の状況についても確認、議論がありました。


出典:スポット市場価格の動向について|電力・ガス取引監視等委員会以下、出典は同じ

2020年12月以降のスポット価格が高騰し続け、1月にはコマ毎のシステムプライスもほぼ連日最高値を更新しています。

1月13日には、1日平均の最高価格が154.6円/kWhを記録しました。システムプライスの最高値においては、2019年度の60.0円/kWhと比較すると、約4.2倍になる251.0円/kWhと過去最高記録を更新しています(1月15日時点)。

実際の需給曲線を見ると、グラフで示した4コマともに売り玉切れによって供給曲線が立ち上がり、買い入札の価格によって約定価格が決定されています。

また、1月22日の監視等委員会プレスリリースでは、卸電力取引市場(スポット市場)における需給曲線を公開することにしました。情報公開の要請を受け、平日朝夕それぞれで最高価格をつけたコマの需給カーブを、受け渡し当日に公開することにしたものです。

出典:卸電力取引市場(スポット市場)における需給曲線を公開します(市場価格高騰関連)|電力・ガス取引監視等委員会JEPXスポット市場・朝夕の最高価格コマの需給曲線|電力・ガス取引監視等委員会

スポット市場価格の動向やスポット取引の監視状況について

1月25日の監視等委員会 第54制度設計専門会合では、スポット市場価格の動向やスポット取引の監視状況についての報告がありました。

今冬の卸電力市場スポット価格の高騰を受け、沖縄電力を除く旧一般電気事業者9社の売り入札に関する監視の強化が決定しています。具体的には、予備率が増えてきた時点でも市場への玉出しが増えない理由の解明、需給ひっ迫時に旧一般電気事業者各社が自社需要を抑制したかの確認、12月26日から旧一般電気事業者に入札行動に変わった理由の調査の3つを中心に、監視強化をすべきとしています。

また、電取委事務局によるスポット取引の監視の状況の確認・分析については、上に記されているように6つのポイント、および3つの方法で行われます。

監視等委員会事務局は、旧一般電気事業者からデータの提供を求め、4つの観点から分析を行いました。

LNG燃料制約については、意図的に市場相場を変動させることを目的とした行為は確認されていません。しかし、今後もより詳細に燃料制約に不合理な点がないか、売り入札に適切に反映されているか監視していくとしています。

需要の見積りについても、今後の課題であると見ています。

「需要 見積りと実績の比較」の表を見ると、他の時期の見積り実績の乖離率は1.0%以下に収まってますが、スポット価格が1日平均127円であった1月14日は、2.8%(旧一般電気事業者全体)多くなり、原因を聴取しています。

新電力各社の主な要望としてあげられたのは、「FIT特定卸に係る調達価格(回避可能費用)をFIT価格を上限とすべき」を含む10つの事項です。

現時点においては、市場相場を動かすことを想定しておらず、売り惜しみなど意図的に市場相場を変動させることを目的とした行為は確認されていません。

現在の価格は落ち着いていますが、今度も同様の需給ひっ迫や価格高騰が起こることは考えられます。議論は継続して行っていく必要があるでしょう。新電力をはじめとするさまざまな電力会社からに要望を受け、スポット価格やインバランス料金の動きや需要側(小売事業者からの働きかけ等)・供給側(自家発等)の反応、一般送配電事業者のインバランス終始の状況などを注視し、監視等委員会として何らかの対応が必要か検討するとしています。

グリーン成長戦略(カーボン・ニュートラル)について

2020年12月25日には、2050年カーボンニュートラルに伴う成長戦略の策定について、経産省のニュースリリ―スにて発表がありました。

出典:2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略|経済産業省

将来の電源・ガス産業の在り方について

1月19日には第29回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会(METI/経済産業省)が開催され、カーボンニュートラルに向けた将来の電力・ガス産業の在り方についての議論がありました。

出典:将来の電力・ガス産業の在り方について~カーボンニュートラルに向けて~以下、出典は同じ
今回は、需要家の視点、小売・卸取引の視点、発電・電源投資の視点の3つの視点を持って課題を検証しつつ、次世代型電力システムについてもあわせて議論されています。

まず、需要家の視点としては、再エネ発電事業者における需要家への直接供給があげられ、事業者・需要家の声を聞きながら検討が進められる予定です。それに加え、アクセス改善に向けた非化石価値取引市場の見直しも課題のひとつです。制度検討作業部会で議論を深め、夏頃までをめどに取りまとめを行うとしています。


小売・卸取引の視点では、今後のスポット市場の在り方が主題としてあがりました。今後は、再エネ導入によって市場価格の低いコマの増加が予想されます。更に今回起きた電力需給ひっ迫のように、状況においては価格の急激な高騰も考えられるでしょう。

また、旧一般電気事業者の自主的取り組みによる売り札不足が生じた瞬間に価格が急激に高騰する市場は適切なのかという疑問もあります。現実的な市場価格に戻し、「限界費用ベース」の考え方の見直しについて電力・ガス取引監視等委員会の審議会にて検討を深めていく予定です。

発電・電源投資の視点では、今後の電源確保の課題として、容量市場との整合性を踏まえつつ、新規の設備投資に対しての長期予見性を付与する仕組みをより深く検討するとしています。

次世代型電力システムの構築では、分散型電源の活用を促す託送料金制度などの方向性の見直しについて、電力・ガス監視等委員会において必要な検討を進めるとしています。現状では、需要の高い場所と供給ポテンシャルの高い場所は一致していないという課題があげられます。需要と供給の一致や潮流が改善されるような託送料金制度の変更が期待されます。

FIP制度の詳細設計について

総合エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第23回) 基本政策分科会 再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会(第11回)合同会議を1月13日に開催し、エネルギー供給強靭化法施行をはじめとするFIT制度の詳細設計について議論しました。


出典:FIP制度の詳細設計とアグリゲーションビジネスの更なる活性化④|資源エネルギー庁以下、出典は同じ

今回の議論の主な事項は、「卸電力取引市場以外の価値の取扱い」「バランシングコストの取扱い」「オフテイカーリスク対策(一時調達契約)」「再エネのアグリゲーションを促すための課題」の4つです。

いよいよ2022年からFIP制度が施行されます。新規認定における入札対象の方向性は上の図の通りとなります。

太陽光は、1,000kW以上がFIP入札、50kWから1,000kWは選択可能FIP入札。風力においては、50kW以上で選択可能非入札FIPなどが決まっています。ほかの電源においても、一定規模を超えた場合は新規認定でFIP制度のみ認められるようになります。更に、50kW以上については、事業者が希望する場合はFIP制度の新規認定を選択可能とするよう審議が進められています。

電力業界の動向、次回は3月後半にお届け予定です

2021年1月の電力業界の動向を、まとめて木村氏に聞きました。さらに詳しく知りたい方は、紹介した資料を確認してみてください。

次回は、2月の電力業界の動向を3月後半にお届けする予定です。

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この記事を書いた人

エネチェンジ編集部

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