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ガス自由化は課題が山積、公正取引委員会が報告書で指摘【エネルギー自由化コラム】

ガス自由化ニュース

2017年4月に都市ガスの自由化がスタートし、現在全国1,400超の事業者が都市ガスの販売事業に参入していますが、ほとんどが首都圏など大都市圏に集中しているのが実情です。 調達先の選択肢が少ない、託送料が高額であるなど、新規参入と公正な競争の実現のために解決すべき課題はたくさんあります。

公正取引委員会は2017年4月にスタートした都市ガス小売りの全面自由化について、地方での新規参入が進まず、LNG(液化天然ガス)基地の第三者利用もごくわずかにとどまっているなどの問題点を指摘した報告書をまとめました。都市ガス大手と新規参入業者の公正な競争確保に向け、制度の手直しが必要だとしています。

43業者から聞き取り、237業者にアンケート

報告書はガス自由化後の競争状況を把握するとともに、新規参入や公正な競争の実現に対する課題を確認するために実施しました。結果は公正取引委員会のホームページで公表しています。

報告書の作成に必要な調査は2018年5月から2019年3月にかけ、都市ガス大手、電力大手、1995年以降に都市ガス小売りに参入した事業者ら合計43事業者から聞き取りを行いました。

さらに、2018年12月から2019年1月の間に中小都市ガス事業者、小売電気事業者、石油元売り事業者、総合商社ら計237事業者からアンケートを回収し、結果を分析しました。

新規参入は首都圏など大都市圏に集中

神戸市中央区北本町通の大阪ガス葺合(ふきあい)供給所。ガス自由化により関西では大阪ガスと関西電力の激しい競争が続くが、地方での新規参入は進んでいない(筆者撮影)
それによると、都市ガス小売りは1995年、大規模工場や大規模病院などで自由化されたのを皮切りに、1999年、2004年、2007年と販売規模が大きいところから順に段階を踏んで自由化されました。2017年の全面自由化では、最後に残った一般家庭、事務所、コンビニエンスストアなどの規制が廃止されています。
その結果、経済産業省によると、7月10日現在で全国1,400を超す事業者が登録を済ませて都市ガスの販売事業に参入しました。電力大手のほか、石油、LPガス(液化石油ガス)業者の参入が目立ちます。

しかし、都市ガスが普及している地域は国土のわずか6%ほどにすぎません。都市ガスを各家庭や事業所に送る導管の整備が進んでいないためです。人口密度が低い地域で導管を整備しても、採算が合いません。このため、新規参入業者の販売地域は首都圏や京阪神など大都市圏に集中しています。

東京ガス管内では88%が「競争激化」と回答

新規参入業者は都市ガス大手の販売区域外に新たに導管を敷設して販売を始めるのではなく、既に導管が敷設されている都市ガス大手の管内で事業を開始しています。このため、新規参入による競争も大都市圏で激しさを増しています。

都市ガス大手の販売区域別に中小ガス事業者に競争が激化したかどうかを尋ねたところ、東京ガスの管内とその周辺では88%、大阪ガス、東邦ガス、西部ガスの管内とその周辺では50%が「競争が活発になった」と答えました。

東京ガス管内と周辺の競争状況の認識(中小一般ガス24事業者の回答)

出典:公正取引委員会「小売全面自由化後の都市ガス事業分野における実態調査報告書」

東京ガスの管内では東京電力エナジーパートナーなど、大阪ガスの管内では関西電力などが参入し、都市ガス大手と激しい販売競争を続けています。その影響を反映した結果だとみられています。

自由化の恩恵、地方へ広がらず

これに対し、北海道ガスや仙台市ガス局、静岡ガス、広島ガス、日本ガスの管内とその周辺では、「競争が活発になった」と答えたのが21%だったのに対し、「特に変化はない」とする回答が72%に上りました。

それ以外の地域では、「競争が活発になった」と答えたのがわずか6%にとどまりました。逆に、「特に変化はない」との回答は86%に達しています。ガス自由化の競争は首都圏と京阪神など大都市圏だけで激化しているといわれてきましたが、このアンケートからもほぼ同じ傾向が読み取れます。

地方での競争状況の認識(中小一般ガス148事業者の回答)

出典:公正取引委員会「小売り全面自由化後の都市ガス事業分野における実態調査報告書」

ガス自由化の恩恵は小売価格の低下やサービス選択肢の拡大です。そのためには新規参入と公正な競争が欠かせません。ガス自由化の恩恵は地方の消費者や事業者にまだ広がっていないことになります。

都市ガスの調達先、選択肢は限定的

新規参入を含めた中小ガス事業者に都市ガスを卸供給しているのは、都市ガス大手と電力大手にほぼ限定されます。首都圏なら東京ガスと東京電力エナジーパートナー、京阪神なら大阪ガスと関西電力です。

公正取引委員会が中小ガス事業者183社と新規参入業者41社に対し、卸供給の課題についてアンケート調査したところ、中小ガス事業者の49%、新規参入業者の59%が「調達先の選択肢が限定されている」と回答しました。

公正取引委員会の聞き取りに対し、都市ガス大手などは「新規参入業者から卸供給の引き合いがあれば協議に応じている」としていますが、複数の新規参入業者が「小売りの競合環境にあることを理由に難色を示された経験がある」と答えました。

LNG基地の利用申請はわずか3件

自社でLNGを調達できる新規参入業者は都市ガス大手など他の事業者のLNG基地を利用して都市ガス製造を委託することができます。しかし、新規参入業者がLNG基地の利用を申請した件数はわずか3件にとどまりました。

今後、利用したいと考えている新規参入業者が21%なのに対し、利用する予定がないところが60%に上っています。経産省はLNG基地の第三者利用を推進しようとしていますが、十分な成果をまだ上げられていません。

電力の場合、新規参入業者は日本卸電力取引所で調達することができます。しかし、都市ガスはこうした卸調達市場が整備されていません。公正取引委員会はこの点も新規参入や公正な競争を活発にするうえでの課題だとしています。

高額の託送料金も参入の壁に

新規参入業者は都市ガス大手の導管を利用して販売していますが、公正取引委員会の聞き取りの中で料金が高額となって参入できない地域があるとの複数の証言が得られました。経産省の電力・ガス取引監視等委員会でも同様の議論が出ています。

導管利用料に当たる託送料金は都市ガス大手から認可申請が行われましたが、認可に当たって電力のようにすべての託送料金原価の費目について個別審査がなされず、労務費や委託作業費など一部費目の相対比較で査定されています。

仮に個別審査が行われていれば、事業者ごとの原価設定方法が適正かどうか、より厳密に確認できたと考えられます。報告書は託送料金原価のさらなる効率化を実現する余地があったのではないかと指摘しました。

独占禁止法を厳正執行し、自由化を注視

公正取引委員会は「ガス自由化により、ガス消費機器の保安が義務付けられることを除き、新規参入に対する制度上の障壁がなくなったが、実際に参入すると小売業者間の公正な競争が十分に確保されていない恐れがある」とみています。

今後、新規参入業者の都市ガス調達や利用客獲得を不当に妨げる行為に対し、独占禁止法を厳正に執行して自由で公正な競争の実現を目指す方針です。競争環境の整備には制度面の対応が欠かせないとして、制度改革の議論を注視するとともに、経産省へ働きかけを進めることにしています。

高田泰(政治ジャーナリスト)

高田泰(政治ジャーナリスト)

関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆している。
高田泰(政治ジャーナリスト)
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