RE100とは?日本の加盟企業や加盟方法、電力会社の選び方など最新情報を解説
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環境経営を推進する企業のなかでRE100やSBT、ISO14001、SDGsなどへの注目が高まっています。しかし、それぞれの違いや自社で取り組むべきものがどれか、どういった影響や効果があるのかがわかりにくいと考えている人もいるでしょう。
この記事ではRE100への加盟を考えている企業の担当者や経営者が知っておきたいRE100への加盟条件や環境経営に関わる基本用語、環境経営を推進するメリットを解説します。あわせてCO2削減に取り組むための電力会社の選び方についても紹介します。
RE100とは
RE100(アールイー100)とは、国際環境NGOのThe Climate Group(クライメイト・グループ)が2014年に開始した国際的な企業の連合体です。RE100のREはRenewable Energyの略で日本語では再生可能エネルギー(再エネ)のこと。企業活動で必要なエネルギーの100%を水力や太陽光などの再生可能エネルギーで調達することを目指す企業がRE100に加盟しています。2019年5月現在の加盟社数は176社です。
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RE100の加盟条件
RE100に加盟する企業は企業活動で必要なエネルギーを100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指していますが、いつまでに達成すればよいのでしょうか。また、それ以外にRE100加盟の条件はあるのでしょうか。対象となっている企業の条件や目標について紹介します。
RE100の加盟対象となるのは以下の4項目のいずれかを満たす影響力のある企業です。加盟の費用はゴールド会員が15,000ドル、ベーシック会員が3,500ドルで、ゴールド会員になるとイベント登壇などの特典があります。
- 世界的に認知、信頼されているブランド
- 大手多国籍企業(フォーチュン1000または同等の企業)
- 電力消費量が100GWh以上ある
- RE100の目的へ利益をもたらす国際的または地域的な影響力がある
The Climate Groupとパートナーシップを組んで日本企業のRE100加盟の窓口となっている日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)によると、特に重視されているのは消費電力量であるといいます。日本企業の基準では「10GWh以上」に緩和されていましたが、2020年9月には「50GWh以上」に引き上げられました。また、RE100へは基本的にはグループ企業全体で加盟することを求められます。ただし、親会社とのブランドが明確に分離していて子会社で1TWh以上の消費電力がある場合は子会社のみRE100へ加盟することもできます。
出典:よくあるご質問(RE100) | JCLP | 日本気候リーダーズ・パートナーシップ
加盟対象外となる企業もあり、発電・発電関連事業が主要な収入源となっている企業、化石燃料推進・再エネ普及を妨害するロビー活動を行っている企業などは加盟できません。再エネ設備メーカーは一定の条件を満たすことで加盟できます。
企業の規模が条件になっているので、現時点での中小企業の加盟は難しいでしょう。この後の章で環境経営の推進に関する他の取り組みも紹介しますので、RE100加盟の対象とならない場合はそちらも確認してみてください。
RE100に加盟するには企業活動で必要なエネルギーの100%を水力や太陽光などの再生可能エネルギーで調達することを公約します。具体的には以下の3つのいずれかの条件を満たしている必要があります。
- すでに電力の100%を再生可能エネルギーから得ている
- 再生可能エネルギー100%達成への明確な戦略とタイムテーブルがある
- 再生可能エネルギー100%達成に向けたロードマップを加盟12カ月以内に作成すると約束できる
RE100では外部から調達するエネルギーの使⽤(主に電⼒)に関するすべてと⾃社で使用する燃料(輸送や熱の生産、発電を伴わない用途の化石燃料使用を除く)について再生可能エネルギーを利用することが求められています。
遅くとも2050年までに100%を達成することが求められているため、それを実現できる計画が必要です。中間目標としては2020年30%、2030年60%、2040年90%の達成が推奨されています。加盟企業は目標に向けた進捗について、年次で総電力消費量と再生可能エネルギーの総使用量を含む報告をする義務があります。
RE100以外でよく聞くSBTやSDGsとは?なにが違うの?
RE100以外にも近頃耳にする機会が増えたSBTやSDGsといった取り組みもあります。自社で優先的に対応すべきものはどれなのか気になっている人もいるでしょう。それぞれの特徴を簡単にまとめてみました。
- RE100
- 企業活動で必要なエネルギーの100%を水力や太陽光などの再生可能エネルギーで調達することを目指す企業が加盟する国際的な連合体。
- SBT(Science Based Targets:企業版2℃目標)
- 産業革命時期と比べて気温上昇を「2℃未満」にすることが目的。RE100同様に国際的な企業の連合体で、科学的根拠に基づく温室効果ガスの削減シナリオと目標の設定を企業に促す。
- ISO14001(環境ISO)
- ISO(国際標準化機構)発行の環境マネジメントシステムの仕様を定める規格。企業などの活動によって生じる環境への影響を低減させるPDCAサイクルの構築について、要求事項を定めている。
- SDGs(持続可能な開発目標)
- 持続可能で多様性のある社会の実現のために国連サミットで採択された2016年から2030年までの国際目標。「貧困」「ジェンダー」「エネルギー」「気候変動」といった17の目標があり、その下に169のターゲットが定められている。
RE100加盟以外の方法でCO2削減や環境経営に取り組む
ここまでに紹介した通り、環境経営に取り組む方法はRE100だけではありません。
特に中小企業ではRE100の加盟対象企業の条件を満たしていない場合も多いのではないでしょうか。また、目標設定が自社で取り組む方向性やスピードと合わないということもあるかもしれません。そんなときにはISO14001の認証など他の取り組みを検討することも必要です。
環境省では2018年度より中小企業版RE100・SBTの設定支援事業を開始しています。CO2削減の取り組みや再生可能エネルギーへの転換についての最新情報を知りたいとき、どのような取り組みを選んで何をしたらよいのか迷ってしまっているときはエネチェンジBizにお問い合わせください。コンサルタントがご相談にのり、対応できる電力会社選びをサポートしています。
RE100に加盟している日本企業
2020年9月時点で公開されている日本の加盟社数は38社です。
- 株式会社リコー(2050年)
- 積水ハウス株式会社(2040年)
- 積水化学工業株式会社(2050年)
- 味の素株式会社(2050年)
- 株式会社アドバンテスト(2050年)
- 住友林業株式会社(2040年)
- 三井不動産株式会社(2050年)
- 三菱地所株式会社(2050年)
- アスクル株式会社(2030年)
- 日本ユニシス株式会社(2050年)
- 株式会社LIXILグループ(2050年)
- ヒューリック株式会社(2025年)
- 東急株式会社(2050年)
- 株式会社フジクラ(2050年)
- 株式会社高島屋(2050年)
- 旭化成ホームズ株式会社(2038年)
- パナソニック株式会社(2050年)
- 第一生命保険株式会社(2050年)
- アセットマネジメントOne株式会社(2050年)
- 富士フイルムホールディングス株式会社(2050年)
- 小野薬品工業株式会社(2050年)
- 大和ハウス工業株式会社(2040年)
- ワタミ株式会社(2040年)
- イオン株式会社(2030年)
- 株式会社安藤・間(2050年)
- 楽天株式会社(2025年)
- 城南信用金庫(2050年)
- 株式会社丸井グループ(2030年)
- 富士通株式会社(2050年)
- 株式会社エンビプロ・ホールディングス(2050年)
- ソニー株式会社(2040年)
- 芙蓉総合リース株式会社(2050年)
- 生活協同組合コープさっぽろ(2040年)
- 戸田建設株式会社(2050年)
- コニカミノルタ株式会社(2050年)
- 大東建託株式会社(2040年)
- 株式会社野村総合研究所(2050年)
- 東急不動産株式会社(2050年)
RE100に加盟し環境経営を推進するメリット
RE100への加盟など環境経営を考えるメリットは大きく分けて2つあります。
ESG投資への対応
従来は投資の際には決算などの財務情報が重視されてきました。ESG投資では、財務情報だけではなく環境や社会問題などに取り組むことでリスクを軽減して新たな機会を得ていく企業が注目されています。
機関投資家を中心に取り組みが広がり、最近では株主より化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を求められている企業もあります。安定した資金調達のためにはESGへの適切な対応は必要です。
エネルギー価格上昇のリスク対策
日本の電源構成の多くは石油、石炭、液化天然ガス(LNG)といった化石燃料による火力発電が占めています。その化石燃料のほとんどについて中東からの輸入に頼り、エネルギー自給率の低い状況です。
これらの地域では政治的または軍事的な緊張といった地政学的リスクを抱えているため供給や価格の安定への懸念があります。また世界的な需要の増加もあり、国際エネルギー機関(IEA)の見通しによると将来的に化石燃料の価格が上昇していくと言われています。
不安定なエネルギー価格の上昇へのリスクに対応するため、国産のエネルギーである再生可能エネルギーへの転換を検討するメリットはあるでしょう。
RE100加盟のための電力調達方法
RE100の加盟や環境経営で必要となる再生可能エネルギーによる電力を調達する方法は主に2つ。1つは自社で発電する方法、もう1つは発電事業者や電力会社から再エネ由来の環境価値を持つ電力を購入する方法です。それぞれの方法を紹介します。
自社で再生可能エネルギー(再エネ)発電をする
工場や店舗の屋根、自社の敷地内に太陽光発電などの発電設備を設置して自社で発電する方法です。
RE100に加盟しているイオンでは、再エネで発電された電⼒の購入と併せて店舗への太陽光パネル設置もすすめています。日本企業で初めてRE100に加盟をしたリコーでは、静岡県御殿場市のリコー環境事業開発センターへ太陽光パネルを設置して自社の空調や照明に利用するほか、マイクロ水力発電システムの開発や普及に取り組んでいます。
再生可能エネルギー(再エネ)で発電された電力を購入
自社の敷地に発電設備を設置できない場合や自社の発電量では必要な電力をまかなえない場合、再エネ由来の電力を購入する必要があります。電力の購入には2つの選択肢があります。
- 再エネ電力メニューを扱う電力小売事業者と契約をして購入する
- 再エネに関する証書で環境価値を購入する
再エネに関する証書とは、自然エネルギーを利用して発電された電気の環境価値を証書として取引ができるようにしたものです。日本にあるのはグリーン電力証書、J-クレジット(再エネ由来)、非化石証書(再エネ指定)の3種類で、グリーン電力証書、J-クレジットを購入、または非化石証書証書と組み合わされた電気を購入すると再生可能エネルギーによる電力を利用したとみなされます。購入した再エネに関する証書を活用することで、RE100を始めとする環境への取り組みに参加をしたり、株主や顧客へ自社の取り組みのアピールが可能です。
- グリーン電力証書
- 自然エネルギーで発電された電気の環境付加価値を取引する証書。発行事業者から企業や自治体などの電力利用者が購入する。購入した費用は発電事業社への助成金として利用される。
- J-クレジット(再エネ由来)
- 国によって運営されている制度で、認証されたプロジェクトのCO2などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量をクレジットとして取引ができる。登録事務局の入札や仲介業者・保有者との相対取引で企業や自治体といったの電力利用者が購入し、収益は温室効果ガスの排出削減に取り組むクレジット創出者に還元される。
- 非化石証書(再エネ指定)
- 非化石電源で作られた電気という価値を取引できる証書。小売電気事業者が非化石電源比率を上げるために購入するもので、収益は固定価格買取制度(FIT)の賦課金の低減に利用される。再生可能エネルギー電源を明らかにするトラッキング付非化石証書と組み合わせて販売される電気を購入すればRE100の基準で認められる。
再生可能エネルギー(再エネ)発電の電力をどうやって購入すればよいの?
再エネで電力を電力会社から購入する場合、どのようなメニューがありどうやって購入すればよいのでしょうか。
- 水力100%などで発電された環境価値がある電気
- 再生可能エネルギーを利用して発電された、料金は高いけれど環境価値を持ったままの電気を電力会社から購入する。
- 再生可能エネルギーの比率が高い発電方法と再エネに関する証書を組み合わせた電気
- グリーン電力証書や非化石証書により環境価値がある電気を供給する電力会社から購入する。
RE100の加盟はもちろん、SBT、ISO14001などの自社の取り組みにどのような電力会社のプランを選べば対応できるのか、エネチェンジBizではそれぞれの特徴やプランについての詳しい説明を行っています。
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