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日本だけがガラパゴス化? 縮小が進む国内の太陽光市場【エネルギー自由化コラム】

電力自由化ニュース

太陽光関連事業者の倒産が過去最高を記録するなど、日本の太陽光市場は曲がり角を迎えています。それに対し、世界では米国・中国を中心に太陽光が急速に伸び、息を吹き返しています。明暗を分ける日本と世界の状況を解説します。

日本の太陽光発電事業がピンチに陥っています。2016年に国内で設立された電力事業者のうち、太陽光をエネルギー源とする企業が2年連続で前年を下回りました。2016年度の住宅用太陽光パネル出荷量は2011年度並みの水準。2017年の太陽光関連事業者の倒産も9月末現在で過去最多だった前年を上回っています。これに対し、世界では太陽光発電の新規導入量が2016年、過去最高を更新しました。国内と国外で明暗がはっきり分かれているのです。

2016年の新設法人は29%減、2年連続で前年割れ

民間信用調査機関の東京商工リサーチによると、2016年に設立された太陽光をエネルギーに利用する電力事業者は1,045社。新設された全電力事業者1,791社の58.3%を占めたものの、前年の1,467社に比べ、28.7%減りました。東京商工リサーチは2009年から毎年、調査をしていますが、初めて2年続けて前年割れしたのです

新設された全電力事業者数も前年に比べると、18.1%の減少です。こちらも2年連続の前年割れ。太陽光以外の再生可能エネルギーでは、風力が242社(前年比22.2%増)、地熱が126社(同18.8%増)と増加したものの、太陽光の減少をカバーするほどの勢いはありません。

法人格別にみると、株式会社より設立コストが低く、株主総会の開催義務がない合同会社が全体の半数強に当たる957社を占めました。しかし、太陽光関係の減少が響き、過去最多だった2014年の1,821社から半減しています。

パネルの出荷量、住宅用は2011年度並みまで低下

業界団体の太陽光発電協会がまとめた太陽光パネルの総出荷量でも、同様の傾向がうかがえます。2016年度の総出荷量は6,859メガワット。前年度比14%減にとどまり、ピークの2014年度と比較すると30%以上も減少しています。

太陽光パネルは2011年の東日本大震災をきっかけに注目が集まり、急激に出荷量を増やしました。しかし、2014年度をピークに頭打ちとなり、減少傾向に入っています。それがさらに加速し、2016年度は2013年度よりも低い水準に落ち込んでいるのです。

国内向けの用途別出荷量をみると、非住宅用は第2四半期以降、前年度出荷量に比較的近い形で推移していますが、住宅用は2011年度とほぼ同じ水準まで低下しました。太陽光発電協会は「普及に急ブレーキがかかっている」とみています。

関連事業者の倒産、2017年は9月までで過去最多を更新

太陽光関連事業者の倒産も急激に増えています。東京商工リサーチによると、2017年1~9月の倒産件数は68件。前年同期比61.9%増で、過去最多だった2016年1年間の65件を3カ月残した段階で上回りました。最多記録の更新はこれで3年連続。このペースで推移すると、倒産件数が年間90件に達する可能性があります。

4月には太陽光パネル販売大手の「ゼン・パワー」(福岡市)が約52億円の負債を抱え、福岡地裁から破産開始決定を受けました。2014年12月期に約74億円の売上高を計上していましたが、大口取引先のドイツ企業に不良債権が発生し、急激に資金繰りが悪化したとみられています。

太陽電池関連製品を愛媛県西条市の工場で生産していた「PVGソリューションズ」(横浜市)も2月、約22億円の負債を抱えて横浜地裁から破産開始決定を受けました。安い海外製品の流入や工場建設の借入負担などから経営が破たんしました。

販売不振など不況型倒産が加速傾向に

倒産68件の負債総額は215億円余り。前年同期に比べ、16.5%増えていますが、負債額1億円未満の小口倒産が全体の半数強に当たる35件を占めたため、件数の増加ほど負債額は膨らんでいません。

倒産の原因では、販売不振や売掛金回収難など不況型倒産が43件に上り、前年同期の24件を大幅に上回りました。9月は1カ月だけで倒産が9件発生しており、ペースに加速傾向も見られます。

東京商工リサーチ情報部は「需要の減退から採算が合いにくくなり、業界自体が縮小に向かっている。中でも他業種からブームに便乗して参入したところが採算を悪化させているようだ」と分析しています。

買取単価はわずか5年で当初のほぼ半額に低下

太陽光発電買取価格の推移(調達1キロワット時当たり、発電量10キロワット以上2,000キロワット未満の施設)

2012年度2013年度2014年度2015年度2016年度2017年度
40円+税36円+税32円+税29円+税24円+税21円+税

出典:経済産業省ホームページ

太陽光発電への新規参入が加速したのは、2012年7月に導入された再生可能エネルギーの固定価格買取制度が契機になりました。スタート当初は新規参入を促す目的で発電量10キロワット以上の施設に対し、1キロワット時当たり40円で大手電力会社に購入させていました。

2011年に起きた福島第一原発事故も国民の記憶に新しく、市場は急速に拡大していきました。日本全国が太陽光バブルにわき、住宅の屋根や休耕田などに相次いで太陽光パネルが設置されたのです。

ところが、高値で買い取りした費用は電気料金に上乗せして国民から徴収されています。政府はこの負担に対する反発があるなどとして毎年、買取単価を引き下げてきました。2017年度は21円まで下がり、わずか5年でスタート当初のほぼ半額になっています。

業界は希望退職募るなど合理化推進に必死

兵庫県の業者は「これだけ価格が下がるとは思わなかった。政府の対応にも疑問を感じる」と不満を口にしました。大手業者の中には2015年度以降、3度も希望退職を募るなどひたすら合理化を進めて生き残りを図るところも出ています。

営業区域内に設置可能な企業や住宅が少ない地方の業者は、首都圏や関西など大都市に狙いを定め、営業攻勢をかけています。

だが、政府は少なくとも2019年度まで買取価格を段階的に引き下げる方針。もともと太陽光より低い買取価格だったとはいえ、風力や水力など価格に大きな変化がない他の再生可能エネルギーに対する姿勢と大きく異なったままです。

中国、米国がけん引し、世界の需要は絶好調に

徳島県徳島市で稼働している太陽光発電施設。世界では米中両国が市場を牽引し、過去最高の導入量となっているが、国内市場は曲がり角を迎えている(筆者撮影)
これに対し、世界の太陽光発電新規導入量は絶好調で、2016年は過去最高を更新しました。欧州の業界団体ソーラーパワー・ヨーロッパによると、2016年の導入量は約7600万キロワット。前年を5割も上回っています。

2011年から14年にかけ、太陽光バブルの崩壊で需要が伸び悩みましたが、パネルや建設価格の低下で再び拡大期に入っています。国際再生可能エネルギー機関によると、発電コストも1キロワット時当たり10セント(約11.1円)を割り込み、地域によっては石炭火力と競争できる水準まで下がりました。

需要の中心は欧州から日本を除くアジアへ移りましたが、けん引役を果たしているのは中国と米国です。両国は2021年まで年平均2割の成長が続くと予測されています。

主要国で雨マークがついたのは日本だけ

ソーラーパワー・ヨーロッパの発表資料の中に、気になる記述を見つけました。各国の太陽光発電推進状況を天気図で表したものです。政府の後押しを十分に期待できるなら「晴れ」、そうでなければ「雨」、中間を「曇り」で表現しています。

主要20カ国のうち、中国、米国、インドなど11カ国が晴れマークで、豪州、カナダなど曇りマークの国も8か国ありました。しかし、唯一の雨マークだったのが日本なのです。

太陽光は発電量が安定せず、送電網の整備、余剰電力の活用などに課題も残ります。ただ、日本だけがガラパゴス化しつつある現状で良いのか、もう1度真剣に議論してみる価値がありそうです。

高田泰(政治ジャーナリスト)

高田泰(政治ジャーナリスト)

関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆している。
高田泰(政治ジャーナリスト)
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