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米国産シェールガス、ガス大手が相次いで輸入に踏み切るそのワケは【エネルギー自由化コラム】

ガス自由化ニュース

東京ガスが米国産シェールガスの輸入を開始、大阪ガスや東邦ガスも近く輸入を開始する予定です。詳細をお伝えします。

東京ガスが米国本土からシェールガス由来の液化天然ガス(LNG)の輸入を始めました。2019年以降、大阪ガスや東邦ガスもこれに続く見通しで、国内のガス大手がそろって米国産シェールガスを導入することになります。調達先の分散で価格高騰のリスクを抑えるのが主な狙いで、一時は資源価格の低迷から米国産シェールガスの割高感が増していましたが、原油価格の上昇で割高感が消えつつあることもプロジェクトの追い風となりそうです。

一般家庭22万世帯分が横浜に到着

東京ガス向けにLNGを送り出している米国メリーランド州のコーブポイント天然ガス液化プラント(東京ガス提供)
横浜市磯子区の工業地帯に隣接した東京ガス根岸LNG基地。関西電力のLNG船「LNGサクラ」が5月、接岸しました。積み荷は米国東海岸のメリーランド州にあるコーブポイントLNGで液化した米国産シェールガス約7万トン。一般家庭の年間都市ガス使用量に置き換えると22万世帯分に相当します。

東京ガスと関西電力はLNG調達で協力関係を結んでいます。ともにコーブポイントLNGで調達しますが、関西電力の需要が少なく、東京ガスの需要が多ければ、関西電力が調達したLNGであっても東京ガスが受け入れます。スワップと呼ばれる取引です。

中東やオーストラリア産は輸出先を変更することが簡単にできません。仕向地条項といって、荷揚げ場所が固定されて第三者に転売を認めないことが契約に盛り込まれているからです。しかし、米国産シェールガスにはこの条項が入っていません。これを利用して関西電力が調達したLNGをスワップしたわけです。

東京ガスは年間140万トンを輸入

コーブポイントLNGは4月に商業運転を始めたばかり。住友商事の100%子会社であるパシフィック・サミット・エナジーが全米から調達したシェールガスを液化加工しています。

東京ガスは20年間にわたって年間約140万トン、関西電力グループは年間約80万トンを輸入する計画です。東京ガスには5月の輸入第1弾に続き、1カ月に1回程度のペースでLNG船が各地のLNG基地に米国産シェールガスを荷揚げしています。

東京ガスの輸入第1弾が関西電力とのスワップとなったことから、今後東京ガスが調達したLNGが関西電力に融通されることになります。

英国のセントリカともスワップで協力

東京ガスは関西電力以外ともスワップで協力を進めます。その例が英国のエネルギー大手セントリカで、2016年に相互協力に関する協定を結びました。セントリカは全世界約2,840万件の需要家に電力、ガスを提供しており、英国最大のガス事業者です。

東京ガスが米国産シェールガスを欧州に輸出する代わりに、セントリカがアジア太平洋産のLNGを東京ガスに引き渡す約束です。東京ガスは首都圏の都市ガス需要が増す時期に合わせ、より多くのLNGを引き取る考えを持っています。

仕向地条項を契約条件としない米国産シェールガスの生産増大がLNG市場の取引慣行に影響を与え、マレーシアのペトロナスなどアジア太平洋の企業も柔軟な契約を認めるようになってきました。東京ガスは「このような連携を通じ、LNGの安定確保と原料調達費の低減に努めたい」としています。

シェール革命で米国産の生産量が急増

シェールガスは頁岩(けつがん)と呼ばれる堆積岩層から採取される天然ガスです。頁岩は非常に粒子が細かく、液体や気体を通すすき間がほとんどありません。埋蔵場所も1,500メートル以上の深い場所に多く存在しています。

このため、資源回収に高度な採掘技術が必要で、生産量が限られていました。しかし、2000年代に入って採掘技術が確立されたことから、米国で本格的な生産が始まり、2012年から一気に生産量が増えました。これがシェール革命です。

米国はペンシルベニア州やテキサス州などに有力なシェールガス田があり、世界トップ5に入る埋蔵量を持つと推計されています。米国エネルギー省のまとめでは、2016年の天然ガス生産量のうち、約半分の3億4,000万トンをシェールガスが占め、今後さらに拡大が見込まれています。

世界各国のシェールガス埋蔵量(単位・兆立方メートル)
  1. 中国 31.6
  2. アルゼンチン 22.7
  3. アルジェリア 20.0
  4. 米国 17.7
  5. カナダ 16.2

出典:国連貿易開発会議報告書(2015年9月現在)

財務省貿易統計によると、日本のLNG輸入量は2016年度で8,475万トン。輸入先は2,350万トンのオーストラリアを筆頭にアジア太平洋、中東、ロシアが中心ですが、ここへ米国産シェールガスが加わるわけです。米国産シェールガスの輸入は2017年から始まり、東京電力カフュエル&パワーや中部電力が出資するJERAが第1号です。

日本の主なLNG輸入先(2016年度・単位:万トン)

オーストラリア2,350
マレーシア1,555
カタール1,191
ロシア771
インドネシア665
アラブ首長国連邦486
パプアニューギニア411
ブルネイ404
オマーン253
ナイジェリア180

出典:財務省「貿易統計」

原油高騰に振り回されない価格設定が魅力

米国産シェールガスは転売が可能なこと以外にも他のLNGと異なるメリットがあります。価格の決め方もその1つです。中東やアジア太平洋地域産の長期契約は原油価格に連動し、100万BTU(英国熱量単位)のLNGに対し、1バレル当たりの原油価格の11~14%程度を米ドルで支払っています。

これに対し、米国産シェールガスは「ヘンリーハブ」と呼ばれる米国内の市場取引に連動した価格指標で価格が決まります。揺れ幅が大きい原油価格に振り回されることなく、安定した取り引きが可能になるのです。

米国産シェールガスは特殊な採掘技術が必要なため、一定のコストがかかりますが、原油連動型のLNG価格と比べると、原油価格が1バレル60ドルを上回れば、米国産シェールガスが割安になる可能性が高く、60ドルを下回ると割高になるとされます。調達するLNGの価格設定が分散されることで高騰のリスクを低減できるわけです。

原油価格が1バレル100ドルを超えていた2014年には、米国産シェールガスへの期待が高まっていました。その後、原油価格が低迷していましたが、ここにきて1バレル70ドル前後まで上昇、再び米国産シェールガスへの期待が高まりつつあります。

大阪ガス、東邦ガスも近く輸入を開始する予定

大阪ガスは米国テキサス州のフリーポートLNGから、2019年度にも米国産シェールガスの輸入を始めることにしています。年間200万トンを超す契約を結び、自社で使用するだけでなく、海外にも販売する考えです。

当初は2018年度中の輸入を計画していましたが、2017年の大型台風の影響でLNG基地建設が遅れ、計画を見直しました。大阪ガスは「今後、シェールガス由来のLNGについて活用方法を模索していきたい」と前向きに語りました。

東邦ガスは2016年、三菱商事の100%子会社ダイアモンド・ガス・インターナショナルと売買契約を結び、2019年から19年間にわたって米国ルイジアナ州から年間約20万トンのシェールガスを輸入します。東邦ガスは「エネルギー確保の安定に向け、調達地域や価格設定、契約形態の多様化を図りたい」と理由を説明しています。

日米通商問題の緩衝材としても期待

シェールガスの輸入は日米関係にも好影響をもたらしそうです。世耕弘成経済産業相は2017年10月、東京都内で開かれた「LNG産消会議2017」でアジアのLNG市場を拡大するため、官民挙げて100億ドルの経済支援を約束しました。

日本として関連インフラの輸出やLNGの安定調達というメリットがある一方、米国はLNGの輸出先を確保できます。6月から石油天然ガス・金属鉱物資源機構がアジア各国の政府関係者向け研修を開くなど取り組みが具体化しています。

保護貿易策を取るトランプ政権の登場以来、日米通商問題が浮上していますが、米国産シェールガスの輸入はガス大手のメリットだけでなく、日米関係の緩衝材の役割も果たしているわけです。

高田泰(政治ジャーナリスト)

高田泰(政治ジャーナリスト)

関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆している。
高田泰(政治ジャーナリスト)
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