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次世代を担うエネルギーは波!?波力発電の全容に迫る!

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でんきの基本

最近、波のエネルギーを使った発電方法が注目されていることをご存知ですか?波力発電の発電方法や仕組み、波力発電の今後を紹介いたします。

波力発電という発電方法をご存知ですか?波のエネルギーを活用した発電方法ですが、実は今後の電力供給の一旦を担うことが期待されている再生可能エネルギーのひとつなんです。今回は波力発電の仕組みから現状、そしてエネルギーの将来についてご紹介します。

波力発電とは?

波力発電とは、文字通り波の運動エネルギーを利用して電力を得る発電方法のことを言います。台風や津波の際は「海岸に近づかないよう」にと言われますが、それは波の持つエネルギーが大きく危険を伴うからです。一方で、この巨大な波エネルギーをいかした波力発電の研究が近年注目を集めています。

波力発電の仕組み

それでは波力発電がどのような仕組みで行われているか説明します。発電方法は以下の4つです。

  • 振動水柱型
  • 可動物体型
  • 越波型
  • ジャイロ式

では、ひとつずつみていきましょう。

振動水柱型

振動水柱型波力発電は、おもに航路用のブイなどの電源として利用されています。事実上、唯一の広く実用されている波力発電技術です。
この方式では、波のエネルギーを利用して空気を動かし、この空気でタービンを回して発電します。

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発電装置の中にある空気室と呼ばれる箇所に海水が流れ込み、海面の上下運動によって空気が押し出されます。押し出された空気が風となり、タービンが回転、発電されるんです。
振動水柱型の特徴
  • タービンに直接波が当たらずシンプルな構造のため、故障や腐食に強い
  • 海の荒れ具合に左右されにくい

画像引用:波力発電-海の波のエネルギーで発電|エネルギー新時代|J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]

可動物体型

可動物体型波力発電では、タービンを用いずに波エネルギーを振り子の運動エネルギーに変換し、油圧モーターを回転させて発電します。

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右の図のように、振り子式受圧板が海に触れており、波に揺られた受圧番によって振り子の運動エネルギーが発生します。その運動エネルギーが油圧発生装置を動かし、油圧モーターが回転することで発電する仕組みです。

画像引用:波力発電-海の波のエネルギーで発電|エネルギー新時代|J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]

越波型

越波型波力発電では、貯留池の水面と海面の高低差を利用してタービンを回転させ発電します。

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貯留池を築き、防波堤によって海と貯留池を隔てます。防波堤を越えてきた波が貯留池に溜まり、海水面と貯留池の水面に差が生まれ、その高低差をなくそうとする海水の移動によって生まれるエネルギーでタービンを回し、発電する仕組みです。防波堤を築くため、防災には一役買いますよね。しかし、設置規模も大きく、波が防波堤を越えないと発電できないというデメリットがあります。

画像引用:波力発電-海の波のエネルギーで発電|エネルギー新時代|J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]

ジャイロ式

上記の3つの発電方法に加え、ジャイロ効果を利用した新しい発電方法があります。その名もジャイロ式波力発電。この発電方法は世界的に見ても革新的なアイデアで注目を集めています。

ジャイロ効果とは?

回転する物体はその姿勢(回転軸)を一定に保とうとする性質のこと。

おもちゃのコマを想像してみてください。コマが勢い良く回っている時、コマに触れるとコマは一瞬傾きますがすぐに元に戻ろうとしますよね。簡単に言うとこれがジャイロ効果です。この元に戻ろうするエネルギーを利用した発電方法をジャイロ式波力発電と言います。
ジャイロ式が注目されている理由は効率の高さです。
波というのは行ったり来たりの運動ですが、発電機は回転によって電気を作ります。他の方式では空気や複雑な機構を使って波の直線的な運動を発電機の回転へ変換するため、施設が大きくなったり、ムダが多くなったりします。
一方ジャイロ式は、高速で回転させた円盤を大きな浮きの上に置きます。すると波に揺られて傾きますが、このとき「ジャイロ効果」によって、円盤をまっすぐに保とうとする回転運動が生まれます。波で揺らすだけで発電機を回せるため、高い効率が実現できるのです。
参照: JSTニュース|バックナンバー2013年7月号

波力発電のメリット

ここまでは波力発電についての説明と、発電方法を紹介してきました。では、次は波力発電のメリットについて紹介しますよ。波力発電のメリットは大きく分けて4つあります。

  1. 枯渇の心配がない
  2. 面積あたりの発電効率
  3. 発電の安定性
  4. 産業への波及

枯渇の心配がないことは一目瞭然ですので、ここでは残りの3つについて詳しく説明します。

面積あたりの発電効率

波エネルギーは、空気よりずっと重い水の運動エネルギーを利用するため、面積あたりの発電効率が他の自然エネルギーよりも優れているんです。太陽エネルギーの約20〜30倍、風力発電の約5倍と言われています。
発電効率が良いのは次で紹介する発電の安定性も理由の1つです。
参照:波力発電ドットコム

発電の安定性

発電の安定性については、風力発電・太陽光発電・波力発電を比較してみましょう。

風力発電
風が弱かったり、風が吹かなかったりすると発電できない
風向きや設置場所などの条件に左右される
太陽光発電
発電できる時間帯が限られる
天候の影響を大きく受ける
波力発電
日本は島国なので「波」を比較的得やすい
波がまったくない状況が続くことはほとんどないため、風力や太陽光より発電にムラがない

このように風力や太陽光といった自然エネルギーは外部要因によって発電量が大きく左右されるのに対して、波力は比較的安定した発電が見込めます。日本は島国ですので、長い海岸線を活かして広い範囲で波エネルギーを活用できるのもポイントですよね。

参照:波力発電の現状-GLOCOM

産業への波及

波力発電が実用化により、海での発電所建設に必要な新素材の開発や、海で使う機械・部品の製造に長けた造船業界などへ新しい市場が開かれることが期待されています。

参照:波力発電検討会|東京都環境局 エネルギー

波力発電のデメリット

それでは次に波力発電のデメリットを紹介します。これは発電量や安定性に優れている波力発電が実用化されていない理由でもあるんです。波力発電のデメリットとしては大きく分けて3つ。

  1. コスト
  2. 安全性
  3. 漁業との兼ね合い

コスト

ここでいうコストというのは、大きく分けて2つあります。

  • 設置コスト
  • 維持コスト

波力発電装置を設置する場合、当然設置は海上ですね。潜水作業などが必要となるため、陸上に設置する発電機よりも時間や費用が多くかかると考えられます。
また、大きな波の運動エネルギーを受けることや、海水に常時触れていることによる腐食、貝・フジツボの付着などにより発電機の定期的な点検やメンテナンスといった維持コストもかかります。淡水の水力発電所と比較しても、波力発電所の維持コストは大きくなると言われているんです。

安全性

波力発電所は近海や防波堤に設置される可能性が高いため、台風による大波や、津波などの災害に対しても安全を確保できるのかと懸念されています。
風力発電の場合、風を受けるプロペラの角度を変えることで台風をやり過ごせますが、波力発電装置の多くは波を取り込む大きな構造を伴うため、波の直撃を避けることができません。このため、十分な強度が必要となります。ジャイロ式のように海面に浮いている場合も、波で流されないための十分な対策がないと漂流してしまいます。こうした安全性への配慮は、波力発電のコストを引き上げる一因にもなりますよね。
参照:「世界初」の商用波力発電所、運転停止に ポルトガル 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News

漁業との兼ね合い

波力発電を設置、実用化するには漁業を無視することは決してできません。

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波力発電所は、海流の流れがある程度活発な場所に作るのがベスト。これは言い換えると、たくさんの漁船が往来する漁場に作るということなんです。そのため、波力発電所の建設には漁業関係者の理解や協力が必要不可欠になります。
青森県の八戸港では、漁船同士が衝突しそうになるほど漁場が混雑しているのですが、このような場所に波力発電所を設置したら……確実に漁業に悪影響をもたらしますよね。

参照:波力発電検討会|東京都環境局 エネルギー

実用化への歩み、現状

まだ聞き馴染みのない波力発電、実は1970年代から大きく注目を集めています。その注目されるようになったきっかけはオイルショックです。世界的に石油を含めた化石燃料への危機感が高まり、代替エネルギーに注目が集まりました。その際に、太陽光発電や風力発電と同様に波力発電も注目を浴び、研究開発が進められるようになったんです。

世界初の実用波力発電装置を開発も、研究は下火に

我が国における波力発電の研究、世界最先端だった時期もあるんですよ!

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益田式航路標識ブイ
日本では1919年に波力発電に関する実験が千葉で行われ、その後1965年に海上保安庁により益田式航路標識ブイが採用されました。なんと、これは世界で初めて実用化された波力発電装置なんです!現在でもこの装置は国内外で稼働しています。世界的に関心が高まったのが1970年代ですので、日本はかなり先を行って研究していたんですね。その後も様々な波力発電装置の実験が行われてきました。
しかし石油価格の高騰の落ちつきや資金難に伴って、波力発電の研究は徐々に下火に……。結果として、継続的に研究を続けていた欧州、米国では一部実用化されているのに対して、日本はまだ実用化に至っていないという結果になったんです。

画像引用:波力発電装置の使用例|電源装置|製品カタログ|緑星社

参照:NEDO:NEDO再生可能エネルギー技術白書

実用化に向けて

諸外国から遅れを取っている日本ですが、近年実用化へ向けて実験や開発が活発に行われています。
東日本大震災で被災した岩手県の久慈市の港では、今年8月から試験的に波力発電による発電を始めるそうです。港の沿岸に設置した発電装置で一般家庭10〜13世帯分の電力を供給できるとか。先ほど説明したジャイロ式波力発電は世界初の技術で注目を浴びており、加えて三井造船や三菱重工が従来の波力発電装置を改良した新装置を開発しています。日本の技術力の見せ所だと思いませんか?今後に期待しましょう。

参照:波力発電:岩手の漁港で今夏稼働へ…漁協などに試験供給 – 毎日新聞参照:三菱重工技報 | ユニット型多重共振波力発電装置(高効率発電装置)の開発

その他の海洋エネルギー発電

波力発電にだけでなく、海の力を利用した海洋エネルギー発電を紹介します。

潮汐力発電
潮の満ち干きを利用してタービンを回し発電する。発電量の予想がしやすく安定性が期待できる。
海流発電
海流によってタービンを回し発電する。送電距離や設置の問題と実用化にむけて課題が多い。

参照:NEDO:NEDO再生可能エネルギー技術白書

波力発電まとめ

今回は波力発電について紹介しました。東日本大震災以降、原子力にかわる新しいエネルギーの必要性や関心が高まっており、電力の供給方法に関して大きな転換期を迎えています。CO2を排出せず、放射能漏れの心配もない波力発電が再注目されているのも頷けますね。
今後の波力発電の発展のためには国の研究、支援が必要不可欠になるでしょう。島国である日本が、その特徴と世界水準の技術をいかして、再び波力発電の最先端に立つことを期待しています。

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