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経産省が非効率な石炭火力の休廃止を検討へ、電力大手に困惑の声も【エネルギー自由化コラム】

電力自由化ニュース

経産省は2030年度までに、段階的に石炭火力発電所を休廃止する方向で検討に入る方針を明らかにしました。日本では現在、電源構成の多くが石炭火力に依存し、2030年度の電源構成で石炭火力が26%を占めるとされています。地球温暖化防止として国際社会で石炭火力の休廃止が歓迎される一方、国内で安定したエネルギー供給をどう確保していくのかが課題です。

梶山弘志経済産業相は二酸化炭素排出量が多い非効率な石炭火力発電所について、2030年度までに段階的に休廃止する方向で検討に入る方針を明らかにしました。国際社会の強い批判に応えるのが狙いで、環境保護団体から地球温暖化防止へ一歩前進として歓迎の声が出ていますが、電力調達の多くを石炭火力に依存する電力大手からは困惑の声がもれてきます。

有識者会議で議論し、年内に結論

徳島市阿南市にある電源開発の橘湾石炭火力発電所。経済産業省は非効率な石炭火力の休廃止を検討する方針を明らかにした(筆者撮影)

「脱炭素社会の実現を目指すため、非効率な石炭火力のフェードアウトや再生可能エネルギーの主力電源化により実効性がある新たな仕組みを導入すべく検討を始めるよう指示した」。梶山経産相は閣議後の記者会見で経産省としての新方針を打ち出しました。

経産省が非効率とするのは、電力大手や製造業の工場設備など国内にある石炭火力140基のうち、旧式の約110基です。急激に抑制したのでは電力会社が対応できないとして段階的に休廃止する方針で、2030年度までの10年間をかけて非効率な石炭火力の約9割に当たる100基程度の削減を考えています。

経産省は、学識経験者らで構成する有識者会議で、具体的な検討に入ります。非効率な石炭火力の休廃止に必要な規制措置のほか、大規模停電を防ぐ方策についても、詰める方向です。経産省は年内をめどに結論を出すとしています。

海外の石炭火力公費支援も要件を厳格化

国のエネルギー基本計画では、2030年度の電源構成で石炭火力が26%を占めるとされています。単に非効率な石炭火力を休廃止するだけでは、エネルギーの安定供給に影響が出る心配があります。

そこで、経産省は化石燃料の中では二酸化炭素の排出量が少ない液化天然ガス(LNG)を使った火力発電を拡大する考えです。同時に、再エネの導入加速につながる基幹送電線の利用ルールを抜本的に見直すことも検討対象に加えます。

欧州諸国や国内外の環境保護団体から批判を浴びてきた海外での石炭火力建設に対する公的支援では、要件を厳格化する方向です。梶山経産相は「支援要件の見直しについて最終的な詰めをしているところだ」と述べました。

震災を機に石炭火力に経済界が注目

国はこれまで石炭火力を電源構成の基軸の1つに位置づけてきました。理由の1つがエネルギー安全保障です。日本は資源小国で、エネルギー源を海外に依存していますが、石油は中東地域に偏在しています。現地の政治情勢が一変すれば、輸入量が減る危険性をはらんでいます。これに対し、石炭は世界各地で産出するため、安定した輸入が見込めます。

2011年の東日本大震災で起きた東京電力の福島第一原子力発電の事故も、石炭火力を後押ししました。国民の間で原子力に対する不安が高まり、原発の新増設が難しくなりました。その結果、当面の電力需要を支える石炭火力の必要性が高まったのです。

震災後、太陽光発電を中心に再エネの普及が一気に進みました。しかし、再エネは天候によって発電量が左右されます。電力大手は発電量を調整しなければなりませんが、調整役に適しているのが石炭火力という側面もありました。

その結果、日本各地で石炭火力の新規建設計画が相次いで持ち上がりました。一時は約50もの計画が電力大手や都市ガス大手、ゼネコンなどによって打ち出され、神戸市や仙台市など反対運動が起きた地域もありました。

WWFジャパンが経産省の姿勢を歓迎

これに対し、欧州諸国は石炭火力の全廃に向けて動き始めています。自然エネルギー財団によると、ベルギーは2016年、国内最後の石炭火力を廃止しました。フランスは2021年、スウェーデンは2022年、英国、イタリアは2025年、オランダ、デンマーク、ポルトガルは2030年までに全廃する計画です。北米ではカナダが2030年の全廃を打ち出しています。

このため、欧米諸国は石炭火力を基軸電源とし、途上国へ設備輸出を続ける日本に対し、厳しい批判を浴びせてきました。日本は島国で、欧州のように隣国から電力を簡単に調達することができません。経産省はエネルギーの安定供給への懸念から、石炭火力の削減に踏み切れないできましたが、こうした国際社会の声にも配慮して方針転換したようです。

国内の環境保護団体はこれまで国の石炭火力政策を批判してきましたが、今回の方針転換に歓迎の声を上げています。WWF(世界自然保護基金)ジャパンは「代替電源を原発とするのは認められないが、石炭火力を大幅に休廃止する今回の方針転換を歓迎する」との声明を発表しました。

小泉進次郎環境相は途上国への石炭火力輸出の要件を厳格化する考えを主張していただけに、経産省の方針転換について記者会見で「脱炭素社会実現に向けた一歩」と高く評価しました。

北陸電力は通達を待って対応検討の方針

しかし、電力大手の多くは電源のかなりの部分を石炭火力に依存しています。北陸地方を拠点とする北陸電力は石川県志賀町の志賀原発の停止長期化により、2018年度の電源構成で石炭火力の占める割合が50%に達しました。

管内には6基の石炭火力発電が稼働中です。このうち、石川県七尾市の七尾大田火力発電所の1、2号機と福井県敦賀市の敦賀火力発電所2号機は、発電効率が高い超々臨界圧方式を採用していますが、富山県射水市の富山新港火力発電所1、2号機のように50年近く前に運転を始めた旧式も存在します。

北陸電力は「正式な通達がなく、明確な休廃止の基準が示されていない。通達を待って今後の対応を慎重に検討したい」と述べました。

北陸電力の電源構成(2018年度)

出典:北陸電力資料から筆者作成

沖縄電力は地域特性への配慮を期待

沖縄電力は2018年度の電源構成で石炭火力が64%を占めました。沖縄県うるま市に具志川火力発電所の1、2号機、金武(きん)町に金武火力発電所1、2号機を持ち、うるま市にある電源開発の石川石炭火力発電所から電力を調達していますが、原発や大規模水力発電がないため、どうしても石炭火力の比重が高まってしまいます。

梶山経産相は会見で沖縄電力について「地域性を考慮してどんな経過措置が必要か考えたい」と火力に頼らざるを得ない沖縄電力の特殊事情に配慮する意向を示しましたが、経産省は沖縄を対象地域から外す考えを持っていません。

沖縄電力は「沖縄県は他県と送電線がつながっておらず、石炭火力が重要なベースロード電源になっている。経過措置の検討では沖縄県の事情を十分に理解して議論を進めてもらいたい」と話しました。

沖縄電力の電源構成(2018年度)

出典:沖縄電力資料から筆者作成

代替電力の確保が新たな難題に

電力大手各社によると、その他の電力大手は東京電力20%、中部電力22%、関西電力18%と三大都市圏を拠点とする会社は比較的、石炭火力への依存度が低いものの、北海道電力52%、東北電力39%、中国電力47%、四国電力43%、九州電力29%と地方に本拠を置く会社は依存度が高くなっています(東北電力2019年度、その他2018年度実績)。

エネルギーの安定供給を崩さずにどうやって石炭火力の代替電力を確保していくのか、経産省には新たな難題が重くのしかかってきそうです。

高田泰(政治ジャーナリスト)

関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆している。
高田泰(政治ジャーナリスト)
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