オール電化とガス併用はどっちがおトク!?コストや安全性などを比較
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オール電化とガス併用って比較するとどっちがおトクなんだろう?と気になっている方も多いのではないでしょうか?オール電化は、家電製品や照明だけでなくコンロや給湯なども含めてすべてのエネルギーを電気でまかなうシステムのことを指します。
もしガスをオール電化に置き換えた場合、光熱費はおトクになるのでしょうか?また光熱費以外にもメリットがあるのでしょうか?この記事では、オール電化にした場合とガス(LPガス/都市ガス)を併用する場合を比較しながら、それぞれの特徴を紹介します。
- 更新日
- 2021年10月12日
オール電化とガスとの併用はどっちがおトク?
オール電化とガスとの併用では、コストを比較するとどちらがおトクなのでしょうか?オール電化とガス併用のエネルギーコストを比較しました。
オール電化とガス併用のエネルギーコストを比較
オール電化とガス(都市ガス/LPガス)のエネルギーコストを比較してみましょう。電気とガスのコストを比較するには、同じ単位あたりの値段で見るのがいちばんです。そこで、ガスの持つ熱エネルギーを電気で起こした場合必要な電力量を計算、kWhに単位を統一し、それぞれの1kWhあたりのエネルギーコストを求めました。
なお電気代の計算には、東京電力エナジーパートナー(以下、「東京電力EP」)のオール電化住宅向けプラン「スマートライフS」の料金単価を用いています。1kWh=860kcalとし、LPガスの発熱量を24,000kcal/㎥、都市ガスの発熱量を11,000kcal/㎥とし計算しています。
種別 | 1kWhあたりのエネルギーコスト | |
---|---|---|
電気(東京電力EP「スマートライフS」) | 昼間(6:00~翌1:00) | 25円80銭 |
夜間(1:00~6:00) | 17円78銭 | |
ガス(東京地区) | LPガス | 24円38銭 |
都市ガス | 14円07銭 |
LPガス価格は日本LPガス協会の東京地区「一般小売価格」(2021年8月時点)より680.3円/㎥として計算しています。都市ガス価格は180円/㎥として計算しています。
上の結果を見ると、都市ガスのエネルギーコストがもっとも低く、次いでオール電化の夜間時間帯のコストが低く経済的であることがわかります。ただし、実際の支払いにはエネルギー自体のコストのほかに基本料金がかかります。
電気とガスを併用した場合には、それぞれの契約に基本料金がかかりますが、オール電化にした場合はガスの基本料金がかかりません。そのため、オール電化ではガスの基本料金の分おトクになることも考慮する必要があります。
オール電化とガス併用の基本料金を比較
石油情報センターによると、東京都の一般家庭で1世帯当たりのLPガス平均使用量は1カ月あたり10.3㎥です。また東京ガスによると、一般家庭での都市ガス平均使用量は1カ月あたり30.0㎥です。
出典:「平成18年度プロパンガス消費実態調査」|石油情報センター
一般家庭での平均使用量が、知りたい。|ご家庭のお客さま向けFAQ|東京ガス
それぞれのガス平均使用量の場合、基本料金は以下のようになります。
- LPガス 使用量10.3㎥/月
- ひと月1,878円00銭石油情報センターの東京都都心部の「平均基本料金」(2021年8月時点)を参照しています。
- 都市ガス 使用量30.0㎥/月
- ひと月1,056円00銭東京ガスの東京地区等「A表の基準単位料金」(2021年10月時点)を参照しています。
続いて電気の基本料金を見てみましょう。
ガス併用住宅で電気を平均的な30Aで東京電力EP「従量電灯B」で契約している場合は、電気の基本料金は858円00銭です。これをオール電化住宅にした場合、少なくとも50~60Aが必要になります。仮に東京電力EPのオール電化向けプラン「スマートライフS」を60Aで契約したとすると、基本料金は1,716円00銭となります。
これをもとに、オール電化とガス併用住宅の基本料金を比較すると以下のようになります。
- ガス+電気(東京電力EP「従量電灯B」30A)併用の場合
- LPガス(使用量10.3㎥/月)+電気併用……2,736円00銭
- 都市ガス(使用量30.0㎥/月)+電気併用……1,914円00銭
- オール電化(東京電力EP「スマートライフS」60A)の場合
- 電気のみ……1,716円00銭
オール電化住宅は電気のみでガスの基本料金が不要なため、基本料金のみを比較するとオール電化が安くなります。
ただし上でも触れたように、オール電化にすると一般的に契約アンペア数を大きくする必要が出てくるため、実際には都市ガスと電気を併用した場合の基本料金とさほど大きな差が出ない場合もあります。
電気・ガスセットプランに切り替えるのも手
先に紹介したのは東京電力の電気代、東京ガスのガス代を参考にしたもののため、他の電力・ガス会社の組み合わせにすると、さらに安くなる可能性があります。
最近では、電気とガスをセットにした料金プランを用意している会社も増えています。テレビCMなどで見たことがある人もいらっしゃるのでは?セット割の対象になって電気・ガス代がそれぞれ安くなるプランや、ポイント・マイルが貯まるプランなど種類も豊富!
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ガスだけの料金比較をしたい方は、エネチェンジガス料金比較を活用してみてくださいね。
お風呂や調理にかかるオール電化とガスのコストはどれくらい?
大まかなコスト感覚がつかめたところで、次に実際の利用シーンでかかるコストを見ていきましょう。今回は具体例として、お風呂のお湯を沸かすときと、カレーを調理するときの2つのケースをピックアップします。
お風呂を沸かすのにどれくらいのコストがかかる?
まずはお風呂の湯沸かしにかかるコストを比較してみましょう。
300リットルのお風呂に、10℃→40℃に暖めた湯を張ると仮定し以下に求めました。
水1グラム(1リットル=1,000g)を1度上げるのに1cal必要なので、300リットル(300,000g)のお湯を10℃を40℃まで上げるために必要なカロリーは9,000kcal(9,000,000cal)となります。上記で求めた1kWhあたりのエネルギーコストを用いて、お風呂の湯沸かしにかかるコストを計算しています。
- オール電化(東京電力EP「スマートライフS」昼間)
- 約270円00銭
- オール電化(東京電力EP「スマートライフS」夜間)
- 約186円07銭
- LPガス(東京地区)
- 約255円14銭
- 都市ガス(東京地区)
- 約147円24銭
やはり都市ガスがもっともコストパフォーマンスに優れていることがわかります。
ちなみに、オール電化は東京電力EP「スマートライフS」の昼間と夜間のコストを算出していますが、オール電化住宅ではエコキュートなどの夜間蓄熱式機器を使ってお湯を沸かすのが一般的のため、比較には夜間の料金(約186円07銭)を見るとよいでしょう。
カレーを作るのにどれくらいのコストがかかる?
次に、調理にかかるコストを見てみましょう。多くのご家庭で調理されることが多いであろうカレーを作る場合のコストを以下に求めました。
カレーの具材を5分炒め、水を加え15分煮込み、ルウを入れ10分煮込んだとして計算し、消費電力を1.5kWh(消費カロリーを2,580kcal)としてコストを計算しています。
- オール電化(東京電力EP「スマートライフS」昼間)
- 約38円70銭
- オール電化(東京電力EP「スマートライフS」夜間)
- 約26円67銭
- LPガス(東京地区)
- 約73円14銭
- 都市ガス(東京地区)
- 約42円21銭
カレーの調理時は、オール電化のコストが優れていることがわかります。
調理はオール電化プランの昼間に該当する時間帯に行うことが多いため、比較には昼間の料金(約38円70銭)を見るとよいでしょう。
最適なオール電化プランに切り替えるともっと安くなる可能性が!
東京電力や関西電力などよりも基本料金を安く設定しているプランを用意している会社も少なくありません。
エネチェンジ電力比較では、各電力会社のオール電化向きプランをまとめて見比べることが可能。これからオール電化の住宅に引越しの場合は、こちらのページ「引越し日に間に合う電力会社を調べる」をチェックしてみてくださいね。
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最安の電気料金プランを診断(無料)オール電化かガス併用か?それぞれのメリットとデメリット
オール電化とガスの併用とを比較する場合、コストだけでなくそれぞれの特性を知っておいたほうがよいでしょう。どちらにもメリットとデメリットがありますので、事前に確認しておきましょう。
オール電化のメリット・デメリット
まずは、オール電化のメリットとデメリットです。コスト以外のメリットにも注目してみましょう。
- 基本料金を一本化できる
- ガスの基本料金を支払う必要がなくなるため、費用を抑えられるほか、支払い先をまとめらるのもメリットです。
- 暖房を安く利用できる
- 電気料金の割安な夜間に蓄熱する蓄熱暖房機を使うことで、一般的なエアコンよりも安く暖房を使えます。
- 火を使わないため安全性が高い
- オール電化は調理時にIHクッキングヒーターを使います。IHクッキングヒーターは火を使わないため火災のリスクが軽減されます。また、不完全燃焼による一酸化炭素の発生や燃焼時の二酸化炭素の発生がないため、室内の空気を汚さずに済みます。
- 災害時にタンクの水を利用できる
- オール電化で使用するエコキュートや電気温水器のタンク内に貯めた水は、災害時に利用することもできます(飲料用にはできません)。
また電気は、電気・水道・ガスのライフラインのなかで災害時にもっとも早く復旧するといわれており、オール電化は緊急時の安全確保の面でもメリットがあります。
- 停電したときに非常に不便
- ガスと併用していると停電の際も調理や給湯ができますが、オール電化の場合はこれらができなくなってしまいます。
- 昼間の電気が高くなりがち
- オール電化向けの電気料金プランでは、夜間の電気料金が割安に設定されている一方で昼間の電気料金が割高に設定されるため、昼間の電気使用量が多い場合、電気代が高くなってしまうことがあります。
- 高額な初期費用がかかる
- オール電化では、エコキュートや蓄熱暖房機、IHクッキングヒーターといった機器を利用するのが一般的です。これらは機器本体の購入費用に加え設置工事費もかかります。
例えばエコキュートの場合、費用相場は大きさにもよりますが本体が15~30万円程度、設置工事費が15~20万円程度で、合計30~50万円程度かかります。高額な初期費用がかかるのはデメリットと言えるでしょう。
電気とガスを併用するメリット・デメリット
次に電気とガスを併用した場合のメリットとデメリットです。安全性の面ではデメリットもある点には注意が必要です。
- 都市ガスだとコストが安い
- 都市ガスはエネルギーコストに優れているので、都市ガス+電気併用の場合は、電気のみのオール電化よりもお風呂の湯沸かしや調理などを低コストで行えます。
ただしLPガスはエネルギーコストが高いため、ガス+電気併用の場合はコストが高くなってしまいます。 - 初期投資が不要
- 既存のガス設備やインフラを使用するので、機器設置などの初期投資は不要です。
- 停電時でも調理や給湯ができる
- もし停電してしまっても、ガスがあれば調理や湯沸かしなどが可能です。
- 基本料金が電気とガスそれぞれにかかる
- 電気とガスを併用にすると、それぞれの契約に対して基本料金がかかります。
- 火を使うため火災のリスクがある
- LPガスはガスコンロで火を使うため、オール電化のIHクッキングヒーターに比べると火災のリスクが高くなります。また長時間使用すると室内の空気が悪くなる、室温が高くなるなどのデメリットもあります。
- 都市ガスは契約できる地域が限られる
- 都市ガスは都市部を中心に供給されるガスで地下のガス導管を通して供給されるため、導管がない地域にお住まいの場合は契約ができません。
オール電化とガス併用、それぞれの特徴を踏まえて選ぼう
オール電化とガス併用のコストやメリット・デメリットについて比較し解説しました。
オール電化とガス併用のどちらがお得になるのかは、家庭ごとの電気・ガスの使用状況や契約するプランによっても変わってきます。オール電化で電気のみを使用しているご家庭も、ガスと電気を併用しているご家庭も、今スグにできるいちばん簡単な節約方法は料金プランの見直しです。
ご家庭の電気・ガスの使い方にいちばん見合ったプランに見直すだけで、今と同じ電気・ガスの使い方をしていても、今より電気代・ガス代を安くできる可能性があります。
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