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究極のクリーンエネルギー、水素を活用するホテルが相次いで登場【エネルギー自由化コラム】

電力自由化ニュース

究極のクリーンエネルギーともいわれる「水素」を施設の電力源として活用するホテルが、長崎県佐世保市や川崎市で登場しています。詳細をお伝えします。

発電や自動車走行時に二酸化炭素を出さないことから、究極のクリーンエネルギーともいわれる水素。利用方法としては燃料電池車や家庭用燃料電池のエネファームが知られています。将来の水素社会実現に向けた新たな取り組みとして、施設の電力源に水素を活用するホテルが長崎県佐世保市や川崎市で誕生しました。

ハウステンボスのホテルに水素と再エネのハイブリッドシステム

佐世保市ハウステンボス町にある人気テーマパークのハウステンボス。東京ディズニーリゾートの約1.5倍に当たる152万平方メートルの敷地にオランダの街並みを再現、九州を代表する観光地として全国から利用客を集めています。

その一角にあるスマートホテルが「変なホテル」です。恐竜型や人形型のロボットが人間のスタッフ代わりに働き、顔認証システムの採用でキーレス滞在を実現したことで有名になりました。2016年にオープンした2期棟は、電力と温水を東芝が開発した自立型エネルギー供給システムの「エイチツー・ワン」でまかなっています。

長崎県佐世保市のハウステンボスにある変なホテル2期棟の自立型エネルギー供給システム(東芝提供)
東芝によると、このシステムは晴天の昼間に太陽光で作った電力を使い、水素を生成して貯蔵します。夜間や悪天候時には水素を燃料電池に供給して電力や温水を生みます。いわば再生可能エネルギーと水素エネルギーのハイブリッドシステムです。

水と太陽光発電だけで12室の電力をすべて供給

システムは大まかに分けて太陽光発電で得た電力を使い、水から水素を作るユニット、生成した水素を貯蔵するユニット、電力需要に応じて太陽光発電や燃料電池の出力を調整するユニットで構成されます。トレーラーで簡単に輸送できるよう20フィートコンテナと同じサイズに仕上げました。

能力は太陽光の発電量が62キロワット、出力電力が54キロワット、貯蔵電力量が1.8メガワット時、温水供給量が毎分最大24リットル。日照時間が長い夏に余剰電力で生成した水素を貯蔵し、冬に利用することも可能で、水と太陽光発電だけでホテル2期棟12室の電力をすべて供給できます。

タンクには、水素を高密度で貯蔵できる水素吸蔵合金を用いました。その結果、従来のタンクと比べ、大きさを10分の1まで小型化しています。ハウステンボスは「テーマパークはイルミネーションなどで大量の電気を使うだけに、環境にも配慮したかった」と述べました。

川崎市の臨海地区では水素ホテルが開業

川崎市川崎区のキングスカイフロントに登場した水素ホテルの川崎キングスカイフロント東急REIホテル(東急ホテルズ提供)
川崎市川崎区殿町にある再開発地区のキングスカイフロントでは6月、水素をエネルギー源とするホテルが開業しました。東急ホテルズが運営する「川崎キングスカイフロント東急REIホテル」で、使用済みのプラスチックから水素を取り出し、ホテルの電力、熱エネルギーの3割をまかなっています。

このホテルは鉄筋コンクリート5階建て延べ約7,500平方メートル。186室の客室があります。使用済みプラスチックから生成した水素を川崎市川崎区扇町にある昭和電工川崎事業所から供給を受け、出力100キロワットの東芝製純水素燃料電池でエネルギーにしています。使用済みプラスチックは川崎市周辺で回収されたものです。

ホテルは京浜工業地帯に昔からあった倉庫のような空間を持つユニークな内装。多摩川を眺められる大浴場、羽田空港の夜景を一望できるレストランテラスなどを備えています。主にキングスカイフロントを訪れる研究者や技術者の需要に応えるのが狙いです。

川崎市は水素利用の世界発信に大きな期待

キングスカイフロントはいすゞ自動車川崎工場などの跡地で、多摩川をはさんで羽田空港の対岸に位置します。川崎市がライフサイエンスや環境分野を中心とした研究開発拠点と位置づけ、再開発を進め、国立医薬品食品衛生研究所、日本アイソトープ協会川崎技術開発センター、ナノ医療イノベーションセンター、慶應義塾大学など62機関の進出が決まっています。

このうち、ホテルは大和ハウス工業が土地を取得したA地区にあります。A地区は東京ドーム1個分に当たる4.6ヘクタールの広さがあり、ホテルと研究棟5棟、下河原、殿町第二の両公園で構成されます。にぎわいや交流機能の創出を目的に開発されている場所です。

2020年度には羽田空港と結ぶ連絡道路が開通します。川崎市国際戦略本部は「キングスカイフロントはライフサイエンスや環境分野でイノベーションを生む場所。水素ホテルは地域のイメージにぴったりで、水素利用を世界に発信するモデルとしたい」と力を入れています。

さまざまな資源から生成できるのが特徴

水素は酸素と結びつけることで発電できるだけでなく、燃焼させて熱エネルギーとして利用することができます。その際に二酸化炭素を排出しないことから、究極のクリーンエネルギーと呼ばれているのです。

さまざまな資源から取り出すことができるのも特徴の1つです。石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料、メタノールやエタノールなどのアルコール、下水の汚泥からも生成できます。水から取り出すことも可能で、資源に乏しい日本にぴったりのエネルギーともいえます。

日本は1次エネルギーの9割以上を海外から輸入する化石燃料に頼っています。このため、国際情勢の変化に弱い経済構造になっていますが、水素の活用が本格的に進めば、こうした弱点を克服することができます。

燃料電池自動車やエネファームが既に実用化

水素の利用方法として考えられるのは、燃料電池自動車です。搭載されている燃料電池で水素を使って電気を作り、自動車の動力とするもので、十分に普及しているわけではありませんが、トヨタ自動車や本田技研工業が既に実用化しています。

家庭で利用が増えている燃料電池のエネファームも水素を活用しています。ガスから水素を取り出して酸素と化学反応を起こすことで効率的に電気を作り、その際に生まれる排熱も利用する仕組みです。

出典:コージェネレーション・エネルギー高度利用センター資料から筆者作成
コージェネレーション・エネルギー高度化センター(コージェネ財団)によると、国内の販売台数は2009年度で全国5,000台に満たなかったのですが、2017年度は4万9,000台近くまで増加しました。経済産業省によると、販売価格は2009年度で300万円を超していましたが、2017年度は100万円ほどに低下し、今後もさらに普及が見込まれています。

課題解決へ水素ホテルを広告塔に

それをより大規模にしたのが、ホテルなど電力消費の大きい施設での利用です。工場での利用は各地で実証実験が進んでいるほか、神戸市のポートアイランドでは水素をエネルギーとして電気と熱を街区に供給する実証実験が2月にスタートしました。将来は大規模な水素発電所の実現も期待されています。

しかし、水素利用の普及には大きな課題がいくつも残っています。水素を大量に調達するための技術の確立や、水素を燃料電池車に供給する水素ステーションの普及などインフラネットワークの構築などです。

政府は2017年、水素基本戦略を閣議決定し、国を挙げて水素社会の建設に取り組む考えを示しましたが、それを推進するためには社会のコンセンサスが欠かせません。佐世保市や川崎市に登場した水素ホテルは、その広告塔として大きな役割を果たすことが期待されています。

高田泰(政治ジャーナリスト)

高田泰(政治ジャーナリスト)

関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆している。
高田泰(政治ジャーナリスト)
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