エコ? 安価? 再生可能エネルギーの特徴を比較してみます
再生可能エネルギー(自然エネルギー)という言葉が良く聞かれますが、具体的にはどんなエネルギーなのでしょうか?また「再生可能エネルギーは環境にやさしい」「安価なエネルギー源」というイメージがありますが、それは本当でしょうか?検証してみました。
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再生可能エネルギーとは?
まず、再生可能エネルギーとは、どんなエネルギー源なのでしょうか。
法律での定義
再生可能エネルギーは、一般的には、太陽光発電や風力発電など、クリーンな自然エネルギーというイメージですが、法律上では、「エネルギー源として永続的に利用することができると認められるもの」とされています。
具体的には、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱その他の自然界に存する熱、植物など生物由来の燃料を用いるバイオマスが規定されています。資源が枯渇せず繰り返し使えることから、この名前がつけられています。石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料ではないため、発電時や熱利用時に地球温暖化の原因となる二酸化炭素をほとんど排出しないことから、環境にやさしい、エネルギーとされています。
世界の状況
風力発電もこの数年導入が増えています。特に目覚しいのは、中国で、2012年時点で、導入量は世界全体の27%弱を占め、トップの座を維持しています。次いで米国が26%のシェアとなっています。水力でも中国がトップで、次いでインド、カナダなどが続いています。
地熱では、米国が第一位、次いでフィリピン、インドネシアなどの火山国が続いています。日本は火山国ですが、地熱の導入量では遅れをとっています。バイオマスは、欧州やアジアが多くなっています。
日本の方針
日本は、地球温暖化対策や、化石燃料の確保難などから、2009年に「石油代替エネルギー法」の改正を行い、再生可能エネルギーや原子力などの非化石エネルギーの導入拡大に取り組むことになりました。同時に、「エネルギー供給構造高度化法」を制定し、エネルギー供給事業者に対して再生可能エネルギー等の非化石エネルギーの有効利用を促しました。2012年7月からは固定価格買取制度(FIT)を実施、これまで以上に再生可能エネルギーの導入が活発化しました。
固定価格買取制度の対象としては、太陽光、風力、水力(小水力)、地熱、バイオマスの5種類の再生可能エネルギーが対象とされています。すでに実用化段階にあり、今後、国として積極的に後押しする必要があると考えられているためです。
再生可能エネルギー5種類の特徴
それでは、固定価格買取制度の対象になっている5種類の再生可能エネルギーのそれぞれの特徴や、普及度合いなどを見ていきましょう。
太陽光発電の特徴
太陽光発電は、シリコン半導体に光が当たると電気を生じる現象を利用して、太陽の光エネルギーを直接電気エネルギーに変換する発電方式です。
国内の導入量は、近年着実に伸びており、2012年末累積で663万kWに達しています。累積導入量でみると、日本は、ドイツ、イタリア、米国、中国に次いで第5位となっています。
太陽光発電に欠かせない太陽電池の生産量では、日本は2007年まで世界のトップの地位にあったのですが、中国や台湾、マレーシアなどのアジア勢の追い上げによって、日本のシェアは、2007年の24%から2012年には6%にまで低下しました。とくに中国企業の伸張が目覚ましく、世界全体の62%のシェアを占めるほどになっています。
太陽光発電の課題として、自然条件により出力がつねに変動するため、電力系統への接続には、火力発電などによる調整によって出力の安定化を図ることが必要となってしまいます。
太陽光発電の導入費用
固定価格買取制度の大幅な拡大による太陽光発電システムの導入量拡大によって、国内での1kW当たりのシステム単価は低下しています。かつて1kW300万円といわれた価格は、2000年代に入って着実に低下し、2012年現在、46万円台となっています。住宅用太陽光発電システムは、通常4kWシステムが一般的といわれるので、現在は180万円前後で購入できることになります。
太陽光発電システム価格の低下は、企業による技術開発の成果や政府の支援策、さらに電力会社の余剰電力購入等により普及率が大幅に向上したためです。
風力発電の特徴
風力発電は2000年代に導入が進み、2012年度末時点での導入量は1913基、出力は約264万kW(設備容量10kW以上)となっています。
地域別では、風況に恵まれた北海道、東北、九州地方での設置が多く、日本全体の50%以上を占めています。日本における風力発電の導入量は、世界的に見てシェアは低く、2013年末時点で0.8%、世界18位となっています。これは、諸外国に比べて平地が少なく、地形が複雑なこと、電力会社の系統に余力がないことなどが理由です。
しかし、今後は、固定価格買取制度の後押しや電力会社の系統受け入れ容量の拡大などにより、導入が進むとみられます。太陽光発電と同様、自然条件で出力が変動するため、系統への接続に当たっては調整電源が必要となります。
水力発電の特徴
水力発電の形態としては、流れ込み式(水路式)、調整池式、貯水池式、揚水式に分けられ、揚水式以外を一般水力と呼んでいます。揚水式は、夜間にポンプで下池の水を上池に汲み上げ、昼間の電力需要増大時に、上池の水を放流する方式で、需給調整用の水力といえます。2012年度末の水力発電設備は、1936地点、約1207万kWとなっています。
開発地点の小規模化、奥地化が進み、設備コストが割高となっていることから、今後は大規模開発は難しく、小水力発電の拡大に期待を寄せられています。小水力発電は、農業用水等を活用した発電で、エネルギーの地産地消の促進にもつながります。出力が一定のため、ベース供給電源として使われています。
地熱発電の特徴
地下深部の地熱貯留層から高温の熱水・蒸気を坑井により取り出し、タービンを回して発電します。開発期間やコストがかかることから、これまで長期間停滞しており、2012年時点で国内17地点、約51万kWの設備が稼働しています。しかし、固定価格買取制度の後押しや、出力が安定していることなどから、導入拡大機運が高まっています。
バイオマス発電の特徴
バイオマス発電は、主に植物そのもの、あるいは植物から作ったアルコールなどを燃料とする火力発電の一種です。
生物起源のエネルギーであり、カーボンニュートラルのない環境への負荷はありません。植物由来のバイオマス発電は、燃やした時にCO2を排出するものの、それは、植物が生育過程で取り込んだCO2と同量なので、化石燃料の火力発電とは別のものとして扱われています。バイオマスエネルギーは主として燃焼により利用されます。バイオマスには木質系、食品廃棄物、農業残渣などの種類がありますが、その収集、運搬のコストが大きいことが課題です。2012年に利用された国内のバイオマスエネルギー量は原油換算で1155万klであり、一次エネルギー供給量の2.1%です。