経済産業省の「電力小売全面自由化説明会」参加レポート
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2016年2月17日、経済産業省で「電力小売全面自由化説明会」が開催されました。エネチェンジとしては参加しないわけにはいきません!どんな話しがあったのでしょうか?
電力取引監視等委員会って知ってる?
今回のセミナーお話をしてくれたのは電力取引等監視委員会の人です。長く、そして難しい名称です。一体何をしている委員会なのでしょう?
電力取引監視等委員会は電力システム改革の議論を受けて、今後自由化される電力市場における取引の監視機能を強化し、電気の適正な取引の確保に万全を期すための、独立性と高度な専門性を有する新たな規制組織として、発足いたしました。
すごく簡単にいうと、2015年9月に設立した電力自由化に関するルール作りと適正な取引が行われているかを監視している組織です。なんと、経済産業大臣直属!
一般消費者からすると「関係ない」と思いがちですが、ルール作りをしているということは、消費者の意見ももちろん聞いてくれるわけです。ここの相談窓口は消費者にも開かれていますので、「電力自由化関連でトラブルに巻き込まれた!」なんてときは、相談ができるんですよ。詐欺やトラブルなどの情報はむしろ積極的に伝えて、消費者にとっても優しい環境になるよう、頑張っていってほしいですよね。
電力自由化で何が変わるか?
電力自由化と電力システム改革、政府としても目的があるからやるわけです。日々の報道では「電気代が安くなる」という側面だけが強調されていますが、改めて電力自由化で何を変えようとしているかをおさらい。
電力自由化の4つのポイント
電力自由化のポイントは4つあります。エネチェンジでも色々な記事でお伝えしてきていますが、「自分の電気を自分で選ぶ」というのが大きな変革です。新しい発見としては、節電に取り組む姿勢を変えさせたいという願いがあるという点。「ライフスタイルにあった電気を選びましょう」というメッセージはお伝えしていますが、改めて重要さを認識しました。
- 家庭でも電力会社が選べるようになる
- 電気代を少しでも安く
- 節電を国から強いられるではなく、ひとりひとりが能動的に節電をするような環境へ
- 企業にとっても電気の選択肢が増える
私たち消費者は「電気の価値の選択」をすることに
説明会で印象的だった言葉に、「電気の価値の選択」というフレーズがありました。価値というところを強調しているんですね。
低圧電力の小売市場は8兆円、すでに解放されている企業やビルなど商業施設の高圧なども含めると18兆円規模の市場と言われています。一般家庭というのは電力市場でみると半分もみたないんですね。でも、監視委員会の人は市場のポテンシャルは18兆円以上であると言います。
電気を選ぶといっても、私たちの家に届く電気の質は同じです。だからこそ、電力会社は選んでもらうために「付加価値」を提供します。そして私たちは、その提示された価値を比較して一番メリットのあるものを選ぶわけです。
価値は値段だけではありません。電気の見える化ツールかもしれないし、見守りサービスや駆けつけサービスのようなプラスアルファのものかもしれません。電源構成やカスタマーサポート体制も価値のひとつです。
アナタはどんな価値を選びますか?
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消費者である私は「電気の価値の選択」をするんです
電気料金の構造も知っておきましょう
これからは自分が選ぶわけですから、電気代に何が含まれているかもしっかり押さえておきましょう。今回の説明会ではこのように説明されました。
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電気料金=発電料+託送料金+営業費+利潤
電気を運ぶためには、電力会社は電線を使って届けるなければいけません。そして電線を使うためにも電力会社は配送電会社にお金を払うんです。その分のお金は、私たちの電気代に反映されます。3〜4割が託送料金にあたりますよ。
詐欺から身を守るために消費者が注意するべきことは?
すでに高齢者からは、詐欺の相談があるようです!詐欺に合わないために、消費者が注意すべきポイントをご紹介しましょう。
- 小売電気事業者の社名や連絡先
- いつから電気を供給するのか?
- 契約期間はいつからいつまでか?
- 契約期間満了後の契約更改手続きはどうようになるのか?
- 毎月の電気料金はいくらか?どうやって算定するのか?
- 通常の手続きに加え必要な工事などがある場合、消費者が負担する費用はいくらか?
- 電気料金の割引がある場合には、それはいくらか?割引の対象期間はいつまでか?
- 契約期間内に契約する場合の制約はあるのか?解約手数料などは発生しないのか?
注意事項がたくさんあって、大変です。ここについては、改めて別の記事でご紹介をしていこうと思いますが、説明会でも強調されていたことを1つだけお伝えしましょう。
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国の登録を受けた「小売電気事業者」かを確認してください。
国の登録を受けている小売電気事業者は現在169社、資源エネルギー庁のサイトで確認することができます。契約をする前に、必ずチェック!
地産地消の小さな電力会社も登録されています
質疑応答のときにあがった質問のひとつに、「地元だけでやろうとしている、小さな会社や自治体主体の電力は登録されるんですか?」というものがありました。確かに、国の登録というと大企業というイメージがありますよね。もちろん登録には審査にクリアする必要があります。しっかりと体制が整っていて電力供給をできる状態であれば、会社の規模に関係はない。
「地元を応援したいけど、この会社って大丈夫かな?」そんな不安を抱いたときは、やはり確認をしましょうね。
電気の契約にもクーリングオフがあります
クーリングオフ自体は知っていますよね?電力自由化後は、電気の契約にもクーリングオフは適用されます。対象となるのは、訪問販売と電話勧誘により契約をしてしまった電気契約のみ。なんだか押し切られて契約してしまったけど……という場合は、その日のうちに会社や契約内容についてしっかりと目を通しましょう。必要なときにはクーリングオフや消費者センターに相談をするように!
私たちの能動性・自主性が電力自由化の肝となる
電力小売全面自由化説明会で聞いた、「電気の価値を選ぶ」という新しいフレーズ。確かに納得です。電力自由化をきっかけに、電力市場は盛り上がりますが、選ぶ側である私たちが動かなければ、結局は何も変わりません。
電気って少し難しいです。少しでも皆さんが電力会社を選びやすくなるように、難しい情報をわかりやすく噛み砕いて、たくさんの情報をお届けしていきます。
エネチェンジではアナタに最適な電気料金プランを比較検討できるサービスエネチェンジ電力比較を提供しています。電力自由化後の最適な電気料金プラン探しに、ぜひご活用ください。