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九州電力の出力制御、太陽光生かしきれない実態をどう改善するのか【エネルギー自由化コラム】

電力自由化ニュース

2018年秋、九州電力が国内初となる出力制御を実施しました。急激に増えている太陽光発電の存在により、出力制御なしの安定供給に限界がきています。九電と同じように電力の需給バランスが崩れる一歩手前まで来ている地域は他にもあり、2019年には中国など他地域でも出力制御が実施される可能性が出ています。

九州電力が離島を除けば全国で初めてとなる出力制御を今秋、実施しました。大規模停電の原因になりうる過剰な発電を抑制し、電力需給のバランスを維持するのが目的です。太陽光発電の普及は急速に進んでいますが、受け入れる電力大手側の対応が追いついておらず、せっかく生まれた太陽光発電を生かし切れていない実態が浮き彫りになりました。電力の需給バランスが崩れる一歩手前まで来ている地域は九州だけでなく、他の地域でも出力制御が実施される可能性が出ています。

九州電力が10~11月に計8回実施

九電の出力制御は10月から約8回実施されました。対象は約2万4,000カ所の太陽光発電所と約60カ所の風力発電から順番に選びました。九電がオンラインで自動制御した発電所と、九電の要請を受けて事業者が手動で制御したところがあり、実際に出力制御した回数は発電所1カ所当たり1.0~1.2回でした。

長崎県佐世保市にあるテーマパークのハウステンボスは、2017年度で年間288万人が訪れた人気施設ですが、出力制御の対象になりました。市内に太陽光発電施設を所有し、売電事業を進めているためで、3カ所の対象施設のうち2カ所が出力制御されました。ハウステンボスは「売電事業への影響は事前に想定した範囲より小さかった」としています。

多くの事業者も契約上、やむを得ないと受け入れていますが、九電の要請を受け入れなかった事業者が一部出ました。このため、長崎県の別の事業者は「公平性を担保できる仕組みにしてほしい」と注文を付けていました。

供給過多が引き起こしかねないブラックアウト

九電が出力制御に踏み切ったのは、電力が作り貯めをできず、常に発電と消費を同量にしなければならない性質を持つからです。このバランスが崩れると、電気設備への悪影響が出るほか、最悪の場合はブラックアウトと呼ばれる大規模停電を引き起こします。

9月の北海道胆振東部地震では、道内の電力の約半分を供給していた厚真町の苫東厚真石炭火力発電所が停止したのをきっかけに、次々に発電所が停止して供給不足でブラックアウトを招きました。

これに対し、九州では冷暖房の使用が減り、工場やオフィスが休日となる秋の週末に供給過多を引き起こす可能性があるとして、出力制御に踏み切りました。供給不足だけでなく、供給過多でも電力のバランスを崩してしまうのです。

九州電力の太陽光接続量は6年で約7倍に

出典:各社ホームぺージと聞き取りで筆者作成(東京電力は7月末、中部電力は8月末、北陸電力は10月12日、中国電力は11月末、その他は9月末現在)
その背景にあるのは、再生可能エネルギーの固定価格買取制度がスタートして以来、急激に増えている太陽光発電の存在です。九州の電力需要が伸び悩む中、九電の太陽光発電接続量は2012年の制度施行時で約111万キロワットでしたが、2018年9月末時点で約7倍の812万キロワットまで拡大しました。

太陽光発電は温室効果ガス排出削減で力を発揮しますが、日が落ちると発電量がゼロになり、曇りや雨の日に発電量が低下するなど、常に一定の電力を供給できるわけではありません。発電と消費のバランスを保つには、実に厄介な存在なのです。

九電は昼間に火力発電を抑制するとともに、蓄電池の役割を果たす揚水発電を夜にフル回転させ、本州への送電も拡大させました。さらに、日射量予測地点を従来の8カ所から47カ所に増やし、正確な発電量予測に全力を挙げましたが、これらの努力でカバーできる限界が来たと判断しています。

出力制御なしの安定供給は既に限界

冬になれば暖房需要が増えることから、出力制御の回数を減らせる可能性があるとみられていますが、九州本土で発電量全体に占める太陽光など再生可能エネルギーの割合は2017年度で20%を超えました。2018年度はその数値がさらに上昇する見込みです。

日射量が多い気候に目をつけ、太陽光発電施設の建設も活発で、既に接続承諾済みの太陽光発電施設が400万キロワット以上残っています。接続電力量が増えれば、これまで以上に苦しいやり繰りを強いられるのは確実です。

九電は「電力の安定供給を続けるためには、今後も需要が低下する時期に出力制御を実施せざるを得ない」と苦しい胸の内を打ち明けています。

経済産業省が有識者会議で具体的な対策を提示

経済産業省がまとめた主な出力制御量抑制案

連係線拡大本州への再生可能エネルギー送電量を105万キロワットから135万キロワット前後へ2019年3月末までに拡大
火力発電の対応再生可能エネルギーを制御する前の段階の火力発電やバイオマス発電の最低出力引き下げ
遠隔制御拡大発電事業者サイドでの遠隔制御装置の設置促進
経済損失の調整出力制御を大規模事業者に限定

出典:経済産業省資料から筆者作成

事態を重視した経済産業省は11月に開いた有識者会議で、具体的な対応策を示しました。発電を止める量を減らすため、本州への送電量を増やすと同時に、発電事業者に効率的な自動制御システムの導入を促すことなどを柱にしています。

本州への送電では、本州と九州をつなぐ関門連系線の再生エネルギー送電量を2019年3月末までに、現在の105万キロワットから135万キロワットにし、より多くの電力を本州で使えるようにします。

出力制御の実施前には、火力やバイオマス発電の発電量を落とすようにします。一部の事業者ではこの水準が発電能力の55~80%となっていますが、これを50%まで下げるよう要請し、再生可能エネルギーの受け入れ可能な枠を広げるわけです。

公平性を保てる実務的な手法の検討へ

再生可能エネルギーの発電事業者には、自動制御システムの導入を呼びかけます。手動制御の場合は前日の夕方に制御量を決めなければなりませんが、自動制御だと2時間前で対応が可能になります。

今回の出力制御では、手動制御で発電を止めた時間帯に自動制御を導入していれば止めなくても良かった例がありました。経産省は「機会損失が減り、発電事業者にとってもメリットがある」とみています。

さらに、出力制御の要請を大規模事業者に限定するほか、出力制御で発生した損失を事後調整し、中小規模の事業者と損失に格差が生まれないようにする方向を示しています。有識者会議では、こうした経産省の対応策に同意する意見が多く出ました。これを受け、経産省は公平性を保てる実務的な手法の検討に入る考えです。

中国など他地域でも2019年春に出力制御の可能性

徳島県海陽町の太陽光発電施設。九州電力が実施した出力制御が四国など他の地域でも現
実になる可能性が出てきた(筆者撮影)
しかし、出力制御の実施は九州電力だけにとどまりそうもありません。有識者会議では東北電力、中国電力、四国電力、沖縄電力が出力制御の準備を進めていることを明らかにしました。早ければ2019年春にも九電に続き、出力制御に踏み切る可能性が出ています。他の地域でももはや他人事ではないのです。

政府はエネルギー基本計画の中で太陽光など再生可能エネルギーを主力電源と位置づけていますが、各地で出力制御が続けば普及にブレーキをかけることになりかねません。

脱炭素という世界の潮流に歩調を合わせるためには、再生可能エネルギーのさらなる普及が欠かせません。安定供給とコストのバランスを考えながら、どのようにして再生可能エネルギーの発電能力を生かしていくのか、国全体で課題解決へ知恵を絞る必要がありそうです。

高田泰(政治ジャーナリスト)

関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆している。
高田泰(政治ジャーナリスト)
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