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福島県でメガソーラー建設ラッシュ、県の目標を上回るハイペース続く【エネルギー自由化コラム】

電力自由化ニュース

福島県は2018年度を目標に県内で必要なエネルギーの30%を再生可能エネルギーでまかなう計画を立てていましたが、ほぼ達成できる見通しとなりました。再生可能エネルギーの拠点に生まれ変わろうとしている、福島第一原子力発電所事故被災地の今をお伝えします。

東日本大震災で大きな被害を受けた福島県では、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設ラッシュが続いています。福島県は2018年度に県内で必要なエネルギーの30%を再生可能エネルギーでまかなう計画ですが、目標達成は確実とみられます。福島県は今後も太陽光発電を中心に再生可能エネルギーのための設備建設を促し、2040年度を目標に100%まで引き上げたい考えです。福島第一原子力発電所事故の被災地が再生可能エネルギーの拠点に生まれ変わろうとしているのです。

相馬市の災害危険区域でメガソーラーが運転開始

福島県相馬市で九電工などが出資して6月から運転を開始したメガソーラー(合同会社レナトス相馬ソーラーパーク提供)
相馬市では、磯部地区で建設を進めていたメガソーラーが6月、運転を開始しました。68ヘクタールの土地に太陽光パネル約20万枚が設置されています。九電工、オリックス、九電みらいエナジーなどが出資して事業会社を設立しました。施設の出力は52メガワット。初年度の年間予想発電量は一般家庭1万6,660世帯分に相当します。

現地は東日本大震災の津波で大被害を受けた海岸近くの集落跡地などで、災害危険区域に指定されています。相馬市企画政策課は「市の復興計画に位置づけており、災害危険区域の土地を有効活用したい」と喜んでいます。

さらに、玉野地区では出力83メガワットのメガソーラー建設が計画され、環境アセスメントの手続きが進んでいます。計画が順調に進めば、2020年ごろに完成するとみられています。

南相馬市の新施設は2018年春にも稼働

南相馬市では、右田・海老地区、真野地区でメガソーラーが建設中です。住友商事と住友商事東北が事業会社に出資し、みずほ銀行や東芝、大成建設が協力しています。

敷地面積110ヘクタールで、出力60メガワット。年間発電量は一般家庭2万世帯以上の消費電力に相当します。早ければ2018年3月にも運転を始めます。

原発事故で被災した南相馬市は2015年、脱原発都市宣言をし、2020年で市内の消費エネルギーの65%、2030年でほぼ100%をまかなう計画を打ち出しました。南相馬市新エネルギー推進課は「2020年の目標はおおむね達成できそう」と笑顔を見せています。

全町避難解除の富岡町では3施設の建設が進行

原発事故による全町避難が4月、大半の地域で解除された富岡町では、2016年に3カ所でメガソーラー建設がスタートしました。

大石原、下千里地区

大石原、下千里地区で建設中なのが、富岡復興メガソーラーSAKURA。40ヘクタールの土地に出力30メガワットの太陽光発電を備え、一般家庭6,000世帯分の年間発電量が見込まれています。

富岡町と福島発電、JR東日本エネルギー開発が事業会社に出資しました。収入の一部は被災地支援に充てる方針。運転開始は2017年12月の予定です。

上手岡地区

上手岡地区では、芙蓉総合リース、シャープなどの出資で富岡杉内太陽光発電所の建設が進んでいます。出力25メガワットで、一般家庭5,500世帯分の電力が生まれる見込み。2018年3月の運転開始を予定しており、売電益の一部を福島県や富岡町に寄付する計画です。

高津戸地区

高津戸地区では、住民支援に向け地域主導でメガソーラーの建設が進んでいます。住民が事業会社に間接出資しました。出力33メガワットで、一般家庭8,000世帯分の電力に相当します。2018年3月に完成する予定です。

建設場所は農業振興地域内の農地ですが、原発事故による汚染で使えない状態が続いていました。そこでメガソーラーを建設して収益を住民の支援に充てようと計画されました。

富岡町企画課は「全町避難が大半の地域で解除されたことにより、ようやく復興が本格的に始まった。3施設の売電益も有効活用し、復興へ道を開きたい」と意気込んでいます。

楢葉町では収益の一部を住民の帰町や生活支援に利用

富岡町よりひと足早く避難指示が全域で解除された楢葉町では、波倉メガソーラーの建設が続いています。出力は11.5メガワット。波倉、営団両地区の土地25ヘクタールを借り、5万枚を超す太陽光パネルを設置、一般家庭3,800世帯分の電力を生む計画です。操業開始は2017年11月の予定。

楢葉町は2015年に避難指示が解除されたものの、1月末現在の住民登録者約7,300人に対し、居住者が780人にとどまっています。その多くは高齢者です。このため、収益の一部を住民の帰町や生活再建の支援に充てることにしています。

運営会社には、東芝が出資したほか、楢葉町も間接的に資金提供しています。被災地復興に関係する事業であるため、福島県内の金融機関が協調融資で支援する方向です。

中通り地方の西郷村でもゴルフ場跡にメガソーラーを着工

メガソーラーの建設が進むのは、海岸沿いの浜通り地方だけではありません。内陸の中通り地方にある西郷村では、ゴルフ場跡地に4月、出力44メガワットのメガソーラーが着工しました。完成は2019年12月の予定です。

ジャパン・リニューアブル・エナジー、ふくしま未来研究会、信夫山福島電力が事業会社を設立し、50ヘクタールの土地に25万枚の太陽光パネルを設置します。発電量は一般家庭1万3,200世帯分になる見込みです。

通常、18ホールのゴルフ場にメガソーラーを建設すると、30メガワット程度の発電量しか得られませんが、設置角度を調整するなどして影の影響を減らし、44メガワットの出力を確保しました。

2018年度で福島県内の再生可能エネルギーの比率を30%に

福島県再生可能エネルギー導入計画
福島県は2016年3月、「再生可能エネルギー先駆けの地アクションプラン第2期」をまとめました。その中で、県内で必要なエネルギーのうち、再生可能エネルギーによって発電する割合を2018年度で30%とする計画を打ち出しています。

福島県の浜通り地方は原発事故で耕作放棄地が広がっています。この土地を発電施設に利用して復興へ一歩踏み出すとともに、福島県を再生可能エネルギーの拠点とするのが狙いです。

福島県は全国の都道府県で北海道、岩手県の次に面積が広く、太平洋側を中心に日照に恵まれています。これを生かし、玉川村と須賀川市にまたがる福島空港に出力1.2メガワットの太陽光発電を設置するなど、震災直後から再生可能エネルギーの推進に力を入れてきました。

太陽光発電は県の予測上回るハイペース

福島県エネルギー課の推計では、2015年度末現在で運転中の発電施設は太陽光764メガワット、風力169メガワット、小水力16メガワット、地熱65メガワット、バイオマス179メガワットの合計約1,200メガワットに及びます。

福島県内の全エネルギーに占める割合は27.3%。太陽光発電は当初予測を200メガワット上回るハイペースで建設が進んでいるうえ、それ以外も予測通りの進捗。福島県エネルギー課は「2018年度の目標は十分に達成できそう」とみています。

将来は2020年度で40%、2030年度で60%、2040年度ごろで100%と、再生可能エネルギーが占める割合を増やしていく考えです。原発事故を教訓に福島県を再生可能エネルギーの基地として復活させる計画は今のところ、順調なようです。

高田泰(政治ジャーナリスト)

高田泰(政治ジャーナリスト)

関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆している。
高田泰(政治ジャーナリスト)

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