2016年、日本の電力自由化の3つの課題とはなんだろう?

電力自由化

2016年4月に向けて進められている電力事業の全面自由化について、議論が進むうちに多くの課題が浮き彫りになってきています。その課題を3つに分類すると、供給力確保、料金、そして再生可能エネルギーの取り扱いです。それぞれについて、詳しくご説明していきます。

日本が電力の全面自由化を進めるにあたっては課題もあります。
日本の電力自由化は1990年代から政府が進めてきた流れの中で進んでいますが、電力全面自由化に際しては2011年の東日本大震災で起きた大規模な供給力不足と計画停電など現行の電力システムに対する反省の要素が加わって議論されています。
その議論や、枠組が作られる中で見えてきた3つの課題とは何か、ご紹介します。

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電力自由化を実現するポイント

現在進められている改革のポイントとしては、①消費者に多様な選択肢を与える、②再生可能エネルギーなどの活用、③送配電ネットワークの強化および送電部門の中立性確保、などがあげられます。

これまで見てきたように、今回の電力システム改革の流れは、まず2015年に「広域的運営推進機関」(広域機関)を創設し、送配電部門の広域性を確保します。
次に2016年に小売りの自由化の全面自由化を行うほか、規制の撤廃などで卸電力市場の活性化を図ります。
さらに2018年から2020年をめどに送配電部門の中立性を確保するための発送電分離(法的分離)を実施するほか、電気の小売り料金も全面的に自由化されます。

供給力確保がカギ

こうした中で求められているのが、真に利用者の利益につながるための改革とすることであり、供給力が確実に確保される仕組みの構築です。

まず最も大切なことは、供給力が十分に確保され、需給関係が安定していることです。日本の現在の電力供給の状況は、原子力発電所がほとんど稼働出来ていない状態にあることから、夏の猛暑や冬の寒さによる冷房や暖房の需要増加で、電力需給が逼迫する懸念は常につきまとっています。
また、電力会社にとって電力は商品ですから、需給に余裕があることが、自由化による価格競争で消費者にメリットが生じる大前提とも言えます。
まずはこうした部分を克服することが重要で、政府が現状の方針通りに原子力を重要なベースロード(基盤)電源として位置づけることでこの問題を解決するのであれば、原子力事業とその安全性のあり方を明確化することが求められるなど、課題が残っています。

ベースロード電源とは

経済産業省の定義によると、発電コストが低廉で、昼夜を問わず安定的に稼働できる電源のことを指す。具体的には原子力、石炭(火力)、水力(流れ込み式)、地熱をさす。
同省ではベースロード電源に対して、発電コストは高いが需給の状況により出力を容易に変えられるものをピーク電源、ベースロード電源ほど発電コストは安くないが、出力の変動が可能なものをミドル電源としている。

海外の電力自由化事例とは異なる点

これまで欧米諸国で先進的に電力システム改革が進められてきましたが、その多くは需給に比較的余裕のある環境の中で進められてきた面があります。
需給関係が厳しい中でシステム改革が行われた例に、アメリカのカリフォルニア州の例がありますが、これは、十分な予備力を確保しないまま自由化に踏みきったため大停電を引き起こす結果を招きました。供給の余力がない中での大きなシステムの変更はリスクを伴う部分があります。

電力自由化に伴った発送電分離と安定性や料金への影響

もう一つ注目すべき点は、電力自由化にあたっての安定供給と料金への影響です。これには、公平性を確保するための「発送電分離」が大きく関係してきます。

発送電分離の仕組みが予定通り機能するのか

電力自由化に伴っての発送電分離には、「発電」と「送配電」、「小売り」と機能を分割して新規参入や競争を強化する狙いがありますが、緊急時の連携など安定供給を保つうえで、発電側と送配電側で情報の共有や連携に問題が生じないような仕組み作りをどうするかが重要になります。

送配電会社は、新規参入者にも送電網の公平なアクセスを保障して、既存の大手電力会社と比べて競争上不利にならないように中立性を保つ必要があるうえ、多くの発電事業者の動きを絶えずチェックして、時々刻々と変わる需給の調整を行う必要があります。送配電を担う会社は高度な調整機能を持っているので、自由化ですぐに停電が頻発するようなことはまず考えられませんが、電力業界からは「新規参入する発電事業者が増える可能性があり、新しいオペレーションに習熟するまでに一定の時間がかかる」といった声も上がっています。

欧米での発送電分離の事例

ヨーロッパでは1990年以降、英国や北欧諸国などで先行的に発送電分離を実施。90年代以降、欧州連合(EU)が加盟国に促している。米国では90年代後半以降、連邦の規制当局が送電の機能分離を促し、各州の規制当局は小売り自由化にあわせて発電の分離を促している。

電力自由化で料金はどう変化するのか

また料金面について海外事例を見てみると、電力自由化、発送電分離を行っても、ただちに電力料金が下がったという明確な結果が出ているわけでもありません。競争を通じて期待されている電気料金の低下は、消費者が実感するまでには時間がかかるともいえます。

再生可能エネルギーと電力自由化の関係

日本では2011年の東日本大震災後、太陽光や風力など再生可能エネルギーの導入が急速に進められ、普及が期待されていますが、これは一方で、自由化の考え方に「逆行」する側面もあります。

そもそも風力や太陽光の発電コストは火力や原子力といった従来の電気に比べて高いうえに、発電量などが日射量や風の吹き方に左右される特徴があります。このため、安定供給を実現するには、バックアップ火力など別の発電所が待機し、発電量の変動を補完していく必要があります。
この待機には多額のコストがかかり、電力市場の自由化が進めば、積極的にバックアップの役割を担う発電事業者が現れることは期待できません。

再生可能エネルギーの普及にあたってはこうした問題と折り合いをつける必要がありますが、電力自由化の枠組みの中で安定のためのコストを誰がどのように負担するのかを調整するという課題は、急速な普及の中で取り残されているのです。

課題を克服して自由化の実効性向上を

以上のように、電力自由化にあたっては制度や仕組みの上で克服しなければいけない部分もまだあります。これは政府レベルで方向性を出さないといけない部分もありますし、事業者レベルで解決を図らなければならない部分もあります。
安定供給を確保しつつ健全な競争を進め、消費者にメリットをもたらす自由化が進むように環境を整備してゆくことが官民双方に求められています。

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