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東京電力など大手電力は、電力自由化にどんな戦略で対応するのか

大手電力の電力自由化への対応
電力自由化

2016年の電力自由化、迎え撃つ立場の東京電力をはじめとする地域の大手電力10社は、どのような戦略で市場の激変に対応するのでしょうか。提携や新電力子会社、異業態への拡張など、大手電力の戦略を見ていきましょう。

東京電力などの地域の電力会社以外から、電力を購入できるようになる「電力小売りの全面自由化」は2016年の春に迫っています。全面自由化されると電気事業への新規参入が増加して、電力市場では競争が激しくなります。これまでは全国10の地域電力会社がほぼ独占的に電力を供給していましたが、大手の電力会社も厳しい競争にさらされることになります。大手電力会社は自由化にどう対応するのか、東京電力の事例を通して見てゆきましょう。

 

東京電力の自由化への戦略

東京電力は2011年の東日本大震災の後、福島第一原子力発電所事故の被災者への賠償負担が重くのしかかり、苦しい経営を続けてきました。一方で、電力小売りの全面自由化を前に、収益力の強化と拡大を図るために、様々な戦略を練っています。中部電力との提携がその一つです。

中部電力と東京電力の提携

これは2014年10月に合意したものですが、液化天然ガス(LNG)の共同調達や首都圏などでの発電所新設などが柱となります。大きな目標は発電にかかる燃料費を削減することで、LNGの調達量を現在の東電単独の年間2500万トンから中部電とあわせて年間3500万~4000万トン程度に増やし、「規模の経済」を働かせたコスト削減を狙います。また、東電と中部電が共同で火力発電所を建設することも行う方向です。2014年度中に両社が折半で共同出資会社を設立して、燃料調達から発電までを一体的に行い、コスト削減につなげ、電気料金を少しでも安くしてゆくことを目指します。

東電は今後も、原発事故の処理や損害賠償に多額の費用が必要ですが、財務面で厳しい状態がつづいているため、中部電力との提携によって全面自由化時代に備えるねらいがあります。中部電にとっては、この提携を電力の最大の消費地である首都圏に本格進出する足がかりとしたいという考えがあります。

競争の時代への備え

東電は1月5日に数土文夫会長が、年頭にあたって訓辞し、2016年4月の電力小売りの完全自由化にそなえて、中部電との提携のほか、異業種との提携を積極活用する姿勢をあらためて表明しました。電力の完全自由化には2015年が正念場の年になるという姿勢です。これに呼応する形でこの日、中部電の水野明久社長も「激しい競争が待ちかまえている」と発言しています。

大手電力会社が他地域・他分野での競争に乗り出す

また、大手電力は従来のテリトリーにとどまらず、他の地域電力の供給エリアにも相互に手を伸ばすことで、自由化時代の顧客流出へ備えようとしています。

新電力で他電力の地域を切り崩しに

東京電力は子会社の新電力「テプコカスタマーサービス」(TCS)を作り、PPSとして全国の企業を対象とした電力販売に乗り出しました。関東エリア以外にも電力販売を行うことで、収益拡大を図る狙いがあります。

TCSを通じた他地域進出の象徴的な事例が、2014年10月、関西地区や中部地区の家電量販店ヤマダ電機62店舗と同業のケーズホールディングスの関西20店舗で電力供給を始めたことです。さらに、その年の12月に実施した京都府庁舎の電力調達入札では、TCSが落札し、34施設の電力調達先となりました。関西電力の牙城だった地域に東電の子会社が浸食するという象徴的で、かつ今後の大競争を予感させる動きとなりました。
TCSはこのように営業の土台を固めながら、2016年には全国エリアでの家庭・商店向けの電力販売も担当する、いわば東電にとっての「刺客」の役割を持った新電力なのです。

東京電力自身によるガス併売で、都市ガス大手に対抗

東電はこのほか、他社との提携を通じて、電気とガスの併売によって、顧客基盤の拡大を図ろうとしています。東電はこれまで約40年にわたって火力発電用のLNGを大量に輸入しており、大企業向けにガス販売も行っています。政府は2017年に家庭向けのガス販売も自由化する方針とみられ、電気とガスの「併売体制」を整えゆく考えです。

東電がガス併売に乗り出す背景は、首都圏で東電のライバルともいえる東京ガスが、本業のガス供給に加えて、電力販売や通信会社と連携した各種サービスの提供を検討していることです。
2015年の年頭、新聞のインタビューに答えた東ガスの広瀬道明社長は、電力自由化に向けた戦略の一環として、顧客メリットのあるメニューを作る意向を示しました。東ガスをめぐっては、関西電力とともに首都圏で火力発電所などを建設するとの一部報道もあります。

首都圏に火力発電所を多く抱える東電は、東ガスに対抗しうるガスの安価な調達という、それまでのノウハウや設備が活かせる部分を活用して、競争力の確保を考えているのです。

「電気」を接点にしたサービスで消費者を囲い込み

また、東電は電力小売りの完全自由化を前に、契約者向けの追加情報サービスの強化に乗り出しています。東電には、家庭向けに毎月の電力料金を前月や前年実績と比較できるウェブ上のサービス「でんき家計簿」がありますが、昨年から自宅にある家電をまとめて管理できる機能を追加した「家電アシスト」を始めています。登録や利用は無料で、製品を登録すると保証期限などを確認できるほか、リコールなどの情報がある場合には、該当する家電の所有者に通知する機能などもあります。長期間使っていてエネルギー効率が低下した製品の買い替えなどを提案する機能もあるなど、「電気を供給する」だけでなく、電気を消費者との接点とした情報も提供しようとしています。

このように、顧客向けに手厚いコンサルティング風サービスを先取りすることには、将来のスマートメーター導入時のさらなる高度なサービスへつなげるほか、既存顧客をいまのうちに囲い込んでおく狙いがあるのです。

まとめ

これまで東京電力を中心に見てきましたように、電力小売りの全面自由化を前に、大手エネルギー企業同士が様々な形で連携し、あらたなビジネスに乗り出す「合従連衡」の機運が一気に高まっています。まさに日本のエネルギービジネスに大きな地殻変動が起こっている状況であり、今後、さまざま形で大企業同士連携や提携、あるいは経営統合などの動きが生まれてくる可能性があります。

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