電源調達調整費とは?独自燃調を扱っている新電力・電力会社はどこ?
この記事の目次
「どこの新電力が電源調達調整費を導入している?」「自分が契約している電力会社が電源調達調整費を導入しているか調べる方法は?」。電源調達調整費の疑問にお答えします。
- 更新日
- 2024年9月6日
電源調達調整費とは
電気代に調達コストを反映させる費用のこと
電源調達調整費は、一部の新電力が導入している、月々の電気代を算出する際の費用のひとつ。自前の発電所を持たず、日本卸電力取引所(JEPX)で電力調達している新電力が、その際発生するコストを反映させる目的で導入します。新電力が独自で設定する燃料費調整額のため、「独自燃調」とも言われています。
新電力によって異なりますが、一定期間の市場平均単価で算出し、基準から上回った場合は加算請求、下回った場合は減算請求するパターンが少なくありません。また算出方法だけでなく、名称も新電力によって異なります。
新電力が電源調達調整費を導入する理由
新電力が電源調達調整費を導入する理由を知るためには、一般的な電気の算出方法を知る必要があります。
東京電力エナジーパートナー(以下、東京電力EP)や関西電力など、旧一般電気事業者の電気料金は次のように算出します。
旧一般電気事業者とは、北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力を指します。
- 基本料金(最低料金)+電力量料金±燃料費調整額+再生可能エネルギー発電促進賦課金
燃料費調整額とは、電気を作るために必要な燃料の価格変動を電気料金に反映させるためのものです。必ず毎月変動し、燃料費が基準価格よりも低ければ電気料金から減算、高ければ加算します。
多くの新電力も旧一般電気事業者と同じ算出方法を導入していますが、これにはメリットとデメリットがあります。
メリットは、同じ算出方法を導入することによって、消費者が旧一般電気事業者と比較しやすくなること。変動する燃料費調整額の箇所が同じなら、基本料金や電力量料金の単価を比較するだけで、どちらが安いプランか明確になるためです。
一方デメリットは、新電力が電力の調達コストを反映させられないことです。そもそも多くの新電力は、自前の発電所を持たず、日本卸電力取引所(JEPX)で電力調達を行っています。市場価格が安定している際は問題ないのですが、高騰すると、前述の算出方法では価格転嫁するのが難しくなり、収益性が落ちるリスクが生じてしまうのです。新電力が収益を落とせば、最悪の場合は撤退を余儀なくされ、消費者は電力会社を切り替える事態になってしまいます。
消費者側のリスクにもつながるデメリットを避ける解決策として、一部の新電力が導入するようになったのが「電源調達調整費」。日本卸電力取引所(JEPX)と連動しているため、市場価格が安い時は電気料金が安くなり、高騰した際は電気料金が高くなり、価格転嫁が行われて新電力の経営も悪化しません。ただし市場価格と連動しているのに加え、算定方法が会社によって違うため、料金内容が複雑になり、比較するのが困難になるのは、デメリットと言えるでしょう。
電気・ガス比較サイト「エネチェンジ」では、各新電力の燃料費調整額はもちろん電源調達調整費も反映してシミュレーションできます。ぴったりの新電力を見つけたい方は、ぜひ活用してくださいね。
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市場連動型プランとの違いは?
電源調達調整費が加算されるプランと市場連動型プランは、日本卸電力取引所(JEPX)の市場価格と連動している点は似ていますが、計算方法が異なります。前者は電源調達調整費などの名称の費用が加算されるのに対し、後者は電力量料金自体が日本卸電力取引所(JEPX)の市場価格と連動しています。
市場連動型プランについて、詳しくは以下の記事で解説しています。
電源調達調整費を導入している新電力はどこ?
電源調達調整費を導入している電力会社の見分け方
新電力の申し込み前に提示される「約款」に記載があるので、確認しましょう。電源調達調整費という名称が使われていない場合もあるので注意が必要。また電源調達調整費を新たに導入する場合は、契約上の変更となるため、公式ホームページでお知らせが掲載されたり、契約者向けにメールが送られたりします。
電源調達調整費を導入している新電力一覧
電源調達調整費を導入している新電力を一覧にまとめました。
電力会社 | 費用名 |
---|---|
アイ・グリッド・ソリューションズ(スマ電) | 燃料費等調整 |
HTBエナジー(たのしいでんき) | 電源調達調整費 |
エクスゲート(おてがるでんき) | 電源調達調整費 |
SBパワー(ソフトバンクでんき) | 電力市場連動額 |
エバーグリーン・リテイリング | 電源調達調整額 |
エフエネ(エフエネでんき) | 電力調達調整費 |
おトクでんき | 電源調達調整費 |
香川電力 | 電源調達調整費 |
グランデータ | 市場価格調整額 |
グリムスパワー | 燃料費等調整単価 |
サニックス(サニックスでんき) | 燃料費等調整単価 |
ジニーエナジー | エナジー調整費 |
Japan電力 | 燃料費等調整額 |
シン・エナジー | 電源調達調整費 |
スマート(地域電力) | 電力仕入調整費 |
千葉電力 | 電源調達費調整額 |
東急パワーサプライ(東急でんき&ガス) | 燃料費等調整額 |
ハルエネ(ハルエネでんき) | 電源調達調整費 |
パルシステム生活協同組合連合会(パルシステムでんき) | 市場価格調整額 |
向こう三軒両隣(めぐるでんき) | 電源コスト調整単価(めぐるワリ) |
楽天エナジー(楽天でんき) | 市場価格調整額 |
和歌山電力 | 電源調達費調整額 |
リスト内の電力会社は一例です。すべての「電源調達調整費を導入している電力会社」をリストアップしたものではありません。ソフトバンクでんきで電力市場連動額が加減算されるのは、東北電力エリア・東京電力エリア・関西電力エリア・九州電力エリアの電気料金プランのみです(2023年5月以降)。
電源調達調整費を導入していない新電力
電源調達調整費を導入していない、おすすめの新電力を厳選してご紹介します。
TERASELでんき
電気料金プランは、旧一般電気事業者の従量電灯と比較して基本料金・電力量料金ともに割安に設定された「TERASELでんき」など。電気料金の支払い200円(税込)につき、楽天ポイントが1ポイント貯まるのもメリットです。
東京ガス
電気料金プランは、一般家庭向けの「基本プラン」や、オール電化向けの「時間帯別プラン」など。環境に配慮した電気が利用できるプランもあるほか、東京ガスの都市ガス料金プランとセットで契約することで、「ガス・電気セット割」が利用できるのもメリットです。
idemitsuでんき
電気料金プランは、旧一般電気事業者の従量電灯と比較して基本料金が同額、電力量料金の一部が割安に設定された「Sプラン」など。またカーオプションとして、指定のサービスステーションで給油する際、登録済みのクレジットカードやPontaカードで支払うことでガソリン代が割引される「ガソリンコース」や、電気自動車と充電設備を所有している場合に月々の電気代が割引される「EVコース」を選べるのもメリット。
電源調達調整費の推移
ここまで読んで、「実際に電源調達調整費はどれくらいの金額で推移しているの?」と気になっている方も多いはず。本章では、電源調達調整費の推移についてまとめました。
電源調達調整費はどれくらい変動する?
電源調達調整費がどれくらい変動するのか、各電力会社の電源調達調整費を一覧にまとめました。ただし、各社の電源調達調整費の算出方法、最終的な電気料金の算定方法は異なります。「A社と比較してB社の電源調達調整費の方が高いから、電気料金もB社の方が高い」などのように断定はできません。あくまでも比較ではなく、推移の参考にしてください。
電力会社 | 費用名 | 2024年9月分 | 2024年8月分 | 2024年7月分 | 2024年6月分 | 2024年5月分 | 2024年4月分 | 2024年3月分 | 2024年2月分 | 2024年1月分 | 2023年12月分 | 2023年11月分 | 2023年10月分 | 2023年9月分 | 2023年8月分 | 2023年7月分 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
HTBエナジー(たのしいでんき) | 電源調達調整単価 | 9円00銭 | 10円43銭 | 7円95銭 | 5円46銭 | 4円00銭 | 5円08銭 | 5円17銭 | 6円52銭 | 8円43銭 | 11円64銭 | 7円82銭 | 11円34銭 | 9円48銭 | 9円33銭 | 7円66銭 |
エバーグリーン・リテイリング | 電源調達調整単価 | 12円72銭 | 10円65銭 | 7円66銭 | 6円04銭 | 6円90銭 | 5円63銭 | 6円26銭 | 10円76銭 | 6円82銭 | 8円61銭 | 6円20銭 | 5円36銭 | 3円23銭 | 3円61銭 | 1円80銭 |
ストエネ(旧:グランデータ) | 市場価格調整単価 | 14円15銭 | 15円26銭 | 10円84銭 | 9円37銭 | 8円88銭 | 9円48銭 | 7円73銭 | 8円63銭 | 11円64銭 | 15円90銭 | 12円18銭 | 13円88銭 | 11円59銭 | 10円79銭 | 8円78銭 |
Japan電力 | 燃料費等調整単価 | 7円74銭 | 2円96銭 | 1円36銭 | 0円85銭 | 1円49銭 | 0円03銭 | 1円01銭 | 4円28銭 | 8円89銭 | 4円86銭 | 6円69銭 | 4円22銭 | 3円36銭 | 1円18銭 | 1円56銭 |
シン・エナジー | 電源調達調整単価 | 4円88銭 | 2円74銭 | 0円90銭 | 0円00銭 | 0円00銭 | 0円00銭 | 0円00銭 | 0円00銭 | 3円52銭 | 4円76銭 | 2円21銭 | 3円37銭 | 0円61銭 | 1円22銭 | ▲1円26銭 |
東急パワーサプライ(東急でんき&ガス) | 燃料費等調整単価 | 3円78銭 | 3円51銭 | 3円54銭 | 3円80銭 | 3円94銭 | 4円25銭 | 4円64銭 | 4円63銭 | 4円57銭 | 4円27銭 | 4円41銭 | 4円19銭 | 4円46銭 | 4円99銭 | 6円32銭 |
楽天エナジー(楽天でんき) | 市場価格調整単価 | 2円07銭 | 2円99銭 | 0円00銭 | 0円00銭 | 0円00銭 | 0円00銭 | 0円00銭 | 0円00銭 | 0円00銭 | 3円54銭 | 0円44銭 | 1円85銭 | 0円00銭 | 0円00銭 | 0円00銭 |
上記金額に電気・ガス価格激変緩和対策事業の補助金は反映されていません。上記は東京電力エリアの電源調達調整費です。エリアによって単価は異なります。
電源調達調整費を含めたプランは高い?安い?
電源調達調整費の推移を紹介しましたが、「結局、電源調達調整費を含めたプランは高いの?安いの?」と気になっている方も多いのでは。一例として、電源調達調整費が含まれているシン・エナジーの「きほんプラン」と、燃料費調整額が含まれている東京電力EP「スタンダードS」を比較してみましょう。
年月 | シン・エナジー「きほんプラン」料金(消費税率10%) | 東京電力EP「スタンダードS」料金(消費税率10%) | 差額 |
---|---|---|---|
2023年8月 | 7352円 | 8130円 | -778円 |
2023年9月 | 7169円 | 7827円 | -658円 |
2023年10月 | 7997円 | 8724円 | -727円 |
2023年11月 | 7649円 | 8652円 | -1003円 |
2023年12月 | 8414円 | 8592円 | -178円 |
2024年1月 | 8042円 | 8598円 | -556円 |
2024年2月 | 6986円 | 8625円 | -1639円 |
2024年3月 | 6986円 | 8709円 | -1723円 |
2024年4月 | 8108円 | 9347円 | -1239円 |
2024年5月 | 8108円 | 9368円 | -1260円 |
2024年6月 | 9158円 | 9830円 | -672円 |
2024年7月 | 9428円 | 10283円 | -855円 |
2024年8月 | 9980円 | 10217円 | -237円 |
2024年9月 | 9422円 | 8999円 | 423円 |
2023年8月~2024年6月は「電気・ガス価格激変緩和対策事業」の補助金が、2024年9月は酷暑乗り切り緊急支援」の補助金が適用された金額です。東京電力エリアで契約アンペアを30A、1カ月の電気使用量を300kWhと仮定して試算しています。
2023年8月~2024年9月の期間で比較すると、2024年8月まではシン・エナジー「きほんプラン」は東京電力EP「スタンダードS」より安いですが、2024年9月はシン・エナジー「きほんプラン」のほうが高いです(期間合算-11,102円)。同じアンペア・電気使用量であっても、電源調達調整費・燃料費調整額が毎月変動するため、月ごとに電気代に違いがあるのがわかります。
現在契約している電力会社や電気の使用状況によっても、節約につながるかどうかは変わってきます。電力会社を切り替える際は、必ずシミュレーションをしましょう。
契約前は約款を確認しましょう
電源調達調整費の有無は、契約前に約款を必ず確認しましょう。
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平均42,661円/年の節約!
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