東京都が自治体初の再エネ電力共同購入、参加登録の受け付けがスタート【エネルギー自由化コラム】

東京都が自治体初の再エネ電力共同購入、参加登録の受け付けがスタート【エネルギー自由化コラム】
電力自由化ニュース

東京都は再生可能エネルギーの利用拡大に向け、太陽光や風力発電などで作った電力の共同購入を始めます。電力の共同購入は生活協同組合など民間で例がありますが、地方自治体が本格的に推進するのは国内で初めて。都は既に参加登録の受け付けを始めており、2030年までに都内で使用する電力の30%程度を再エネでまかなうことを目指しています。

キャンペーン名は「みんなでいっしょに自然の電気」

都が進めるキャンペーンの名称は「みんなでいっしょに自然の電気」。対象は首都圏に住む一般家庭や個人事業者で、参加者を多数集めたスケールメリットを生かし、再エネ電力を安く共同購入します。都と協定を結んだグループ購買のアイチューザー(本社・オランダ)の日本法人がキャンペーン事務局を務めています。

参加登録は無料で、登録期間は2020年1月21日まで。専用ウェブサイトから登録すると、都とキャンペーン事務局がオークションで最もお得な電力会社のメニューを選び、2月上旬から選定した料金メニューを参加者へ提示します。

参加者が3月10日までに契約切り替えの判断をすれば、事務局が手続きをサポートしてくれます。登録しても切り替えの義務はなく、今の契約を継続することもできます。

標準家庭で年間1万円程度お得に

都によると、4人家族の標準的な一般家庭で年間14万円程度の電気代が必要になりますが、都はこのキャンペーンを利用して契約を切り替えれば年間1万円ほど安くなると見積もっています。海外の類似事例では毎月10%前後の節約を実現した例があります。

供給される電気は、太陽光や風力、水力、バイオマス発電などで作られた再エネ電力が1年間に供給される量の30%以上を占めるものです。参加募集は今回限りではなく、2020年度以降も複数回、実施することにしています。

都次世代エネルギー推進課は「温室効果ガスの排出削減は世界中で進めなければならない課題。身近な電気から地球環境の保全に貢献できるだけに、どんどん参加してほしい」と呼び掛けています。

都は環境基本計画で温室効果ガス30%削減を構想

都が共同購入に踏み切るのは、都環境基本計画で2030年までに都内で出る温室効果ガスの排出量を2000年比で30%削減する目標を掲げていることも関係しています。

しかし、全国地球温暖化防止活動推進センターの全国集計では、産業部門や運輸部門が排出する温室効果ガスが2000年代に入って減少傾向にあるのに対し、家庭部門からの排出量はそれほど顕著な減少に至っていません。

出典:全国地球温暖化防止活動推進センターから筆者作成

家庭での排出削減促進も狙いの1つ

産業部門は二酸化炭素換算で1990年度の5億300万トンが2017年度に4億1,300万トン、運輸部門は2000年度の2億5,800万トンが2017年度に2億1,300万トンに減りました。

しかし、家庭部門は1990年度の1億3,100万トンが2000年度に1億5,600万トンに増えたあと、ピークの2012年度で2億1,200万トンに達しました。その後は微減傾向ですが、2017年度も1億8,600万トンを排出しているのです。

都は産業界が省エネを徹底的に進め、車も電気自動車やハイブリッドカーが徐々に普及しているのに対し、家庭での取り組みが十分に浸透していないと考えています。これを促進させるのが共同購入の最大の狙いです。

都内の再エネ電力利用量は右肩上がりで増加

都の推計によると、都内で消費される総電力量は800億キロワット時を少し下回るレベルで推移しています。電力消費は日本の経済発展に伴って伸びてきましたが、省エネの普及で増加に歯止めがかかっているのです。

これに対し、再エネ電力の利用量は2012年度の48億キロワット時から右肩上がりで増加し、2017年度は112億キロワット時に達しました。国の再エネ電力固定価格買い取り制度で太陽光発電が普及したことなどが追い風になっています。

これに伴い、総電力使用量に占める再エネ電力の割合は2012年度の6%から上昇が続き、2017年度は14.1%に上りました。都は2030年までに30%前後まで高めたい考えです。

出典:東京都環境局資料から筆者作成

東京が再エネ電力拡大の推進役に

都内は他の都道府県に比べ、大規模太陽光発電や風力発電などを整備する場所が限られています。このため、都外で生産される再エネ電力を活用しなければ、この目標を達成することが難しくなります。

しかし、電力の大消費地である都内で再エネ電力の需要が高まれば、東京向けの発電増設という形で再エネ電力の供給拡大に結びつきます。都は東京から再エネ電力の拡大を引っ張っていこうと考えているのです。

COP25では日本に批判の声が集中

しかし、海外からすると日本の環境対策は遅れが目立つようです。スペインのマドリードで開かれた国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)で日本は欧米の環境保護団体から厳しい批判を浴びました。化石燃料の中でも二酸化炭素排出量が大きい石炭火力発電所を推進していることを強く批判されたのです。

世界の環境保護団体で組織する気候行動ネットワークはCOP25で最初の「化石賞」にブラジル、オーストラリアとともに日本を選びました。化石賞は地球温暖化対策に後ろ向きな国に贈る不名誉な賞です。

梶山弘志経済産業相が3日の記者会見で「石炭開発、化石燃料の発電所は選択肢として残しておきたい」と発言したことが環境保護団体の怒りに火をつけた格好ですが、日本がやり玉に挙げられるのは最近、毎回のようになっています。

再エネ比率先進国最低の現状打開にも期待が

数字の上でも日本の再エネ利用は遅れています。経済産業省によると、2017年度の電源構成で国内の再エネ比率は水力7.9%、水力以外の再エネ8.1%の合計16.0%にとどまりました。水力以外の再エネの内訳は太陽光5.2%、バイオマス2.1%、風力0.6%、地熱0.2%です。

2017年の先進国首脳会談参加国の水力を含めた再エネ比率は、カナダ65.7%、イタリア35.6%、ドイツ33.6%、英国29.7%、米国17.0%、フランス16.5%。そろって日本を上回っているのです。

日本は20世紀末に再エネ機器製造の先進国に名を連ねていましたが、長期不況で経済的な地位が急降下し、欧米や中国企業に押されているのと同様に、再エネ利用の点でも他の先進国に後れを取るようになっています。

こうした現実を打開するためには、国民の意識改革と同時に再エネ電力の需要拡大が欠かせません。都の共同購入はその点でも一石を投じることが期待されています。

この記事を書いた人

高田泰

政治ジャーナリスト

高田泰

関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆している。

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