これだけで医療費が節約できる!病院にかかるときの10ヶ条とは
普段なにげなく病院に払っている医療費を、治療のためだから仕方がないとあきらめていませんか?いいえ、そんなことはありません!受診の仕方や心構えによっては、医療費の無駄を省いて、家計の節約をすることができるのです。
知っておかないと損をする、病院にかかる時の医療費節約のポイントをご紹介します。
- 更新日
- 2021年1月28日
知っていますか?日本の医療制度
病気になった時、怪我をした時、治療をしてくれるお医者さんがいる病院が身近にあることはとてもありがたいことですね。私たちの社会にはいざという時に備えて作られたさまざまな社会保障がありますが、病気や怪我に備えるのが「医療保険」。節約の前に、私たちの社会の医療保険の仕組みについておさらいをしておきましょう。
医療保険の役割
病気や怪我を病院で治療してもらうためには当然費用がかかりますが、私たちはみな何らかの医療保険に加入しており、病院などで治療を受けた時に全ての費用を自分が出すのではなく、費用の一部だけを負担すればいいことになっています。
国民全員が参加する国民皆保険制度は、多くの人がお金を出し合って運営することでお互いに支えあうことができ、比較的医療費負担が少なくても十分な医療を受けることができるという優れたメリットがあります。
- 国民全員を公的医療保険で保障している
- 医療機関を自由に選ぶことができる
- 安い医療費で高度な医療を受けることができる
- 社会保険方式を基本に、国民皆保険を維持できるよう公費を投入している
医療保険の種類
私たちが加入する医療保険には職業や年齢などによっていろいろな種類があり、運営する「保険者」という主体も国や市町村、もしくは民間団体など、さまざまです。保険者は加入する被保険者やその扶養家族に健康保険証を発行し、私たちはその健康保険証を病院で提示することにより、実際の医療費の一部を現金負担するだけで治療を受けることができるのです。
健康保険証を発行する公的な医療保険には、職業、地域、年齢などの加入資格によって大まかに3つの種類があります。
- 職域保険
- サラリーマンや公務員などを対象とする医療保険で、大企業の従業員とその被扶養者を対象とする「健康保険組合」や中小企業の従業員とその被扶養者 を対象とする「全国健康保険協会(協会けんぽ)」、公務員その被扶養者を対象する各「共済組合」などがあります。
- 地域保健
- 職域保険に属さない人を対象とする医療保険で、市区町村が保険者となって運営されています。
- 後期高齢者医療制度
- 後期高齢者医療広域連合が保険者となって運営され、75歳以上、もしくは65歳以上74歳未満でも一定の障害があると認定された人が対象となります。
給付の仕組み
病院での治療はその種類によって細かく金額が設定されていて、診療報酬と呼ばれる点数で表現されます。保険者から支払われる金額は私たちから集めた保険料等の大切なお金ですから、病院では「レセプト」と呼ばれる診療報酬請求明細書を1ヵ月ごとに各保険者に提示して、その請求に間違いがないか審査支払機関が厳しいチェックを行っているんですよ。
保険者の給付の内容としては、医療費の支払いだけでなく、
- 出産育児一時金
- 葬祭費・埋葬料
などの給付もあり、手続きにより一旦支払った医療費等の払い戻しが受けられる場合もあります。
自分と家族の自己負担の割合は?
病院などで治療を受けたあと私たちは窓口で医療費を支払いますが、それは実際の医療費の一部だけ。かかった医療費の大半は、各保険者から病院へと支払われます。自己負担の割合は年齢などによって分かれますが、家計の節約のために、まず自分や家族の自己負担割合をしっかり確認をしておきましょう。
各世代の医療費の自己負担割合は・・・
- 6歳未満
- 2割
- 6歳以上70歳未満
- 3割
- 70歳以上75歳未満
- 2割(現役並み所得者は3割)
- 75歳以上
- 1割(現役並み所得者は3割)
医療費の節約をするための10ヶ条
その1. かかりつけ医をもちましょう
病気や怪我をした時にはとりあえずココ!というように、自宅近くの診療所をかかりつけ医に決めておきましょう。同じ治療行為でも、診療報酬はその施設の病床数や規模によって異なります。大きな病院よりも、ベット数20床未満の診療所の方が診療報酬で換算する金額が低いので、同じ治療をうけるなら、診療所のかかりつけ医のほうが無駄はありません。
診療所のほうが大病院よりも待ち時間も短くすぐに相談にのってくれますし、他の医療機関への転医が必要な場合は的確なアドバイスをしてくれ、紹介状も書いてくれますので、節約以外のメリットも大きいんです。
- 自宅の近くにある
- どんな病気も相談がしやすいお医者さんがいる
- 疑問や質問に丁寧に応えてくれる
- 必要に応じてほかの医療機関を紹介してくれる
その2. いきなり大病院に行くのはやめましょう
風邪を引いたり軽い怪我をした時に、いきなり大きな病院に行くのも無駄遣いのもとです。なぜなら、ベッド数200床以上の病院では、紹介状がないと初診料に特別料金が加算される場合があるからです。特別料金は保険適用外で、患者の自己負担となります。医療機関が自由に設定できる金額なので、1,000~5,000円程度余計にかかっている可能性があるんですよ。
大きな総合病院で問題になっているのは、待ち時間の長さ。「3時間待ちの3分診療」とまで言われています。小さな怪我や初期的な症状の場合はかかりつけ医を利用して、お金も時間も有効に使いましょう。
その3. 受診する時間に注意しましょう
仕事の都合や、待ち時間が嫌だからと、緊急医に行ってしまうことはありませんか?診療時間終了後や休診日に診察してもらうときは、時間外加算がついて医療費が割高になってしまいます!
診療所などのかかりつけ医では、たとえ診療時間内であっても早朝や夜間の時間帯には時間外加算がつきますので、やむを得ない場合以外は、できるだけ加算のつかない時間帯に受診するよう心掛けて下さいね。
- 時間外加算
- 平日の6~8時と18~22時、土曜日の12~22時の間は、初診で850円、再診650円割高になります。
- 休日加算
- 日曜日、祝日、年末年始の休日は、初診で2,500円、再診で1,900円割高になります。
- 深夜加算
- 深夜から早朝にかかる22~6時は、初診で4,800円、最新で4,200円割高になります。
その4. はしご受診はやめましょう
かかったお医者さんが信用できないからと、病気や怪我の治療中に自分の判断だけで次々に受診先を変える「はしご受診」は大きな無駄につながります。お医者さんを変えればその都度初診料がかかり、検査を最初からやり直せば、その都度検査料もかかるんです!金銭的にも、身体的にも負担がかかる安易な転医は、けっしてプラスとはなりません。
「症状が一向に改善されない」、「治療が信用できない」などの不安や不満があれば、まずはお医者さんにきちんと相談しましょう。良い治療を受けるためには、患者が医者を、医者が患者を相互に信頼することが大切です。
現在かかっている医師とは別の医師の意見を聞いてみるセカンドオピニオンも、それまでの治療経過などのデータがあってこそ効果を発揮するものですから、かかりつけ医の紹介を受けてから受診しましょう。
その5. ジェネリック医薬品を賢く利用しましょう
最近「ジェネリック医薬品」という言葉をよく耳にしますね。ジェネリック医薬品とは製薬会社の特許が切れた薬を、他のメーカーが同じ有効成分で製造した薬のこと。開発費がかからないぶん値段を安く抑えることができるため、ジェネリック医薬品を使用すれば、ほぼ同じ効き目で薬代を節約することができるんです。
お医者さんが書く処方箋でジェネリック医薬品の使用を認めていれば、私たちは自分の判断で安価なジェネリック医薬品を選ぶことができます。心配であれば、処方されている数種類の薬のうちの一部だけを変更してみることも可能ですし、1週間分だけジェネリック医薬品を試すということも可能なので、調剤薬局で相談してみてくださいね。
- メリット
- 何といっても価格が安い!
- デメリット
- 主成分が同じでも添加物は違うので、先発医薬品と全く同じ薬であるとは限らない
ジェネリック医薬品を利用する時には、医師や薬剤師の意見を聞いてからにしましょう。
その6. スイッチOTC薬も上手に利用しましょう
お医者さんの処方箋がないと使用できない医療用医薬品の成分のうち、市販薬でも使えるようになった成分があります。そういった強い効果のある成分を使った市販薬を「スイッチOTC薬」といい、最近になって風邪薬や鼻炎薬、胃薬や口唇ヘルペス治療薬などが販売されるようになりました。
処方箋がなくても薬局で購入できるスイッチOTC薬が利用できることを知っていれば、無駄に受診する必要もなくなるので、医療費を節約することができます。
- 購入費用は原則自己負担です!
- 医療保険はきかない市販薬なので、全額自己負担が原則です。値段によっては受診して処方箋を受けたほうがお得なケースもありますおで、症状や総合的な費用などを考慮して、スイッチOTC薬の利用を判断しましょう。
その7. 医療費控除を活用しましょう
医療費控除は、1世帯で1年間に支払った医療費が10万円を超える場合に、上限200万円までがあなたの課税所得額から控除され、確定申告すると税金の還付が受けられます。
申告には領収書が必要です。医療機関に限らず、諸費用の領収書は必ずもらって保管することを心掛けましょう。自分一人の医療費では10万円を超えなくても、家族数人分を合わせれば10万円を超えることも多いのです。
その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額が控除されます。
- 対象になるのは病院での診療や治療の対価で、健康診断の費用や医師等に対する謝礼金などは対象外!
- 治療や療養に必要な医薬品購入の対価も含まれます。
風邪薬の購入代金はOKですが、ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品はNGです。
その8. セルフメディケーション税制を活用しましょう
セルフメディケーション税制は、医療費控除の特例としてスイッチOTC医薬品を購入した際の購入費用について、確定申告をすることで所得控除を受けることができます。世帯での年間購入額が1万2000円以上の場合であることと、その年に予防接種・健康診断を受けるなど健康のための一定の取組を行ったことが条件となります。医療費控除との併用はできません。
薬局でセルフメディケーション税制対象の医薬品を購入した際や、予防接種・健康診断などを受けた際は領収書を保管しておきましょう。
出典:セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について|厚生労働省
その9. 高額療養費制度を活用しましょう
高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1カ月で定められた上限額を超えた場合に、超えた分の額が支給されます。上限額は年齢や所得に応じて定められています。加入している医療保険に、高額療養費の支給申請書を提出することで支給が受けられます。
医療費が高額になることが見込まれる場合は、事前に限度額適用認定証の交付を受けておけば、認定証と保険証を併せて病院窓口に提示すれば支払いを自己負担限度額にとどめることができます。
申請方法は加入している保険の運営者、市町村や健康保険組合によって違いますので、問い合わせてくださいね。
その10. いつでも保険証を携帯しましょう
旅先で病気にかかった場合など、保険証を提示しないで病院を受診すると自由診療扱いとなり 、医療費全額を支払わなければなりません。あとで医療費の払い戻しをすればいいんでしょ?と思うかもしれませんが、実はそんなに甘くはありません。払い戻しの時には医療費を計算し直すため、支払った医療費が計算額よりも高くなることもあり、その差額分は自己負担になってしまうんです!
保険証があれば日本全国で健康保険で医療を受けることができますから、遠出の時には必ず携帯したいですね。
- 健康保険証はみんな同じじゃない!?
- 健康保険証の発行元により、さまざまな色や形、材質の健康保険証があります。
- 保険証に記載された数字の意味は!?
- 保険証には、事業所ごとに数字が割り振られた「記号」と、被保険者ごとに割り振られた「番号」、保険証の発行元(保険者)ごとに数字が割り振られた「保険者番号」が記載されています。本人確認書面で記載を求められることもありますので、書いてある場所を確認しておくと慌てずに済みます。
- 健康保険証は身分証明書になる!?
- 本人確認を求められたとき、公的機関が発行し、氏名、住所、生年月日等が記載された健康保険証を身分証明書として使うことは出来るのですが、顔写真が入っていない健康保険証では個人を特定できないとするケースも。健康保険証を身分証明書として利用する場合には、注意が必要です。
医療費を節約するために大切なこと
無駄な医療費を払わないこと、それはもちろん大切なことですが、もっと大切なことがありますね。
そうです、無駄な受診をしなくてすむように、まず自分や家族が健康でいることが大切なんです。病院で支払う自己負担金は目に見えるわかりやすい医療費ですが、実際には保険者に負担してもらっている分も含めれば、医療費がいかに大きい支出なのかがわかります。
保険者が支払う保険料も、もともとは私たちの支出しているお金です。将来の生活を維持するための、大切なお金。一人ひとりが大切に使うことを考えていきたいですね。
健康で生活するために大事なこと
高血圧や糖尿病、高脂血症といったものから、死に至る直接の原因になりやすいガンや脳卒中、心臓病などの疾患は、毎日の生活習慣によって引き起こされると考えられています。
生活習慣病は大人になると誰もがかかってしまう病気ではなくて、生活習慣を注意することで回避できる病気。まずは生活習慣病にかからないために、医療費の無駄遣いをせず健康でいるために、今家庭からできることを一緒に考えていきましょう。
健康を維持するための4つのポイント
- 定期的な健康診断を受けましょう
- 病気を早期に発見し、速やかに治療をすることを考えて、1年に1回は健康診断を受けましょう。
- 食事の「質」と「量」に注意しましょう
- 食事の欧米化から脂肪の多い濃い味付けが喜ばれますが、生活習慣病予防のためには和食の良さを見直しましょう。ダシを聞かせて塩分少なめ、脂肪を避けて食物繊維を増やすといいですね。ほとんどの生活習慣病には肥満がつきまといます。腹八分目に抑えながら、夕食は早めに済ませるということが大切です。
- 適度な運動と良質な睡眠をとりましょう
- 適度な運動は全身の血流をスムーズにさせて新陳代謝を高めるので、心身共によい影響を与えます。定期的な、身体に負担のかからないウォーキングなどの軽い運等を習慣にしましょう。体は寝ている時にこそ修復されます。適切な睡眠時間は人によって異なりますが6-8時間を目安に、良質な睡眠をたっぷりととりましょう。
- お酒やタバコはほどほどを心掛けましょう
- お酒は「百薬の長」といいますが、過ぎれば「毒」。ビールは中びん1本(500ml)、日本酒は1合、焼酎は0.6合、ウィスキーならダブル1杯位が適量といわれています。週に1日は休肝日を作ることがおススメです。やはりタバコは害ばかり。禁煙とはいかなくても、徐々に減らしていく努力をしましょうね。
医療費の節約方法を知って、家計を節約していきましょう
病院にかかる時の医療費節約のポイントをご紹介しました。家庭でできる医療費の節約術は、どれも簡単なものばかり。今日から家族みんなで心掛けて、将来に向かってしっかり大切なお金を節約してくださいね。
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