スマートメーターの電力データ活用のメリット・活用事例は?
この記事の目次
2022年4月の電気事業法改正によって、電気事業者以外の企業も、スマートメーターから取得できる電力データを活用できるようになりました。もちろん、自宅のスマートメーターから取得されたデータが勝手に活用されないようにルールも設定されています。
スマートメーターの電力データがどのようなもので、私たちの生活にどんなメリットがあるのか、詳しく説明していきましょう。
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- 更新日
- 2023年10月10日
スマートメーターと電力データ
スマートメーターの登場で、検針員による現地での計測がなくなったり、アンペア変更の工事が不要になったり、さまざまな変化がもたらされました。
それだけにとどまらず、全国6,917万台設置※されているスマートメーターから取得される電力データ(使用電力量など電気に関するデータ)の地方自治体や民間企業への提供が開始され、さまざまな新サービスの誕生が期待されています。
※2021年3月時点の情報です。
出典:電力データ活用による新たな付加価値創造|経済産業省 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部
スマートメーターについて詳しく知りたい方はこちらスマートメーターとは?メリット・デメリットから設置方法まで解説!
スマートメーターの電力データ活用について
スマートメーターの電力データ開放は2023年10月から
スマートメーターから取得される電力データは一般送配電事業者が保有しており、電気事業法によって活用が一部制限されていました。
一般送配電事業者とは、北海道電力ネットワーク、東北電力ネットワーク、東京電力パワーグリッド、中部電力パワーグリッド、北陸電力送配電、関西電力送配電、中国電力ネットワーク、四国電力送配電、九州電力送配電、沖縄電力を指します。
しかし、2020年6月に電気事業法が改定され、法律上は2022年4月から電気事業者以外でも決められたルールのもと、平時と災害時に電力データの活用ができるようになったのです。電力データの開放は段階的に行われる計画が立てられていて、まずは2023年10月に東京電力・中部電力・関西電力エリアからスタート。最初は、前日の30分単位の電力データしか提供されませんが、2025年度からリアルタイムデータの提供も計画されています。
- 2023年10月
- 東京電力エリア・中部電力エリア・関西電力エリア
- 2023年12月(予定)
- 中国電力エリア・九州電力エリア
- 2024年2月(予定)
- 東北電力エリア・北陸電力エリア
- 2024年4月(予定)
- 四国電力エリア
- 2024年9月(予定)
- 北海道電力エリア
- 2024年11月(予定)
- 沖縄電力エリア
上記は、前日の30分単位の電力データの開放スケジュールです。
スマートメーターの電力データ活用のルール
電力データは個人情報に該当するため、入手するためのルールが設定されています。
企業が電力データを入手するためには、国の監督下にある一般社団法人電力データ管理協会の厳しい審査を受けて会員になる必要があります。また一般家庭など、スマートメーターの情報を提供する側(需要家)も同協会に対し同意手続きを行います。
つまり、電力データを入手する企業(情報提供先)は、すべての電力データにアクセスできるわけではありません。あくまでも同意済みの需要家のデータを、許可されたサービス目的にのみ活用できるということなのです。
出典:電力データ活用による新たな付加価値創造|経済産業省 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部
企業が統計または匿名化された電力データの情報を活用する場合は同意がいりません。
スマートメーターから提供される主なデータ
スマートメーターから提供されるデータは使用電力量だけでなく、契約者や建物などの情報も含まれています。
次のリストは、電力データの活用を推進する「グリッドデータバンク・ラボ有限責任事業組合」が2021年5月に発表した電力データの標準使用項目です。
東京電力パワーグリッド、関西電力送配電、中部電力、NTTデータが運営している組合。2022年7月1日解散。
使用電力量 |
受電電力量 |
契約情報 | 本人情報 |
所在地住所 | |
建物情報 (種別/規模/ 用途) | 電圧分類 |
用途(業務用/産業用) | |
電気方式分類 | |
託送契約有無 | |
契約電力 | |
建物分類 | |
発電設備情報 (件数/規模) | 受給契約有無 |
発電設備有無 | |
契約受電電力 | |
発電設備容量 | |
その他情報 | 位置情報 |
通電分類 | |
異動日情報 | 供給側再新日 |
供給側廃止日 | |
供給側新設日 | |
供給側全撤日 | |
受電側開始日 | |
受給側廃止日 | |
発電設備設置日 | |
発電設備撤去日 |
出典:電力データ活用検討委員会での検討状況の報告|グリッドデータバンク・ラボ有限責任事業組合
ドラフト案のため、実際の仕様と異なる点があります。
スマートメーターの電力データ活用
では実際に、電力データを活用するとどのようなことができるのでしょうか。
例えば地方自治体による避難所が不足しているエリアの特定など防災計画に役立てたり、災害時には営業しているコンビニなどの店舗の特定や、停電で機能を停止している病院の早期発見の活用などが考えられています。災害時だけでなく、電気が使われていない空き家が増えているエリアを把握し、見回りの回数を増やして地域の防犯対策に使えば、社会貢献にもつなげられると言われています。
平時の活用イメージでわかりやすいのが、電力データによる高齢者や在宅患者の見守りサービス。離れた家族に対して、高齢者世帯の使用電力量などのデータをリアルタイムに配信すれば、生活リズムによる変化から安否確認ができます。
GPS情報や天気、モーションセンサーなど、別領域のデータとの組み合わせによる新しいサービスの誕生も予想されており、電力データには無限大の可能性が秘めらていると言っても大袈裟ではないでしょう。
スマートメーターの活用事例
活用事例)「エネチェンジ・マイエネルギー」
「エネチェンジ・マイエネルギー」は、国内最大級の電気・ガス比較サイト「エネチェンジ」が提供する会員向けの無料サービス。会員登録したユーザーの電力データをもとに、使用電力量を表示したり、使用量の変化を知らせてくれたり、はたまた節約につながる電気料金プランを提案してくれる機能が備えられています。
電気代をしっかり節約したい人だけでなく、省エネ活動で環境問題に貢献したい人にもおすすめ。
- マイエネルギースイッチ
- 電気の使用量を分析し、最適な電力会社・電気料金プランを提案してくれる機能。電力データを活用するため、従来よりも簡単に電力会社を切り替えられるようになります。
- マイエネルギーアラート
- 電気の使用量の変化を知らせてくれる機能。その時の使い方にマッチした節電・省エネ方法の提案をしてくれます。
- マイエネルギーナビ
- 電力会社も使用電力量をチェックできる機能を提供していますが、解約すると過去のデータは確認できなくなります。「エネチェンジ・マイエネルギー」は、電力会社を切り替えても過去の電気の使用状況をチェックすることが可能。
一部機能は開発中。順次リリース予定。
スマートメーターの電力データ活用で暮らしがもっと豊かに!
スマートメーターの電力データを活用すれば、これまでにないサービスが生まれ、私たちの生活が豊かになることがわかりましたね。
今後どんなサービスが出てくるか、気になる方は情報をマメにチェックしましょう。
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