VDSL配線方式とは?光配線方式との違いや通信速度が遅い時の改善方法を解説

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「VDSL方式ってどんなインターネット配線方式?」「光配線方式との違いは?」と疑問に思っていませんか。VDSL方式とは、マンションやアパートなどの集合住宅でよく使われる光回線の配線方式のひとつです。しかし、通信速度が遅い、回線が不安定などのデメリットもあります。
本記事では、VDSL方式の仕組みや光配線方式との違い、速度が遅くなる原因、改善方法について詳しく解説します。
- 更新日
- 2025年4月11日
VDSL方式とは光回線の配線方式の1つ!3つの接続方式を解説
集合住宅で光回線を配線する場合は、まず電柱から共用スペースに光回線を引き込み、共用スペースから各戸へ配線しています。共用スペースから各戸への配線は、主に「VDSL方式」「光配線方式」「LAN配線方式」の3種類があります。それぞれの配線方式の特徴を確認してみましょう。
VDSL方式
VDSL方式とは、光ファイバーケーブルと電話回線用ケーブルを利用するのが特徴の配線方式です。電柱から集合住宅の共用スペースまでは光ファイバーケーブルを使用し、共用スペースから各戸までは電話回線用ケーブルで配線を行います。主にマンションなど集合住宅で導入されている方式です。
光配線方式
光配線方式とは、光ファイバーケーブルを使用する配線方式です。光電柱から集合住宅の共用スペース、さらに共用スペースから各戸まですべて光ファイバーケーブルで配線されます。マンションなどの集合住宅だけでなく、戸建て住宅でも導入されている配線方式です。
LAN配線方式
LAN配線方式とは、光ファイバーケーブルとLANケーブルを利用するのが特徴の配線方式です。LAN配線方式では、電柱から集合住宅の共用部までは光ファイバーケーブルを使用し、そこから各戸まではLANケーブルで配線されています。導入されているケースは少ないですが、主にマンションなどの集合住宅で導入される配線方式です。
VDSL方式と光配線方式の大きな違いは通信速度?
VDSL方式と光配線方式はともに、マンションなどの集合住宅で導入される配線方式ですが、どのような違いがあるのでしょうか?ここからは、VDSL方式と光配線方式の違いについて解説していきます。
光配線方式は、VDSL方式よりも通信速度が速く、回線の安定性も高い
通信速度の違いは、インターネットの使用感に大きく影響するので注目したいポイントでしょう。一般的にVDSL方式と光配線方式では、光配線方式のほうが通信速度が速く、回線も安定しています。
光配線方式は、1Gbps以上の最大通信速度で、10Gbps以上の高速通信に対応できることもあります。一方で、VDSL方式の最大通信速度は下り100Mbps、上りは50~100Mbpsほどと、光配線方式に比べておよそ10倍もの差があります。
また、光配線方式は、ノイズの影響を受けにくい光ファイバーケーブルを配線に使用するので、安定した通信が実現できるのも魅力です。一方でVDSL方式では、電磁波によるノイズの影響を受けやすい電話回線用ケーブルを使用するため、通信速度が低下しやすく、光配線方式よりも安定しません。
VDSL方式は廃止されてきている
近年、VDSL方式は廃止される傾向にあり、光回線を提供するNTT東日本では、集合住宅の光配線化を推進しています。2024年10月24日には、「フレッツ 光ネクスト マンションタイプ VDSL/LAN配線方式」などの新規申込み受付を終了しました。また、集合住宅の入居者からの光配線化の要望を受ける「光配線方式の設備(光スプリッタ)導入ご要望入力フォーム」を2024年11月から設置しています。
集合住宅の光配線化を推進している主な理由は、通信品質を向上させること、環境負荷を低減させること、電気代や機材費が高騰していることと公表しています。今後も集合住宅の光配線化が進んでいくと考えられるでしょう。
料金の差がなくなってきている
最大通信速度に大きな違いがあるVDSL方式と光配線方式ですが、実はサービス利用料金には差がなくなってきています。光回線を提供するNTT東日本では、2025年4月1日から、全ての配線式で同料金となる料金改定を行いました。VDSL方式よりも通信速度が速い光配線方式のサービスを、同じ料金で利用することができます。
VDSL方式の通信速度が遅い理由は?
ここからは、VDSL方式の通信速度が遅くなってしまう理由について解説します。理由を知ることで、通信速度の改善につなげられる可能性がありますので、後述する改善方法とあわせてぜひ参考にしてください。
電話回線用ケーブルは伝送損失が大きい
VDSL方式で使用する電話回線用ケーブルの材質は、メタル線(銅線)です。電話回線用ケーブルのメタル線は、一般的に線路距離が長くなるほど、伝送損失が大きくなり、電気信号が届きにくくなる性質があります。
集合住宅の共用スペースから各戸まで長い配線が必要になるため、伝送損失が大きくなり、通信速度が遅くなってしまいます。
電話回線用ケーブルはノイズの影響を受けやすい
VDSL方式の通信速度が遅くなる理由のひとつに、電話回線用ケーブルがノイズの影響を受けやすく、周囲の電化製品から発生する電磁波に干渉されやすいことが挙げられます。
影響を受けやすい電化製品には、電子レンジ、パソコンのディスプレイ、インターホン、ホームセキュリティ、ガスの自動検針器などが挙げられます。また、近所に大きな幹線道路、鉄道が走っている場合や、大雨、強風などの悪天候の場合も通信速度低下の原因になることがあります。
VDSL方式から光配線方式に変えられる?
VDSL方式から光配線方式に変更するには、大規模な工事が必要です。
たとえ技術的に光配線方式への変更工事が可能だと確認できたとしても、必ずしも工事が実施されるとは限りません。集合住宅における大規模な工事の可否は、管理会社やオーナーの判断によるためです。建物全体に関わるため、住民への配慮などさまざまな要素が関係し、簡単に決断できるものではないでしょう。住民ができることは、管理会社やオーナーに光配線方式への変更を希望する旨を打診する程度に限られます。
VDSL方式の通信速度を改善するには?
VDSL方式で配線している場合、さまざまな原因で通信速度が下がってしまっている可能性があります。VDSL方式で通信速度の遅さに悩んでいる人は、以下の方法を試してみてください。
LANケーブル(有線接続)を利用する
ルーターとの接続をWi-Fi接続からLANケーブル接続に切り替えると、通信速度を改善できることがあります。LANケーブルを使った有線接続は、Wi-Fiのような無線接続に伴う信号の干渉を避けられるため、通信速度を安定させられる期待があります。オンラインゲームやオンライン会議など、少しでも通信環境を安定させたい時に試してみてください。
100Mbpsの通信速度に対応しているルーターへ買い換える
使用しているルーターが古く性能が低いと、通信速度に影響を与えることがあります。VDSL方式の光回線でルーターを使用する場合は、VDSL方式の最大通信速度である100Mbpsに対応したモデルを選びましょう。具体的には、最大600Mbpsに対応するWi-Fi 4以上のルーターであれば充分です。これよりも前の規格になると100Mbpsを下回ってしまいます。
また追加機能として、端末へ電波を飛ばしやすくする「ビームフォーミング」、複数のデバイスを同時に接続しても速度が維持しやすい「MU-MIMO」といった機能があると、VDSL方式の通信速度を補完するのにより役立ちます。
ノイズの影響を受けにくように対策をする
VDSL方式では、メタル線を使用しているため、電化製品や電子機器から発生する電磁ノイズの影響を受けやすく、通信速度が低下することがあります。ノイズの影響を最小限に抑えるために、モデムやルーターを家電製品から離れた場所に設置して対策しましょう。また、モジュラーケーブルを短く保ち、ケーブルを束ねないのもノイズの対策として有効です。
VDSLモデムの再起動やモデムの交換をする
VDSLモデムを起動してからずっとつけっぱなしにしていたり、古いモデムを使い続けていたりするのも通信速度が低下の原因になりやすいです。モデムの再起動や、古くなったモデムの交換することで、通信速度や接続品質の改善する可能性があります。
定期的にモデムを再起動することで、接続状態がリセットされ、速度が改善されることがあるので試してみてください。また、古いモデムや性能が低いモデムを使用している場合は、最新のモデムに交換することで、より高速で安定した通信環境を実現できる可能性があります。
戸建て向けプランに切り替える
集合住宅に住んでいても、一戸建て向けプランを契約できることがあります。一戸建て向けプランを契約できれば、光ファイバーを直接自宅まで引き込めるので、速度改善の期待があるでしょう。
しかし、戸別に光ケーブルを引き込むため工事が必要で、申込みから開通まで1カ月以上かかるケースも珍しくありません。また、管理会社やオーナーに開通工事の許可をもらう必要があります。開通工事では既存の配管を使える場合が多い一方、稀に壁に穴を空ける必要が生じます。工事内容をしっかり伝えたうえで必ず許可を取り、自己判断で進めるのは避けてください。
こちらの記事では、おすすめの戸建て向けプランの光回線をご紹介しています。
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VDSL方式とは光回線の配線方式の1つ!通信速度が遅い場合は適切な対策を
VDSL方式とは光回線の配線方式の1つです。集合住宅で導入されている配線方式ですが、現在の主流になっている光配線方式に比べて通信速度が遅く悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
ぜひ今回ご紹介した対策方法を試して、少しでも快適な通信環境を整えてみてください。また、集合住宅に住んでいても一戸建て向けプランの光回線に契約できることもあるので、気になる人は自宅が契約できるかどうか調べてみましょう。
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