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【2020年版】固定価格買取制度とは?わかりやすく解説します!

太陽光発電・売電を知る

固定価格買取制度(FIT制度)は、再生可能エネルギーの普及を目的として2012年7月にスタートした制度です。どのような制度なの?私たちの生活にどのような関わりがあるの?など、固定価格買取制度の基本からわかりやすく解説していきます。

固定価格買取制度(FIT制度)という制度をご存知でしょうか?この制度は、再生可能エネルギーの普及を目的としています。「聞いたことないな」「自分にはあまり関係のない制度だな」と思った方もいるかもしれません。

しかし、この固定価格買取制度で電気の買取に使った莫大なお金は、「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」として、各世帯の毎月の電気料金に上乗せされて国民全員が支払っているものなんです。

固定価格買取制度の制定時と比較すると、「再エネ賦課金」の負担額は年々増加しています。毎月支払わなければならないお金だからこそ、もう少し詳しく知っておきたいところです……!この記事では、固定価格買取制度について、詳しく説明していきます。

更新日
2023年3月13日

固定価格買取制度ってなに?

固定価格買取制度は、FIT(Feed-in Tariffの略)とも呼ばれ、再生可能エネルギーの買取価格を法律で定めるための助成制度です。
ドイツやスペインではすでに導入されており、日本では2012年に制定、2017年4月より改定されています。

固定価格買取制度はどうしてはじまったの?

「固定価格買取制度」とは、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定期間中は同じ価格で買い取ることを国が約束する制度です。再生可能エネルギーの普及を目的として、開始されました。

現在日本のエネルギー自給率はわずか7.4%。以前から、エネルギー自給率の向上や温暖化対策が大きく問題視されていました。

その2つの問題を解決する策のひとつとして注目されているのが、自然の力を電気エネルギーへと変換する「再生可能エネルギー」です。再生可能エネルギーの比率を高めることによって、エネルギー自給率の向上、温暖化対策への解決につなげようとしているのです。

コストの面でなかなか進まなかった、再生可能エネルギーの普及

再生可能エネルギーには、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電などがあげられますが、発電設備は建設や維持へのコストが高く、また既存の発電方法と比較すると発電効率もよくないため、なかなか普及が進みませんでした。

そこで、「固定価格買取制度」を制定し、再生可能エネルギーで発電した電気を一定期間中は同じ価格で買い取ることを国が保証し、さらなる普及・促進を目指しているのです。

固定価格買取制度の仕組みって?


出典:経済産業省資源エネルギー庁『再生可能エネルギー 固定価格買取制度ガイドブック』より抜粋

「固定価格買取制度」は、再生可能エネルギーで発電した電気をすべて電力会社(小売り電気事業者)が買い取る制度です。

電力会社が電気を買い取る際にかかる費用の一部を、電気を使用している各家庭から再生可能エネルギー発電促進賦課金を回収し、まだコストがかかっている再生可能エネルギーの普及を支えています。

この買取価格は、あらかじめ定められた期間中に変わることはありません(固定価格)。2021年現在では、家庭用太陽光発電(10kW未満)は10年間、地熱発電は15年間、事業用太陽光発電(10kW以上)・風力・水力・バイオマス発電は20年間、高い価格のまま買い取ることが決められています。

再生可能エネルギーの事業者からすれば、長期的に収益を確保できることになるため、投資の判断がしやすいというメリットがあるのです。

再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)とは?

固定価格買取制度で再生可能エネルギーを買い取るときにかかった費用は、「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」という形で、電気を使用している各世帯からの毎月の支払いによって賄われています。

毎月届いている、検針票(電気ご使用料のお知らせ)を見てみましょう。料金内訳の最後に「再エネ賦課金」という項目が確認できると思います。この金額が、再生可能エネルギーの買取に使われている費用になるのです。

 20122013201420152016201720182019
賦課金単価0.22円/kWh0.35円/kWh0.75円/kWh1.58円/kWh2.25円/kWh2.64円/kWh2.90円/kWh2.95円/kWh
標準家庭月額月額66円月額105円月額225円月額474円月額675円月額686円月額754円月額767円
資源エネルギー庁の資料より

再エネ賦課金は全国一律ですが、毎年調整が行われています。しかし、上の図のように、毎年高くなっているため、家計の負担が増えているという現状があります。

調達価格・調達期間について

調整価格や調整期間は、各電源ごとに事業が効率的に行われた場合、通常必要となるコストを基礎に適正な利潤などを勘案して決められています。具体的には、中立的な調達価格等査定委員会の意見を尊重し、経済産業大臣が決定します。

太陽光

電源調達区分1kWhあたりの調達価格(2019年)1kWhあたりの調達価格(2020年)調達期間
太陽光250kW以上(入札制度適用区分)500kW以上入札制度により決定入札制度により決定20年間
250kW以上500kW未満
14円+税
50kW以上250kW未満14円+税12円+税
10kW以上250kW未満(※1)13円+税
10kW未満出力制御対応機器設置義務なし24円21円10年間
出力制御対応機器設置義務あり(※2)26円
※1 自家消費型の地域活用要件あり。ただし、営農型太陽光発電は、10年間の農地転用許可が認められ得る案件は、自家消費を行わない案件であっても、災害時の活用が可能であればFIT制度の認定対象となる。※2 北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力の供給区域において、出力制御対応機器の設置が義務付けられられている。

風力
電源調達区分1kWhあたりの調達価格(2019年)1kWhあたりの調達価格(2020年)調達期間
風力陸上風力19円+税18円+税20年間
陸上風力(リプレース)16円+税16円+税
着床式洋上風力36円+税入札制度により決定
浮体式洋上風力36円+税36円+税
水力
電源調達区分1kWhあたりの調達価格(2019年)1kWhあたりの調達価格(2020年)1kWhあたりの調達価格(2021年)調達期間
中小水力5,000kW以上30,000kW未満20円+税20円+税20円+税20年間
1,000kW以上5,000kW未満27円+税27円+税27円+税
200kW以上1,000kW未満29円+税29円+税29円+税
200kW未満34円+税34円+税34円+税
水力(既設導水路活用型)※

電源調達区分1kWhあたりの調達価格(2019年)1kWhあたりの調達価格(2020年)1kWhあたりの調達価格(2021年)調達期間
中小水力(既設導水路活用型)5,000kW以上30,000kW未満12円+税12円+税12円+税20年間
1,000kW以上5,000kW未満15円+税15円+税15円+税
200kW以上1,000kW未満21円+税21円+税21円+税
200kW未満25円+税25円+税25円+税
※ 既設導水路活用型とは、既に設置している導水路を活用して電気設備と水圧鉄管を更新するもの。

地熱
電源調達区分1kWhあたりの調達価格(2019年)1kWhあたりの調達価格(2020年)1kWhあたりの調達価格(2021年)調達期間
地熱15,000kW以上26円+税26円+税26円+税15年間
リプレース15,000kW以上全設備更新型20円+税20円+税20円+税
15,000kW以上地下設備流用型12円+税12円+税12円+税
15,000kW未満40円+税40円+税40円+税
リプレース15,000kW未満全設備更新型30円+税30円+税30円+税
15,000kW未満地下設備流用型19円+税19円+税19円+税
バイオマス

電源調達区分1kWhあたりの調達価格(2019年)1kWhあたりの調達価格(2020年)1kWhあたりの調達価格(2021年)調達期間
バイオマスメタン発酵ガス(バイオマス由来)下水汚泥・家畜糞尿・食品残さ由来のメタンガス39円+税39円+税39円+税20年間
間伐材等由来の
木質バイオマス
2,000kW以上間伐材、主伐材(※1)32円+税32円+税32円+税
2,000kW未満40円+税40円+税40円+税
一般木質バイオマス・農産物の収穫に伴って生じるバイオマス固体燃料10,000kW以上(入札制度適用区分)製材端材、輸入材(※1)、剪定枝(※2)、
パーム椰子殻、パームトランク
入札制度により決定入札制度により決定-
10,000kW未満24円+税24円+税-
農産物の収穫に伴って生じるバイオマス液体燃料(入札制度適用区分)パーム油入札制度により決定入札制度により決定-
建設資材廃棄物建設資材廃棄物(リサイクル木材)、その他木材13円+税13円+税13円+税
一般廃棄物・その他バイオマス剪定枝(※2)・木くず、紙、食品残さ、廃食用油、黒液17円+税17円+税17円+税
※1 「発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン」(林野庁)に基づく由来の証明のないものについては、建設資材廃棄物として取り扱う。 ※2 一般廃棄物に該当せず、「発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン」(林野庁)に基づく由来の証明が可能な剪定枝については、一般木質バイオマスとして取り扱う。

引用:経済産業省資源エネルギー庁『再生可能エネルギー固定価格買取制度ガイドブック2020年度版』

「2019年問題」って?家庭用の太陽光発電の調達価格はどのように変わった?

固定価格買取制度は、住宅用の太陽光発電にも大きな影響を及ぼしています

2009年11月からスタートした住宅用太陽光発電の余剰電力買取制度。2012年7月1日まで実施され、現在は固定価格買取制度として移行されています。

住宅用太陽光発電の買取保証期間は10年と定められています。2019年には10年を迎え、この価格が保証されなくなりました。2019年以降、買取価格が終了した対象者に向けて電力会社各社が、さまざまなプランを発表しています。

しかし、このプランが発表されたのは買取期間の満了を迎える方が初めて出る2019年11月間近のことでした。それまでは、買取期間が終了してしまうと、2009年に太陽光発電を導入した約35~40万世帯が今後どのような扱いを受けるのか、不明瞭なままだったのです。この問題を「2019年問題」と呼んでいます。

固定価格買取制度は、再生可能エネルギー普及のための制度。しかし、問題点もアリ!今後の動きに注目です。

「固定価格買取制度」について解説しました。この制度は、再生可能エネルギーを普及させるための制度です。環境にやさしい電気を使うことができるなら、うれしい制度ですよね。

しかし、年々値上がりし続けている「再エネ賦課金」や、住宅用太陽光発電の買取期間がはじめて満期を迎える世代が出てくる「2019年問題」は大きな問題となっています。

現在は、さまざまなプランや蓄電池・EV(電気自動車)などが発表されています。固定価格での買取期間が終了(卒FIT)した方は、ぜひ自分に合った活用方法を探してみてくださいね。

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