マイナンバーで副業がバレる?傾向と対策・完全版
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マイナンバーで副業がバレる。巷ではよくささやかれているようです。普段の仕事だけでは足りないから、と副業をしている人はたくさんいるでしょう。また、学生や主婦の方で、アルバイトや在宅ワークでお小遣い稼ぎをしている場合、今までは申告しなかった場合でも、これからはペナルティが厳しくなる可能性があります。そのあたりの話をまとめてみました。
マイナンバーが副業に影響する4つのパターン
OL+水商売
昼間は会社でOL。夜はキャバ嬢など水商売……あまり珍しい話ではありません。マイナンバーが導入されて一番影響を受けるのは、この「OL+水商売」というパターンである、と言われています。具体的にどう影響を受けるのか考えてみました。
まず、住民税からバレることが考えられます。住民税は所得税の金額に基づき決定されます。そのため、メインで働いている会社の給料から天引きされる形(=特別徴収)で納めていると、会社バレするリスクが一気に高まります。会社バレしたくない人は、マイナンバーより住民税の心配を先にしたほうがいいでしょう。
また、副業として働いているクラブ等から、いわゆる源氏名で報酬明細等をもらっている場合でも、注意が必要です。マイナンバー制度が本格的に運用されれば、クラブ側も、働いている人の本名とマイナンバーの情報を税務当局に開示しないといけません。つまり、「どの人が、どんな源氏名で働いて、どれだけ報酬をもらっているか」はわかってしまう可能性があります。源氏名を使っているところで、収入がごまかせるわけではないのです。
学生+塾講師
次に考えたいのは、「学習塾や家庭教師などで、勉強を教えるアルバイトをしている学生の場合」です。学習塾や家庭教師エージェントなどにもいろいろあります。大手の場合なら、給料計算、税金の処理はきっちりしているところが多いので、マイナンバーが導入されてもさほど問題はないでしょう。しかし、中小の場合、人員不足などの理由からこのあたりがあいまいになっている場合も多いのが現実です。
マイナンバー制度が導入されれば、たとえ中小の学習塾、家庭教師エージェントでも、給料計算や税金の処理を厳しく求めることになりそうです。「教育関係アルバイトでそれなりに稼いでいるけど、税金回りがほとんどあいまい」という学生は注意したほうがいいかもしれません。一度、「自分はどれだけ稼いでいるのか?」と考えてみましょう。また、一定の条件にあてはまれば、勤労学生控除が受けられる可能性があるので、検討しましょう。詳しくはリンク先をご参照ください。
主婦+在宅ワーク
クラウドソーシング、ネットオークション、フリマアプリ、ハンドメイド作品の販売……家にいる主婦でも、最近はお金を稼ぐ手段が増えました。本気でやったら、結構な金額になります。思い当たる節があるアナタ、注意しましょう。これらで稼いだ場合でも、申告しないといけません。
「私、謝礼という形でもらっているから関係ないや。大手のシステム通していないし」という人でも油断はできません。本来、こういう場合は謝礼をいただいた先から、支払調書もいただいて、ちゃんと申告しなければいけないのです。
マイナンバー制度が本格運用されれば、この支払調書にも、マイナンバーの記載が必要になります。つまり、渡した側も、渡した人のマイナンバーを把握しているので、当局で情報の紐づけができる可能性があるのです。ばれるかばれないかははっきりいって運しだいですが、ばれたところで慌てないようにする体制づくりをした方が賢明でしょう。
サラリーマン+FX・株・アフィリエイト・不動産投資
サラリーマンだって、本業の稼ぎが厳しい、という人は多いのではないでしょうか。そこで、本業に支障が出ない形で副業をやる人も多いはずです。最近の流行りでは、FX、株、アフィリエイト、不動産投資といったところでしょうか。本業に支障をきたさない、お小遣い稼ぎの一環、ということであれば、黙認される会社が多いのも現状です。でも、いくら会社からOKが出たとしても、申告しなくていいというわけではありません。
マイナンバー制度は現行では、公共サービスの提供のためにのみ、利用されるということになっています。しかし、将来的には、民間での利用の是非が決定される予定です。その時、金融機関等の取引でも、マイナンバーが必要になる可能性があります。そして、マイナンバーと口座の動きが紐づけられ、そこから申告漏れが指摘される、というのも考えられない話ではないでしょう。今のうちから、しっかり申告をするよう、注意してください。なお、「この取引の場合、この所得に該当する」という一覧表を作ってみました。
副業の利益 | 所得の種類 |
---|---|
株の配当金 | 配当所得 |
株の売買益 | 譲渡所得 |
アフィリエイトの利益 | ・開業届を出している場合:事業所得 ・出していない場合:雑所得 |
FXの利益 | 雑所得 |
不動産の賃貸料 | 不動産所得 |
結局、何がどうなるの?
マイナンバー制度は本格運用されたばかりですので、税金の分野でどれだけ影響を持つか、未知数の部分があります。しかし、マイナンバー制度の目的の一つに、脱税の防止が掲げられています。そのため、マイナンバー制度が本格運用されれば、税金に関するデータが重要視される傾向が強まるのは言うまでもありません。「お金が動いて、税金が生じる可能性があるなら、心配をしたほうがいい」のは、間違いなさそうです。
そして、マイナンバーを使えば、複数のデータの関連付けが簡単にできるようになります。それによって、今まで秘密にしていた副業がバレてしまう可能性が十分にある、ということは肝に銘じてください。
申告しないとどうなる?
何かと大変なことに……
今までのトピックを見ていると、「マイナンバーが導入されることにより、今まで申告を行っていなかった場合でも、厳密に申告を求められる可能性がある」というのが一番の問題点かもしれません。実際にどうなるかは、マイナンバー制度が本格的に運用されないとわからない部分も大きいです。
ただ、マイナンバー制度導入前よりも、申告をしない場合、ペナルティが課せられる可能性が高くなる可能性はあります。なお、それなりに収入があり、税金を納めなくてはいけないにも関わらず、申告をしない場合、どういうペナルティが課せられるのでしょうか。大まかにいえば、次の4つが考えられます。
項目 | 内容 | 加算税率 |
---|---|---|
過少申告加算税 | ①税務調査を受ける前に、自主的に修正申告を行った ②期限内申告の場合であり、修正申告・更正があった | ①なし ② 1)10% 納税額のうち、納税額と50万円とのいずれか多い金額までの部分 2)15% 納税額のうち、納税額と50万円とのいずれか多い金額を超える部分 |
無申告加算税 | ①税務調査を受ける前に、自主的に期限内申告をした ②期限後に申告した | ①正当な理由があると認められる場合も同様 ② 1)15% 納税額のうち、50万円までの部分 2)納税額のうち、50万円を超える部分 |
重加算税 | 仮想隠ぺいしている事実があった | ①35% 期限内に申告した場合 ②40% 期限後に申告した場合 |
延滞税 | 法定納期限までに完納していない | 時期によって異なるので、詳しくは税務署に確認すること |
出典:国税庁「申告・納税手続 延滞税の計算方法」
これらのペナルティが具体的にどのようにかかるのか、ケースによってだいぶ異なります。また、副業レベルではあまり考えにくいことですが、「明らかに税金を払わないでおこうという意図が感じられ、しかも納めるべき税金の金額が大きかった場合」には注意が必要です。脱税容疑で逮捕される可能性もあります。
いつから準備を始めればいい?
大まかではありますが、「このラインを超えたら申告が必要」という目安の金額を書いておきます。
- 専業でやっている場合
- 年間38万円以上
- 副業でやっている場合
- 年間20万円以上
つまり、年間で20万円を超えそう、という見込みがあるなら、確定申告をする準備を始めたほうがいいでしょう。
わからない場合はどうする?
ここまで読んで、「……なんか自分、ヤバくない?」と思ったアナタ、まずは行動です。税務署に行きましょう。「自分はいままでこういうことをしてきたけど、税金の申告がわからないからしてこなかった」「会社に副業がばれるのが怖いから、ばれない形でどうにかしたい。でも、きちんと税金は払いたい」というように、希望を伝えてください。税務署は、ちゃんと税金を納めようとする人を邪険に扱ったりはしません。かなり親切に教えてくれます。安心しましょう。
また、副業でそれなりの稼ぎを得ている場合、いっそ会計処理も含めて税理士にお願いするのも一つの手段です。最近は、安い料金で引き受けてくれる税理士も増えました。相性のいい人がいれば、チャンスかもしれません。