HEMSとは?HEMSのメリットや仕組み、補助金を解説
この記事の目次
住宅のエネルギーについて考えるときに、知っておきたい「HEMS(ヘムス)」のこと。そもそもHEMSとは一体なんなのでしょう?
HEMSとは、これまで消費者が未着手だった「住宅のエネルギー」を、消費者が自ら把握し管理するための画期的なシステムです。
この記事では、HEMSの導入を検討している方、そもそもHEMSとは何かを知りたい方のために、概要や導入のメリット・デメリットなどを解説していきます。
HEMSとは?
「HEMS(ヘムス)」とは、Home Energy Management Service(ホーム・ エネルギー・マネジメント・システム)の略。家庭内で使用している電気機器の使用量や稼働状況をモニター画面などで「見える化」し、電気の使用状況を把握することで、消費者が自らエネルギーを管理するシステムです。
引用:スマートHEMS : スマートHEMS(ヘムス)でできること|Panasonic
政府は、HEMSを「これからの住宅の標準装備」としており、2030年までに全ての住まいにHEMSを設置することを目指しています。
つまり、日本の住宅に住まう場合は、HEMSについての基本的な知識はおさえておいた方がよいということです。
HEMS導入の基本的な流れって?
まずはHEMSを導入する際の基本的な流れについて見ていきましょう。
- 1.分電盤に電力測定ユニットを設置
- まず、HEMSの電力測定ユニットを家庭の分電盤に設置します。分電盤ではなく、コンセントにユニットを設置するタイプもあります。
- 2.電気機器をネットワークに接続
- 電力測定ユニットに接続した電気機器を、無線のネットワークで繋ぎます。
- 3.エネルギーの使用状況をタブレット端末やPCなどでチェック
- 家庭内のエネルギーの使用状況を、タブレット端末やPCなどで確認できます。たとえば、部屋ごとの室温や湿度、エアコンの運転時間などを、グラフで確認できるものもあります。
- 4.エネルギーを管理
- 家庭内のエネルギー使用状況を把握し、消費者自らがエネルギーを管理していきます。アプリを導入することで、タブレット端末などでエネルギーの使用状況を確認しながら電気機器の操作ができるものもあります。
HEMSを導入するポイントは2つ!
HEMSを導入する際のポイントは、以下の2つです。
- エネルギーの「見える化」
- エネルギーの「一元管理」
これらが実現することで、どのようなメリットが生まれるのかも含めて、詳しく見ていきましょう。
エネルギーの「見える化」
HEMSを導入することで、家庭内で使用するエネルギーを数値で確認できるようになります。
たとえば、太陽光発電によりつくられたエネルギーや、蓄電池により蓄えられたエネルギーが何ワットで、寝室のエアコンとリビングの照明で何ワット消費して…ということが、数値で細かく把握できます。
- 電気のムダ遣いがわかる
- 電気の使用の傾向がわかる
- 節電節約の数値目標が立てやすい
目に見えないエネルギーを数値として見える化することで、自然と意識が向きやすくなり、上記のようなメリットが生まれます。
エネルギーの「一元管理」
HEMSの導入では、使用しているエネルギーを把握するだけでなく、消費者自らが管理することに重要性があります。電気機器の稼働をネットワーク化することで、以下のようにタブレット端末やPCからの遠隔操作や、自動制御も可能になります。
- 電気代の節約につながる
- より快適な住環境を実現できる
たとえば、帰宅前にタブレット端末を使ってエアコンをつけて部屋を暖かくしておいたり、夜中の電気代が安いときにタイマーで自動で洗濯機を稼働させたり…ということができるのです。また、家全体の使用電力量があらかじめ設定した日割り目標値を超えると、エアコン、照明、床暖房を自動でコントロールするなども可能になります。
また、電力のみならず、ガスや水道、電気自動車などとの連携も可能です。
HEMS導入の注意点は?
HEMSを導入するにあたっての注意点についても確認しておきましょう。
- HEMSに対応している電気機器はまだ多くない
- HEMSに電気機器を接続したい場合は、経済産業省が推奨する「ECHONET Lite」という規格に対応しているものでなければいけません。HEMSの推進によって対応家電はこれから増加することが予想されますが、既存の製品では対応できないものが多く、HEMS導入と同時に買い替えが必要になるケースがあります。
- コストメリットが大きいとはいえない
- HEMSの導入にかかる工事費などのコストと、導入後削減できるエネルギーの費用を比べると、実はほとんど大差がありません。金銭面だけを見ると、導入のメリットが大きいとはいえないようです。
HEMS、今後の課題は何?
政府は、HEMSを「これからの住宅の標準装備」と定め、2030年までに全ての住まいにHEMSを設置することを目指していますが、まだ消費者にあまり知られていないのが現状です。同じエネルギーに関わる言葉で、「スマートハウス」や「電気自動車」などはメディアで見聞きする頻度は増えてきましたが、「HEMS」は何かよくわからないという人はとても多いのではないでしょうか。
まず政府や関係者は、HEMSという言葉の意味やメリットを、わたしたち消費者が理解できるように、しっかりと伝えていく必要があるのでしょう。
HEMSの代表メーカーは?
HEMSを扱っている主要なメーカーを紹介します。
性能や価格もさまざまなので、ぜひご自宅のニーズに合ったものを選んでみてください。
- パナソニック
- 電気機器や蓄電池などと連携が可能な「スマートHEMS」というサービスを提供しています。
- シャープ
- シャープの太陽光発電システムと連携可能な「電力見える化システム」というサービスを提供しています。
- 東芝
- 専用のサーバーにデータを保存し、インターネットを通じていつでも情報を確認できる「東芝HEMS」というサービスを提供しています。
- NTT東日本
- インターネット通信サービスのフレッツ光に加入している方に、「フレッツ・ミルエネ」という低価格のサービスを提供しています。
HEMS導入の補助金はあるの?
HEMSは政府主導の取り組みであるだけに、補助金制度があるのでは?と考える方もいるでしょう。実は、HEMSの補助金は平成23年と平成25年に交付されていますが、続く2年後の平成27年には交付されませんでした。現在は、補助金制度は制定されていないのが現状です。
ただし今後、2030年に向けてHEMS導入がさらに呼びかけられる場合は、再度交付が始まる可能性もあります。導入を検討するタイミングで、一度チェックしてみることをおすすめします。
まとめ
HEMSの基本的な項目について解説してきました。
HEMSは、これまで消費者が未着手だった「住宅のエネルギー」を、消費者が自ら把握し管理するための画期的なシステムです。しかし、その認知度は低く、導入のメリットが明記されないまま進行していることも事実です。
HEMSの導入を検討する際は、メリット・デメリットをよく考えた上で、各メーカーを比較し、ぜひニーズに合った使いやすいシステムを選択しましょう!
この記事を書いた人