気候変動とは?異常気象が生じている現状や個人でできる対策を紹介します
この記事の目次
桜の開花時期が昨年よりも早い、夏の暑さが年々厳しくなっている、冬が短く感じるなど気候の変化を感じている方は多いでしょう。また、近年は集中豪雨などの異常気象による大雨災害も多くみられますよね。
日本だけでなく世界各国で、地球温暖化による気候変動の影響が出ています。
国際的な環境問題のひとつである気候変動について、どのような変化が起きているのか、私たちの生活にどう影響するのかなどをくわしく解説します。さらに普段の生活でできる気候変動のための取り組みも紹介します。地球規模の環境問題は身近に感じにくいですが、私たちひとりひとりの行動が気候変動の防止につながるんです。
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- 更新日
- 2021年6月22日
気候変動とは?世界ではどのような変化が引き起こされている?
気候とは気温や降水量など大気の状態のことをいい、自然的な要因と人為的な要因によって常に変動しています。今、人為的な要因による異常な気候変動が世界的に問題視されています。
具体的にどのようなことが起こっているのでしょうか?
二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスによる平均気温の上昇
世界の平均気温は1891年から100年あたりで0.75℃の割合で上昇しています。とくに基準値(1981年から30年間の平均値)と比べると2016年と2020年は偏差が大きく、0.45℃上昇しました。また上昇の割合は海上より陸上のほうが大きく、北半球の高緯度で大きくなっています。
日本の平均気温は1898年から100年あたりで1.24℃と、世界の平均気温よりも0.49℃大きい割合で上昇しています。
参照:世界の年平均気温|地球環境・気候|気象庁日本の気候変動とその影響(2012年度版)|気象庁日本の気候変動2020年度版|気象庁
氷河の後退や海水温上昇などによる海面水位の上昇
平均気温が上昇して地球温暖化になると、海水が熱膨張したり、氷河が融解したりして海面水位が上昇します。
世界の平均海面水位は、1902年~2015年の間に0.16m(0.12m~0.21m)上昇しています。とくに1990年の1.4mm(0.8mm~2.0mm)と比べると、2006年~2015年の平均上昇率は3.6mm(3.1mm~4.1mm)で約2.5倍も大きい割合となっています。
日本近海の平均海面水位は、1906年~2020年の間にはありませんが1980年代以降長期的に上昇の傾向があります。
参照:世界平均海面水位の変化|気候変動に伴う海面上昇量に関する最近の議論|気象庁日本の気候変動2020年度版|気象庁日本周辺の1960年以降の海域ごとの海面水位変化|海洋の健康診断表|気象庁
環境や生態系への影響
平均気温や海面水位が上昇するなどの気候変動によって環境が変わると、動植物の生態系の変化、生物多様性の減少、サンゴの白化現象の増加など生態系にも影響をおよぼします。また海面水位が上昇すると、離島などでは地下水に塩水が侵入する可能性もあるといわれています。
参照:生物多様性分野における気候変動への適応(2016年3月発行)|環境省
気候変動は私たちの生活にどのような影響がある?
気候変動で平均気温や海面水位が上昇して環境や生態系が変化すると、私たちの生活にはどのように影響してくるでしょうか?
農作物の収穫量や品質の低下
気候変動は水稲・小麦・果物など農作物の生育に影響をおよぼすため、収穫量や品質の低下を招きます。また、気候変動で害虫やシカ・イノシシなどの野生鳥獣生息域が拡大すると、農作物への被害が広がります。環境省によると2018年の野生鳥獣の被害額は約158億円で、その内約70%がニホンジカ・イノシシ・ニホンザルによる被害となっています。
参照:ニホンジカ・イノシシの推定個体数と捕獲数の状況|環境省
畜産業や水産業への影響
気候変動は農作物だけでなく、畜産業や水産業にも影響してきます。
- 畜産業への影響
- 平均気温の上昇による夏の猛暑日の増加は、牛や豚・鶏などの家畜が死亡する、牛乳生産量・繁殖率が低下するなどの原因となります。また、気候変動で飼料の収穫率が低下すると、飼料価格が高くなり畜産農家の経営不振にも影響します。
- 水産業への影響
- 気候変動で海水温が上昇するとプランクトンの種類や数が変化して、プランクトンを餌とする海洋生物の成長や産卵量にも影響します。また海だけでなく河川や湖などでも、水温上昇により植物プランクトンが増加して水質が悪化する可能性があります。
水害や大雨災害の増加
気候変動の影響によって降水日数や降雪が減少して河川の水量が減る一方、集中豪雨など大雨が発生する頻度が多くなって大雨による災害が増える可能性もあります。
気象庁によると、1976年からの10年あたりで1時間の降水量50mm以上の全国の年間発生回数は増加していて、1976年~1985年の平均数約226回と比べると、2011年~2020年は約334回で約1.5倍となっています。
また日本沿岸では高波が増加している傾向があり、とくに太平洋側で高波によるリスクが高くなる可能性があります。
参照:日本の気候変動とその影響(2012年度版)|環境省大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化|気象庁日本の気候変動2020年度版|気象庁
熱中症の増加など、健康面にもさまざまな影響がおよぶ可能性も
さまざまな動植物が気候変動による環境の変化で生態や生活環境に影響を受けますが、人間も例外ではありません。
平均気温の上昇で全国の真夏日・猛暑日・熱帯夜の平均年間日数が増え、熱中症が増加する傾向があります。熱中症による年間死亡者数は1995年以降増加していて、2010年には1,600人を超え過去最多の死亡者数となりました。
真夏日・猛暑日・熱帯夜の平均年間日数(1910年~2019年)
- 真夏日(日最高気温30℃以上)の平均年間日数
- 1910年~1939年……約35日/年
- 1991年~2020年……約41日/年
- 猛暑日(日最高気温35℃以上)の平均年間日数
- 1910年~1939年……約0.8日/年
- 1991年~2020年……約2.5日/年
- 熱帯夜(日最低気温25℃以上)の平均年間日数
- 1910年~1939年……約9日/年
- 1991年~2020年……約23日/年
近年の真夏日・猛暑日・熱帯夜の平均年間日数は増加していて、統計期間の最初の10年間と比べると真夏日は約1.1倍、猛暑日は約3.1倍、熱帯夜は約2.5倍となっています。
出典:大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化|気象庁
気候変動に対する取り組みは?
国際的な環境問題である気候変動について、どのような取り組みが行われているのでしょうか?
温室効果ガス削減に関する国際的な取り決めとして、2016年にパリ協定が発効されました。パリ協定は途上国を含む全ての主要排出国を対象としていて、締結国の温室効果ガス排出量は世界の約86%を占めています(2017年8月時点)。
気候変動の要因のひとつは、温室効果ガス排出量の増加による地球温暖化といわれています。
二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量を減らすことが、気候変動に対する取り組みとして重要なんです!
パリ協定に基づいて各国が具体的な温室効果ガス排出量の削減目標や取り組みを掲げており、日本では「第5次エネルギー基本計画」で「2030年エネルギーミックス」「2050年カーボンニュートラル」の2つの取り組みを示しています。
参照:今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~|資源エネルギー庁
2030年の温室効果ガス削減目標、46%に引き上げ
2021年4月22日には、2030年度の温室効果ガス削減目標を2013年比で46%削減に引き上げるという発表がありました。
2013年度の二酸化炭素(CO2)排出量は約12.4億トンです。今までの目標は2013年度比で約25%削減、約9.3億トン減が目標だったため、大幅に引き上げられたこととなります。目標値である46%削減を達成するためには、この数字を約7億9000万トン以下にする必要があり、「これまでの目標を7割以上引き上げるもので、決して容易なものではない」と菅義偉首相は述べています。
また、菅首相は地球温暖化対策推進本部にて、「再生可能エネルギーなど脱炭素化電源の最大限の活用」や「地域の脱炭素化への支援」をはじめとする5つの対策を発表しています。今後、具体案や各エネルギーの利用方針の提案があり、注視しておく必要がありそうです。
参照:菅総理大臣の米国主催気候サミットへの出席について(結果概要)|外務省
2050年カーボンニュートラルに向けて
「2050年カーボンニュートラル」では、2050年までに二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出と吸収を合わせて全体としてゼロにすることを目標としています。
現時点で具体的な取り組みなどは議論・検討中ですが、火力発電や原子力発電など電力部門での課題が掲げられています。毎日使う電気に関することなので、今後どのような対策が示されていくのか注目していきたいですね。
「2030年エネルギーミックス」「2050年カーボンニュートラル」について詳しくは以下の記事で紹介しています。
「エネルギー自給率」とは?日本が抱えるエネルギー問題の現状・目標を知ろう
気候変動を食い止めるために!私たちができること・対策は?
気候変動の防止のためには地球温暖化対策として、二酸化炭素(CO2)の排出量削減に取り組むことが重要です。
日本の家庭からの二酸化炭素排出量は2017年度で1世帯あたり年間3.20トン、そのうち電気を使うことで排出される二酸化炭素は2.16トンで約70%となっています。そのほか都市ガス・LPガス・灯油のエネルギー利用時にも二酸化炭素が排出されています。
省エネ・節水をして二酸化炭素の排出量を削減しよう!
私たちが普段使う電気やガスなどの省エネ・節水を心がけるだけで、二酸化炭素排出量削減ができて気候変動の防止につながるんです!
- 使わない電化製品の電源をこまめに切る、またはコンセントから電源プラグを抜く。
- エアコンの設定温度は、夏の冷房では室温28℃、冬の暖房では20℃を目安にする。
- お風呂は連続して入る。お風呂にフタや保温シートをするなど、追い炊き回数を減らす。
- シャワーを出しっぱなしにしない。食器はなるべくまとめて洗うなど、お風呂や台所での節水を心がける(※)。
- 自動車の急発進・加速・ブレーキを控えたエコドライブをする。
- 移動手段は自動車のほか、自転車や公共の乗り物を利用する。
- レジ袋削減のためにエコバッグを持ち歩いて買い物をする。
- 手洗い時はペーパータオルを使わずにハンカチで拭く。
- 再生可能エネルギーやFIT電気が多く使われている電力会社・電気料金プランに切り替える。
(※)水を家庭まで送るとき、下水を処理するときなどに電気が必要なため、節水で使用する水の量が減れば節電になります。
節電やエコドライブなどの「エコ活動」について、さらに詳しくは以下の記事で紹介しています。
エコ活動とは?家庭ですぐにできる取り組み、例をまとめました
電力会社・プランを見直すことが、気候変動の防止につながります!
普段使う電気に再生可能エネルギーやFIT電気が多く使われている電力会社・電気料金プランを選んでみませんか?
日本の二酸化炭素排出量の約80%は、電気や熱などのエネルギーを利用するときに排出されています。そのため、太陽光・風力・水力などの再生可能エネルギーは発電時にCO2が発生せず、地球温暖化対策になります。
FIT電気はFIT制度で買い取られた電気です。再生可能エネルギーから発電されていますが、CO2削減などの環境価値はないものと考えられます。
FIT制度とは再生可能エネルギーによる発電を増やすための制度で、私たち電気の利用者全員が毎月の電気代と一緒に「再生可能エネルギー発電促進賦課金」としてFIT電気の買い取り費用の一部を負担しています。そのため、環境価値もFIT電気の利用者ではなく、費用を負担している電気の利用者全員に還元されると考えられ、CO2排出量は火力発電なども含めた全国平均の電気と同じように扱われます。
しかしながら、 FIT電気は再生可能エネルギーによる発電を増やすための制度を利用したものなので、利用が増えれば日本全体での再生可能エネルギー比率は増えることになります。再生可能エネルギー・FIT電気の比率が高い電気料金プランに切り替えれば、気候変動の防止につながると言えるでしょう。
再生可能エネルギーやFIT電気が多く使われているプランを探そう
エネチェンジ電力比較では、毎月の電気代や郵便番号など簡単な条件を入力するだけで、アナタの住んでいるエリアで選べるプランが見つけられます。ご家庭の電気の使い方に見合った電力会社・電気料金プランを選べば電気代も節約できる可能性があります!
診断結果画面の「プランを絞り込む」という機能で、「再生可能エネルギーで発電」を選ぶと再生可能エネルギーやFIT電気が多く使われている電力会社・電気料金プランを選択できます。
電気料金プランを選ぶときは、ぜひこのチェックボックスを活用してみてくださいね。
省エネで気候変動対策!地球環境は私たちの心がけで改善できる
気候変動で平均気温が上昇して地球温暖化になると、氷河の後退や海水温上昇が起きて海面水位が上昇するなど地球環境が変わります。環境の変化によって動植物の生息地や生態系が変化したり、降水日数の減少・大雨発生率が増えたり、真夏日・猛暑日が増えたりして、食料生産量の減少、水害の増加、熱中症の増加など、さまざまな影響が起きます。気候変動は私たちの暮らしに大きく関わってくる環境問題のひとつなんです。
気候変動の要因には、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量の増加があります。地球温暖化による気候変動の対策として、国際的にも二酸化炭素の排出量の削減に取り組むことが重要とされています。
「自分だけが省エネ・節水をしても意味がないのでは?」「二酸化炭素の排出量削減なんてどうやったらよいかわからない」など、気候変動のような環境問題は身近に感じにくいですが、私たちひとりひとりの毎日の行動が気候変動のための取り組みになるんです。
普段から電気やガスなどの省エネ・節水を心がけることが、二酸化炭素の排出量削減につながります。また、再生可能エネルギーやFIT電気が多く使われている電気料金プランを選ぶだけでも排出量削減に取り組めます!まずはできることから始めてみませんか?
この記事を書いた人