本記事では、燃料費調整額の上限がある電力会社について、旧一般電気事業者と新電力に分けてご紹介します。
本記事でいう旧一般電気事業者とは、北海道電力・東北電力・東京電力エナジーパートナー（以下、東京電力EP）、中部電力ミライズ、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力をいいます。

更新日

2025年10月17日

燃料費調整額の上限がある電力会社

ここでは旧一般電気事業者と新電力のなかから、燃料費調整額の上限がある電力会社をまとめました。

燃料費調整額の上限がある旧一般電気事業者

ロゴ	電力会社	対象の電気料金プラン
	北海道電力	定額電灯 従量電灯A/B/C 臨時電灯A/B/C 公衆街路灯A/B 低圧電力 臨時電力 農事用電力
	東北電力	定額電灯 従量電灯A/B/C 臨時電灯A/B/C 公衆街路灯A/B 低圧電力 臨時電力 農事用電力A/B
	東京電力EP	定額電灯 従量電灯A/B/C 臨時電灯A/B/C 公衆街路灯A/B 低圧電力 臨時電力 農事用電力
	中部電力ミライズ	定額電灯 従量電灯A/B/C 臨時電灯A/B/C 公衆街路灯A/B 低圧電力 臨時電力 農事用電力A/B
	北陸電力
	関西電力	定額電灯 従量電灯A/B 臨時電灯A/B/C 公衆街路灯A/B/C 低圧電力 臨時電力 農事用電力
	中国電力	定額電灯 従量電灯A/B 臨時電灯A/B/C 公衆街路灯A/B/C 低圧電力 臨時電力 農事用電力A/B/C
	四国電力	定額電灯 従量電灯A/B 臨時電灯A/B/C 公衆街路灯A/B/C 低圧電力 臨時電力 農事用電力
	九州電力	定額電灯 従量電灯A/B 臨時電灯A/B/C 公衆街路灯A/B 低圧電力 臨時電力 農事用電力A/B
	沖縄電力	定額電灯 従量電灯 臨時電灯A/B 公衆街路灯A/B 業務用電力 低圧電力 高圧電力A/B 臨時電力 農事用電力 自家発補給電力A/B 予備電力

旧一般電気事業者では、規制料金プランで燃料費調整額の上限が設定されています。一般家庭では上記のうち「従量電灯」を契約していることが多く、「従量電灯」は規制料金プランに該当します。いっぽう、自由化以降に提供開始がされたプラン（自由料金プラン）については、上限の設定がありません。自由料金プランは、東京電力EPなら「スタンダードS」、関西電力なら「はぴeセット」などが該当します。

燃料費調整額の上限がある新電力

ロゴ	電力会社	対象の電気料金プラン
	コスモでんき	コスモでんきスタンダード コスモでんきポイントプラス コスモでんきセレクト コスモでんきグリーン
	奈良電力	ならでん電灯A/B

多くの新電力では、燃料費調整額に上限を設定していません。上限設定がある電力会社はごく一部に限られており、プランによって上限設定の有無が異なることも。例えばコスモでんきは、上記のプランについては上限を設定していますが、それぞれのオール電化向けプランについては上限が設定されていません。

燃料費調整額の上限について

ここでは燃料費調整額の上限について、電気代に及ぼす影響を解説します。

燃料費調整額の上限とは

燃料費調整額に上限が設定されていると、上限をこえた金額は電気代に反映されません。また、この上限設定は主に規制料金プランで適用されており、下限は設定されていません。

電力会社によっては、燃料費調整額に上限が設定された自由料金プランも存在します。なお、具体的な上限額は、電力会社やプランによって異なるので注意しましょう。

燃料費調整額の上限は撤廃されることもある

規制料金プランの上限設定は法律が変わらない限り、撤廃されることはありません。しかし、自由料金プランについては、上限が撤廃されることがあります。

実際に、2022年の海外情勢による燃料費高騰をきっかけに、一部の電力会社・電気料金プランでは上限が撤廃されました。例えば東北電力では2022年12月分、関西電力では2023年5月分から、燃料費調整額の上限設定が撤廃されています。

燃料費調整額による電気代の変化

ここでは燃料費調整額による電気代の変化について、世帯人数ごとに電気代がどう変わるかをまとめました。

燃料費調整額が高くなると、それだけ電気代も高くなることがわかります。電力会社・電気料金プランを比較する際は、燃料費調整額も考慮することが大切です。

2022・2023年は燃料費調整額の上限に達した事例があった

次の表は、旧一般電気事業者の燃料費調整単価の推移をまとめたものです。東京電力EPでは、2022・2023年（2022年9月～2023年1月）に平均燃料価格が上限をこえたことで、燃料費調整額が上限に達したことがありました。

自由料金プランと規制料金プランでどれぐらい燃料費調整額の変化があったか、東京電力エリアでもっとも料金差があった2023年1月を例に、以下にまとめました。

上記からは、燃料費調整額だけで1,200円～3,000円近い料金差が発生していたことがわかります。

燃料費調整額の上限がある電気料金プランを選ぶメリット

燃料費調整額に上限が設定されたプランは、燃料費が高騰した場合に電気代が値上がりし続けることはなく、値上がりが一定額で収まるのがメリットです。

ただし、燃料費調整額の上限の有無だけでは、電力会社・電気料金プランを正確に比較することはできません。最適なプランを見つけたいなら、各個人のライフスタイルや、電気の使い方に見合ったプランを選ぶことが重要です。

燃料費調整額の上限がある電力会社を選ぶと安心

燃料費調整額の上限がある電力会社は、電気代が急激に高騰するリスクが少ないのが魅力。ただし、その電力会社・電気料金プランが必ずしも電気代の節約につながるとは限りません。電気料金プランを比較する際は、燃料費調整額も考慮して検討することをおすすめします。