「グリーン電力証書」とは?制度の仕組み、「J-クレジット」との違いとは?
この記事の目次
新たな電力会社やプラン、再生可能エネルギーなどを調べているときに見かける「グリーン電力証書」。この証書は、CO2などの温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーによって発電された自然エネルギーの価値を取引できるように切り出した証書です。
この「グリーン電力証書」が発行される仕組みはどのようなものなのでしょうか?また、同じく環境価値を切り離し、証書として発行している「J-クレジット」や「非化石証書」とは、どのような違いがあるのでしょうか?詳しく解説していきます。
- 更新日
- 2022年2月3日
「グリーン電力証書」とは?
「グリーン電力証書」とは、太陽光・水力・風力・バイオマス・地熱などの再生可能エネルギーから発電された自然エネルギーから、「発電時に温室効果ガス(CO2)を排出しない」「化石燃料を削減し、省エネルギーに努める」「エネルギーの安定供給に貢献する」などの環境価値を、取引ができるように切り出した証書です。
この証書を購入し、使用している電気と組み合わせることで、環境に優しい価値を持つ電気を使用していると見なすことができるのです。
再生可能エネルギーについては以下の記事で説明しています。
「グリーン電力証書」、どんなことができる?
「グリーン電力証書」は、購入することによって、環境価値そのものを買い取ることが可能です。企業・自治体が購入できます。
- 発電事業者が「グリーン電力証書」を発行・販売するメリット
- 「グリーン電力証書」を発行・販売することにより、さまざまな会社・企業に環境価値を提供し、電気自体の売電収入以外でも利益を得ることができます。
- より多くの企業・自治体、家庭の自然エネルギーへの興味関心や環境意識への高まりや、CO2の削減と環境改善などに貢献することができます。
- 会社・企業が「グリーン電力証書」を購入するメリット
- 「グリーン電力証書」を購入することによって、国内における自然エネルギーの普及や地球温暖化の抑制など、環境改善の活動のひとつとして貢献することができます。
- 自然エネルギーは発電時に温室効果ガス(CO2)を排出しないため、「グリーン電力証書」を所有することによって、記載されている毎月の電気使用量(kWh)分を自然エネルギーから発電された電気を使用していると見なすことができます。自主的なCO2削減目標達成に活用することが可能です。
- 「グリーン電力証書」を購入することによって、環境改善に貢献しているという意思表示をすることができます。更には、企業広告やPRなどに活用することも可能です。
- CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)、RE100、日経環境経営度調査などの各種環境報告書に、再生可能エネルギーの使用量やCO2削減量として報告することができます。
グリーン電力証書はEV補助金申請時にも使える!
環境省の令和2年度第3次補正事業では、再エネ100%電力調達がEV補助金の申請条件のひとつとなっています。
GreenCartでは、グリーン電力証書をwebで購⼊し即時発行が可能です。ご家庭で使う電力を再エネ比率100%にするためには、自家発電・再エネ電力メニューの購入・グリーン電力証書(再エネ電力証書)の購入の3つの方法があり、組み合わせて利用できます。
「グリーン電力証書」とは消費する電力量と釣り合う証書を購入することで環境にやさしい価値を持つグリーン電力を使っていると見なす制度なので、必要な電力量分を購入すれば、再エネ100%電力調達の条件を満たせます。
購入できるグリーン電⼒の電力量は、1,000kWh以上1kWhから指定できます。
もちろん、個人の方でも購入可能です。EV補助金の申請に役立ててみてはいかがでしょうか?
「グリーン電力証書」、どんな事業者が発行している?
「グリーン電力証書」は、発行している事業者によって価格が異なり、大量に買えば買うほど安価になる傾向があります。
基本的に、いくらで取引がされているのかは発行している事業者に問い合わせる必要があります。
- 日本自然エネルギー株式会社
- サミットエナジー株式会社
- グリーナ株式会社(旧ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社)
- 横浜市
- 公益財団法人 東京都環境公社
一部抜粋していますが、合計で約35団体にものぼります。どのような活用方法をしているのか、日本自然エネルギー株式会社を一例に見ていきましょう。
日本自然エネルギー株式会社
日本自然エネルギー株式会社の「グリーン電力証書」は、日本全国のグリーン発電所から発行されています。グリーン電力証書を発行している日本自然エネルギー株式会社が、グリーン発電所と契約を結び、環境価値を買い取ってグリーン電力証書を発行します。
出典:グリーン電力証書システムとは?|日本自然エネルギー株式会社
「J-クレジット」「非化石証書」との違いとは?
「グリーン電力証書」以外にも、環境価値を取引するための証書・制度は「J-クレジット」「非化石証書」の2種類があります。どのような違いがあるのでしょうか?
「J-クレジット」とは?
「J-クレジット」とは、省エネルギー機器の導入や森林経営などの取り組みによる、CO2を含む温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証したものです。
「J-クレジット」として、国がCO2などに温室効果ガスの排出削減量や吸収率を承認している制度を「J-クレジット制度」と呼び、温対法での報告やカーボン・オフセット、低炭素社会の実現など、種別によってさまざまな活用先があります。
「J-クレジット」について、詳しくは以下の記事で説明しています。
「非化石証書」とは?
「非化石証書」とは、再生可能エネルギーなどの非化石電源から発電された電気から環境価値を切り離し、証書にしたものです。主に、2018年からはじまった「非化石価値取引市場」で取引を行うために発行します。
この証書は、太陽光・水力・風力などのFITが適用する方法で発電された電気への証書である「FIT非化石証書」、卒FIT後の再エネ発電や大型水力発電などの方法で発電された電気への証書である「非FIT非化石証書」の2種類があり、小売電気事業者のみが購入することができます。
「グリーン電力証書」は、環境価値を証書として発行し、環境改善に貢献できる!
「グリーン電力証書」について、解説をしました。
この証書は、太陽光、風力などの自然エネルギーから発電された電力から「CO2などの温室効果ガスを排出しない」という環境価値を切り離し、取引をするために発行した証書です。
環境改善やエコに興味関心が高まる中、自然エネルギーの利用価値が評価されつつあります。電気も温室効果ガスを発生させない自然エネルギーから発電されたものを使用したいと考えている方も多くなることが予想され、ますます「グリーン電力証書」による環境価値の取引に注目が集まるのではないでしょうか。
この記事を書いた人